探偵、子供に負ける。
糞が!! 糞糞糞! あのガキ俺のボードで俺の頭を!
どこだ…どこだ。
俺は濡れた道路の中で歩き始めると自分のボードが車に刺さっているのを見た。
「あああ、ああああ! あああ!!! 」
最悪だ、最悪だよ。
俺のボードが、俺の…
俺はそのまま歩き続けるとあの時てばなしてしまったバケツを見つけた、ただ、衝撃で真っ二つで割れていた。
バケツの近くには…あの二人がまだ横になっていた。
ふざけるんじゃねぇ。でも、俺は逃げることにした。
そうだな、東京以外でも探偵事務所は立てれる、簡単だ。
俺は濡れた煙草をポケットから出して、一服しようと思ったが濡れすぎているせいか全然だめだ。
静かに事件現場を離れ、近くのバス停のベンチで足を休憩させた。
「びしょぬれですよ。」
スーツを着た女性が話しかけてきた。
「これくらいが似合う…」
俺は返事をした。
「この時間に仕事にいくんすか?」
俺は彼女に聞いた。
「いいや、人を探してるんです。」
今度は彼女が返事をした。
俺は彼女を堂々と見つめてちょっとした笑顔を浮かべながらこう言った。
「それってイケメンの俺かな?」
「もちろん」
彼女は隙もなく返事をするとバスが来た。
「レディーファースト」
俺は彼女を先に乗せてあげた。
「ありがとう、優しいんですね」
彼女は大股でバスに乗り込み、続いて俺が乗って料金を入れようと財布を出すとそこは空だった。
「私も優しいんですよ。」
彼女は俺に500円渡してきた。
「別に…」
「受け取ってください、でも、話があります。」
彼女は窓際に、俺は廊下側に座るとべっちゃって音が鳴った、濡れたズボンのせいだろう。
バスは動き始め、彼女は口を開けた。
「ボリスさん、あなたの兄弟のこと、わかってますよ」
「俺の兄弟がなんだ?」
「あはは、私は依頼人ですよ、そんなにカッカしないでください。」
笑顔を浮かべると外と見ながらそう言った。
「私の夫は今、捕まってるんです。」
「だから俺に何をしろと。」
「今のあなたは自分のお兄さんたちばかりに守られてきて、だれよりも弱い。でも、お兄さんたちが亡くなった今、ボリスさんは自分で動くしかないんですよ。私といれば誰よりも、強くなれます。」
彼女はまたそんな話をしているが、要件とお金の報酬については話していない。
「聞いたことありますか、ずっと生き続ける黒魔術師の話を」
黒魔術師、それは人の魂を食らって生き続ける悪魔。聞いたことはある。
「私はずっと狙われてるの、黒魔術師のことが嫌いな人いっぱいいて…」
「待て待て待て、それはどういうことだ?」
俺は彼女の話を遮ると彼女はこう答える。
「黒魔術師は私の夫なんです。」