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(痛い・・暑い・・苦しい・・・お母様・・にもうすぐ会えるのかな?)

 

 セレスティーネ・ロンバルディーニ 侯爵令嬢14歳


 クレイルロンバルディーニ侯爵領地 ルーベルト地方。

 

 セレスティーネは、寝室にあるベッドから起き上がれずにいた。


 整えれば綺麗なプラチナブロンドの長い髪も、今やパサついて傷んでいる。

  

 彼女は、父ルドヴィックに忘れられたまま14年間を過ごしている。


「セレスティーネ・・一人にしてすまなかった。エリーゼが、子どもを・・産んでいたなんて・・。俺との子を出産していたなんて知らなかったんだ。領地のことは、執事であるマーカスに任せっきりにしていた。本当にすまない・・。今すぐ連れて帰るからな。ちょっと我慢してくれ」


 ルドヴィックは、衰弱している娘セレスティーネを急いで馬車に乗せると、そのまま王都の邸へと連れ帰った。


 ロンバルディーニ侯爵家当主ルドヴィックは、セレスティーネのただ一人の父親だ。

彼は、王国の騎士団をまとめている騎士団長でもある。

 

 哀しいことに、親子はこの事実を知らないまま14年の時が過ぎていた。


 王都にある侯爵邸では、広い敷地内に騎士団の訓練所があったり、一人暮らしをしている騎士たちのためにアパートまで管理されている。


「父上。今日の訓練は副団長のマーベリックから、合格をもらいました」


 ルドヴィックに話しかけてきたのは、彼が育てている義息子になるアレクシス・ロンバルディーニだ。

金髪で碧眼の彼は、綺麗な容姿をしている。


 侯爵令息の彼は、まだ婚約者がいない。

そのため令嬢たちからの人気は絶大だ。


 アレクシスとルドヴィックが、本当の親子ではないことを知るものはかなり限られた人間しか知らない事実だ。


 アレクシスとルドヴィックの出会いは、隣国にあるレオニール王国の伯爵家に嫁いだルドヴィックの妹フィーネが連れてきた。

 

 フィーネが嫁いだ先は、レオニール王国で優秀と言われているエヴァレット伯爵家だ。

代々、レオニール王国の宰相を務めている。

  

 アレクシスは、フィーネから見たら義姉の子どもにあたる。


 アレクシスを孕ったの女性の名前は、マーガレット・エヴァレット。

彼女は、フィーネの義姉にあたる。

 

 マーガレットは出産と同時に、息を引き取った。

 

 宰相をしているフィーネの夫であるランドロフは、アレクシスが誰の子どもか一目瞭然だ。

 

 アレクシスの父親は、フィーネだけを愛していた。


 それでもどうしても、二人が一緒になることはついぞ叶わなかった。


 ランドロフとフィーネは、相談した結果。

フィーネの兄であるルドヴィックに、アレクシスを預けにきた。

 

 アレクシス2歳の時だった。


 ちょうどその時分、ルドヴィックは最愛の妻エリーゼを過労で亡くした時だった。

元々エリーゼは、身体が弱かった。

 それなのに、普段領地に帰ってこない主人ルドヴィックの代わりに領地を繁栄させたり、領民たちの暮らしを少しでも良くしようと無理して働らいていた。

 過労が祟り、エリーゼは25歳という若さで天国へと導かれていった。


 エリーゼを失ったことでショックを受けたルドヴィックは、エリーゼの葬儀を済ませるとすぐ王都へと戻り毎日酒に溺れていた。


 フィーネが、アレクシスを連れてきた時の本邸は、ひどいものだった。

あちこちに酒の瓶が、転がっていた。


 (アレクを連れてきて、正解だったわ。兄は、私の親友でもあるエリーゼを心から愛していたものね。きっと彼女との子どもも、欲しかったでしょうに・・)

フィーネは、兄の惨状を見て気の毒に思った。


 フィーネは、しばらくの間兄に付き合った。

兄が正気を取り戻してから、アレクシスのことを相談した。


 アレクシスを見たルドヴィックは、フィーネと約束をする。

『俺がアレクを・・俺の息子として育てよう。生きる希望を失っていたが、アレクお前と出会えてよかった。俺にも生きる希望ってものが見えてきた』


 ルドヴィックはそれまで副団長のマーベリックに、騎士団のことを任せていたが・・アレクシスを育てるのをきっかけにまた動き出した。

 

 それを見て喜んだのは、騎士団にいるもの全員だ。

英雄だと持て囃されているルドヴィックの復活は、王都全体を揺るがす出来事となっていた。

 

 ルドヴィックが、王都でアレクシスを育てている間。

エリーゼが産んだ娘。

セレスティーネの存在は、領地にいる執事と侍女長しか知らない。


 執事のマーカスは当時65歳という高齢でもあったため、セレスティーネのことはほぼ侍女長であるエラに、任せっきりにしていた。


 エラは、フィーネに強い恨みを持っていた。

フィーネと仲のよかったエリーゼのことも、気に入らなかった。


 ルドヴィックが、英雄と呼ばれるようになった戦果をおさめる日の一ヶ月前のことだった。


 領地にいるエリーゼの元に、ルドヴィックが会いにやってきた。

新婚の頃は、3日かかる王都と領地を一ヶ月の間に2回ほどやってきていた。


 エリーゼは、あまり身体が強くないため子どもがで出来にくいと医師から診断を受けていた。

それでも、その時・・エリーゼのお腹の中には小さな命が誕生していた。


 ルドヴィックは英雄と呼ばれるようになり、日々忙しくしている彼にエリーゼは妊娠したことも、出産したことも伝えることができなかった。

 ルドヴィックの周りが落ち着く頃には、今度はエリーゼが過労で倒れてしまいそのまま帰らぬ人となっていた。


 侍女長としてエラは、エリーゼが赤ちゃんを産んだことをルドヴィックに教えなければならなかったが、フィーネとエリーゼの憂さ晴らしを幼いセレスティーネへと向けていた。

 

 マーカスの前でセレスティーネへの虐待がわかると面倒なので、マーカスが王都へといく時がチャンスだとばかりにネグレクトを・・時には、暴力にまで及んでいた。


 エラは高齢になった執事長が、領地にある邸に出入りしなくなったと同時に、自分もここを去ろうとして計画していた。


 14年ぶりに領地にきたルドヴィックに全ての悪事が明るみにでたエラは、王都にある刑務所へと連行された。

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