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魔力を操るために

起きたら、すでに一時間が経っていた。手に握りしめた剣は、そのままの形で残っている。

―魔法を込めたら、剣先が炎に包まれたけど、それ以上魔力を注いだら気絶してしまったらしい。またやってみよう。でも、今回は気絶する前にやめておこう。

横になったままの俺は顔を上げて立ち上がった。

―だいたいわかってきたけど、気絶するのはダメだな。

剣の重さにも慣れてきた俺は、集中力を最大限に高め、再び剣先を赤く輝かせる。魔力をすべて使い切ったと感じた瞬間、とっさに剣を手放した。全身が汗でびっしょりだ。倒れ込んだまま、俺はドヤ顔でガッツポーズを決めた。

―よっしゃ! 初級の技術が何となくできたぞ! …待てよ、あれ?

前回の気絶の影響で頭がまだぼんやりしている俺は、重要なステップを忘れていたことに気づいた。

―あれ? 呪文を読み上げなかったから、本来発動するはずがない…。

では、どうやってその技術を成功させたのか? それは、炎の形を頭の中で想像し、その感覚を体の中心から肩へ、肩から一気に掌に送り、剣先まで届けた結果だ。初心者なら、呪文を読み上げなければ発動しないと書いてあったはずなのに…。

途方に暮れた俺は、その理由をしばらく考えたが、結局何も思いつかなかった。

―理由はわからないけど、無詠唱でいけるなら、これから無詠唱を練習しよう。でもその前に、昏睡状態になる前にやめておくのが先決だな。

***

翌日

昨日より進歩しているらしい。試してみたら、剣先に炎を二秒間保つことができた。魔力をすべて使い切らないうちにやめておこうと決め、蔵書室へ向かった。

―すげぇだろ、俺。もう無詠唱でできるなんて、本当にすごいじゃん! …でも、それはさておき、魔力そのものについてもっと詳しくなりたい。きっと魔力に関する本があるはずだ。

広い蔵書室を探し回った末に、ついに見つけた。棚から取り出した本は、思ったより薄い。タイトルは『魔力――その本質と力の原理』だ。

―よし、読んでみよう。

ページをぺらぺらとめくると、魔力の操作方法についてびっしりと書かれていた。

***

一時間後、その本を読み終えた。

―この薄さを見ると、魔力って意外と単純なものなんだな。魔力の基本的な仕組みは三つの要素で成り立っているらしい。

一.この世の酸素は、普通の酸素ではなく、酸素と魔力が結びついたものだ。

二.魔力の供給源は心臓の中心にある「マナコア(魔力核)」で、そこから魔力を放出する。

三.魔力の成長は十三歳まで続き、それ以降は増えない。魔力の総量は生まれたときに決まっている。ただし、発動に必要な魔力量を減らす方法は存在する。

これが魔力の基本的な原則だ。そして、魔力を使いこなすためには「操作」が何より重要だと書かれている。

では、操作で何ができるのか。それも三つの要素に分けられていた。

一.サイズ

二.速度

三.強度

この三つを調整することで、剣や魔法の効果を自在に操れるらしい。

―情報が多すぎなくてよかった。よし、いろいろ学べたし、さすがに疲れたな…。もう遅いし、寝ようかな。明日も今日と同じく、気絶する寸前でやめて、毎日努力しよう。いつか剣全体を炎で纏わせられるようになる!

そう決意した俺は、へとへとになりながら自分の部屋に戻った。すでに寝ているセリリアの隣に横になり、挨拶する暇もなく眠りに落ちた。

***

三ヶ月後

試行錯誤の末、ようやく剣の刃を淡い炎で完全に纏わせることができるようになった。

「ほぼ透明だけど、確かに纏わせている。訓練を重ねれば重ねるほど、発動に必要な魔力量を減らせるようになると思う。それに、俺はまだ十三歳になっていないのに…。」

この三ヶ月で、経験を通じて付与魔法について多くを学んだ。剣に魔法を付与する際、速度の調整は炎がどれだけ長く保たれるかに影響を与えることがわかった。現在の持続時間は十秒で、その間、ある程度剣を振ることができるようになった。ここまで来たことで、いよいよ剣術の練習が可能になった。

そこで、新たな目標を立てることにした。

一 発動に必要な魔力量を減らすこと。

二 無詠唱で炎を纏わせた状態で剣術の練習を行えるようになること。

そう決めた俺は、それから毎日、気絶する寸前まで魔力を使い続けて過ごした。



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