02 告白の謎
「うーん」
アビゲイルは自室のベッドに横たわり、先日の告白について考えていた。
騎士団長と宰相補佐。
二人は初めましてというわけではなかった。
アビゲイル率いる第三騎士団は魔物討伐を担当している。定期的な遠征や、魔物が大量発生した時の打ち合わせなどで何度か顔を合わせていた。
アビゲイルの記憶では、同じ会議に参加してはいるけれどほとんど会話したことがない。
そもそも会議自体、議論が盛り上がることがないのだ。魔物の遠征も大量発生に対する対応も、昔から行われていたことだから傾向も対策も決まっている。
決められた討伐方針を共有されて、討伐に必要なものや必要な人員、日程、手順などを話し合う。が、その内容も定型化されてきているので、話し合うというよりは確認し合うに近い。
会議を除いてロベルトと会話することもない。稀にすれ違って挨拶をする程度。参加する夜会でもお互い違う場所にいる。
一体、どこで惚れたんだ?
……顔か?
アビゲイルは自分の顔が美しい部類に入り、多少人気があることを自覚している。騎士団の広報担当から「頼むから顔だけは死守してくれ」と討伐の度に執拗く念押しされるし、国外から女性の要人がきた時には護衛に駆り出されることもあるからだ。見た目の美しさに「うちへ来ないか」勧誘されることもあった。
でも、如何にも堅物そうなあの宰相補佐が、本人も美しい顔をしている男が、顔を理由に告白なんてしてくるだろうか。
こんなにも理由が気になるのはロベルトの告白してきた時のあの表情。いかにも不機嫌そうな顔だった。
罰ゲームで告白したのか?
いや、そんなことしないよな。宰相補佐に誰が罰ゲームを与えられるっていうんだ。
……などと、しばらく脳内で理由を考えてみたけれど答えは特に出なかった。
結局、ロベルト側に何か事情があるんだろう、ということにした。
まあ何らかの理由で本当に好きにせよ、やむを得ない事情があるにせよ、そのうち分かるだろう。いつも通りだ。
頭の中での議論もほどほどにして、アビゲイルは眠ることにした。




