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騎士団長、愛を知る  作者: 立花 みどり


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04 順調な交際


「あ」


 アビゲイルは目を覚ました。どんなに深酒をしても身体は決まった時間に目を覚ます。少しだけ痛む頭を押さえて昨日のことを思い出した。


 思っていたより楽しい時間を過ごした。

 真面目一辺倒だと思っていたロベルトがまさかあんな表情で笑うとは思わなかったし、意外と酒に弱いことも分かった。願わくば記憶が残っていて欲しい。思い出して恥じていれば尚良い。


 足取りが怪しかったので、アビゲイルが家まで送るといえば「そしたらあなたが帰りに一人になって危ないでしょう」と言っていた。

 こっちは騎士団の団長だぞと思ったが、あまりにも真剣だったし面白かったので大人しく家まで送られた。何人もの男と付き合ってきたが、家まで送ってもらうのは初めてだった。


 据わった目をして「おやすみなさい」なんて言うから、柄にもなく目の前の男のことが可愛く見えて、つい自分から口付けた。ロベルトは顔が真っ赤になって、逃げるように帰っていった。かわいかった。


「ふは!」


 ロベルトのことを思い出すたび、しばらく笑顔になれそうだ。








 堅物そうなロベルトと大雑把なアビゲイル。


 周囲は二人のことを「美しい二人ではあるが性格が真逆なために合わないだろう」「アビゲイルはいつも交際が長続きしないから今回も早々に別れるだろう」と思っていた。

 

 が、予想に反して二人の交際は意外にも順調で穏やかに進んでいた。


 二人は最初の食事の後も、予定さえ合えば食事やらデートやらに出かけた。

 本人たちも驚くほどに、相性は悪くなかった。


 デートではお互いの行きつけの店に行ったり、自分の気に入っている場所へ行ったり、部下から聞いたおすすめの店に行ったりした。


 アビゲイルは人生で初めて美術館へ行った。

 知らないものばかりだったが、美しいものを見るのは楽しかった。ロベルトはアビゲイルが興味深そうに見ている絵があれば、それに(まつ)わる話をしてくれた。人の知識自慢を聞くのは好きじゃないが、ロベルトの話はいくらでも聞いていられそうだった。人のことを言えないかもしれないが、芸術家は多情なやつが多すぎる。ロベルトもうんうんと頷いていた。


 今までやったことがなかったから気づかなかったが、絵画鑑賞は好きになれそうだな、と思った。すでに知っているものを違う視点で見たり、見たことのない風景を想像して眺めるのは楽しかった。

 そう伝えれば「好きそうだなと思っていた」と言われた。アビゲイル自身も気づいていなかった好きなものに気づいてくれたのか、それほどまでに自分のことをよく見てくれているのが嬉しかった。


 だからお返しにロベルトを古書店巡りへと連れ出した。

 

 第三騎士団は魔物討伐の少ない時期になると街の警備も行う。その関係で王都の店には詳しくなるのだ。

 ロベルトは予想通り古書に目を輝かせていた。アビゲイルは古書に興味がないので近くのカフェで時間を潰すことにした。

 ロベルトはそのことを気にしたが「この間のお礼だから私のことは気にせずゆっくり見てくれ」と言えば、本当に何時間も本屋から出てこなかった。待っている間は流行りの本を読んだ。待ちくたびれた感じはなく、どちらかと言えば何時間も古書店にいることに感心してしまった。本当に好きなんだな。


 奇妙な恋人との付き合いは思っていたよりもずっと平和で順調だった。


 ロベルトは今まで付き合ってきた元恋人たちのように「愛している」などと言いながら身体を求めたりしなかった。それもアビゲイルにとっては奇妙なことだった。余計に愛がわからなくなった。


 今までであれば「これが愛だ」とでも言わんばかりに身体を求められた。たとえアビゲイルが疲れていようと、気分ではなかろうと、それは行われた。

 少しでも乗り気でなければ「愛していないのか」と言う男もいた。


 みんなが揃って愛だというのならば、それは愛のある行為なんだろう。でもなんとなく身体を繋げるための体のいい言葉のように思える時もあった。


 結局愛ってなんだよ。


 アビゲイルは未だに愛がよくわからない。だから身体を求められていないのに恋人関係が平和に続いていて、居心地がいいのが不思議だった。


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