僕の名前は。
勇気です、こんにちは
今回のエピソードではある人物の過去を書いていこうと思います、
2008年12月後半
僕が家出してからもうずいぶん経つ、今頃新潟は雪で覆われているだろう
お母さんとラッキーは今何をしているのだろうか。
僕の家出という選択は間違いだったのかもしれない、あの時素直に警察につかまっていればこの一年間の苦しみはなかった
今夜の東京もやはり雪は降らないらしい
隣を見ると、エリナが寝ていた、彼女の頭にそっと手を当てると彼女は目を覚ました
「また考え事?」
エリナは小さな声で言う
「まぁね」
僕は答える
僕たちは公園で寝ていた、帰る場所もなければ、何もない。
「勇気、あんたはね、考えすぎてるんだよ、寝てさ、また明日考えよ」
彼女は提案する
だけど僕は、彼女のきれいな茶髪を眺めていた、公園で寝たり
警察から逃げたり、不審者にストーカーされても、彼女の髪は変わらずきれいだ。
「聞いてないでしょ」
今にでも寝そうな声で、彼女は言った
「聞いてたよ、僕はね、明日じゃなくて今考えたい。
明日はもう、ないのかもしれない」
僕は心配だった、この一年逃げてばっかりでいろんなことが起きた
「怖いんだ、だらしない彼氏でごめん、でも怖い」
そうだ、そうなんだ
僕がまず、自分のお父さんを殺していなければこうならなかった。
「寝て、明日ははあるから、寝て」
エリナは、僕の心配をしている
彼女は僕の膝に頭を当てて寝始めた、僕は座ったまま、何かあればすぐ対処できる体制で寝た。
朝目を覚ますとエリナが自分の膝で寝ていない、おかしい、いつも遅起きなのに
今は朝の7時、時計がある公園に来てよかった、ああ、エリナを見つけた
少し周りを見回すとすぐに見つけれた、彼女はブランコでロン毛の大男と遊んでいた。
僕は早歩きで近づき、二人を見た
「おはよー、見て、友達出来た」
彼女はブランコに乗りながらも大男を指で指した、彼は隣のブランコで激しく揺れている
「ええっと、友達?」
僕は聞いた
「よっ、ロン毛って呼んでくれ、この子は彼女さん?恵まれてんね」
ロン毛、、ロン毛だからロン毛か
変な奴だ、近づかないほうがいい。
「エリナ行こう、ここにとどまってる理由はない、ロン毛、エリナの面倒を見てくれてありがとう、もう行くよ」
エリナはおとなしくブランコを止めて僕の隣に来た。
「おいおいおい!!ちょまてよ!」
ロン毛は僕たちを引き留めた
「いい話があるんだ、な?あんたらホームレスだろ?行く当てないんだろ?
よかったらうち来ないか?広くはないが、狭くもないよ」
30半ばのおっさんに家に誘われたらなかなか行く気になれないが、何かあったら僕が何とかする、
それにこれまでに何とかできなかったことはなかった、だから自信はある。
彼は僕たちの電車賃を払ってくれくれたが、その代わり僕の隣に座りたいといった
電車内で僕の隣に座っては買ったばかりの携帯を僕に見せびらかした
「男だからわかると思ってよ!な?な?いい携帯だろ?」
ロン毛の目はキラキラしている
「う、うん、いい携帯だな、そのカメラできっと宇宙まで見えるよ」
僕は適当なことを言った。
駅から歩いて10分で二階建てのぼろ屋にたどり着いた、ロン毛は敷地内にまるで自分の家かのように入っていった
「嘘だろ」
僕は小声で言った
「文句言わないの」
エリナに怒られた
「天井があるだけましだよ、あの公園で雨降ってたら私たちびしょぬれだったからね?」
「悪くない」
「変態」
僕たちはロン毛の後に続いて中に入っていった
中は意外ときれいで外面があんなぼろ屋だとは想像もできなかった
「あ、そういえば君たちの名前を聞いてなかったね」
ロン毛は突然振り向いて僕たちに言った
「松本勇気っす」
「田中エリナっす!」
僕は普通に名前を言ったが、エリナはやけに元気がありやまっているようだ
今日はまだ朝飯も食っていないというのに。
「実はルームメイトがいるんだ、おーい!!!出てこいや糞野郎!!」
ロン毛は階段のほうを向いて叫んでいる。
「もう黙れやかすぅぅ!!今ゲームのいいとこだったんだよぶっ殺すぞ!!!!」
二階から大きな声がした。
「ごめんね、こんな叫ぶやつで」
ロン毛は僕たちに謝った、自分でも叫んでいたくせに
「もぉぉぉぉぉ!!なんなんだよ糞ロン毛!!、、、あ、いらっしゃーい」
男は二階から出てきて階段を下りている途中に僕たちに気づき、叫ぶのをやめた
「どうもどうも、成宮一郎ですぅ」
階段を下りたとたんに僕の手を取って上下に振った、正直腕が痛い
だけど、彼らが信用できる人で、これからもこの家に泊めてくれるのであればきっとにぎやかな生活になるだろう、その時きっと僕の瞳は希望であふれていただろう。
松本勇気君は、とある理由で自分の父親を殺し、逃げるしか選択がなくなった青年だ
勇気君と、凪君の話はこれから交差しあう