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今まで学んだことについて

生まれてから一年が経った。

少しずつこの世の言語がわかるようになってきた。

俺の家族は四人。父と母、姉、そして俺だ。

そのうえ最近気付いたことがある。

どうやらこの世界には、中世のような階級社会がまだ存在しているらしい。


身分制度は単純だ。

最下層に百姓がいて、その上に平民、貴族、王族。

そして頂点には女王と王が君臨する


貴族としての権力はかなり高く、将来的にさらに身分を高める可能性もあるかもしれない。

前世の名は、清水武久。

だが、生まれ変わった俺には新しい名前が与えられた

グレイソン・ライト


母はアルラ・ライト。父はリントン・ライト。

そして姉はセリリア・ライトだ。



七か月前には歩けるようになり、家の中をある程度探ることができるようになった。

我が家は王都にある大きな邸宅の二階建てだ。


どこを見ても贅沢な装飾が施されていて、前世の知識を基準に考えるなら、今の日本で言えば、おおよそ七億円は下がらないだろう。


俺の生活は至ってシンプルだ。

授乳に食事、あとは邸宅の中を歩き回るくらい。


この家はおおよそ五百平方メートル、部屋数は十。

一つは蔵書室、四つは寝室、一つは食堂、一つは訓練室。

さらに二つはメイドと執事(バトラー)の住居に使われている。

……そして最後の一部屋は、いつも閉ざされたままだ。

その中に何があるのか、俺には分からない。


姉のセリリアは二歳で、俺と同じ部屋を使っている。


この世界での俺の容姿は、透き通るように青白い肌に煌めく銀髪。

そして、母から受け継いだ鮮やかな緑の瞳だ。

父譲りの髪、母譲りの瞳、そんな感じらしい。


セリリアも同じ銀髪だが、その瞳は琥珀色。

宝石のように澄んだ、美しい色をしている。


思考を巡らせた果てに、ついに次の五年間の計画を立てた。

まず第一に、この世界の文字を読めるようになりたい。つまり、知識を手に入れること、それが何よりも優先だからだ


半年前、ふと気づいた。この世界には、魔法が確かに存在している、と。

ならば、魔法使いについて詳しく学ぶのも、当然の流れだろう。


我が家には大きな蔵書室がある。親が留守のときは、決まってそこへ足を運ぶ。並ぶ棚の中から絵本を引き抜き、ページをめくると、知らなかった世界が次々と目の前に広がっていく。


そこには、魔法陣や自己強化魔法、創造魔法、ありとあらゆる魔法のことが書かれていた。それを読めば読むほど、知らなかった知識が頭の中にぐんぐん吸い込まれていくようだった。


さて、計画の話に戻ろう。第二の目標は、剣術だ。


ある日、訓練室で剣を振るう父の姿を目にした。明確で無駄のない動き、一振りごとに空気を裂く鋭さ。器用に、素早く、まるで剣が体の一部のように動いていた。


それを見た瞬間、心の中で何かが弾けた。剣術も魔法も、両方極めれば、父のように強くなれるんだ、と。


父の寝物語によると、八年前、彼は戦将として王都の軍隊を勝利へと導いたという。それだけじゃない。「この国で最強の兵士の一人だ」とも、父は誇らしげに語っていた。


父を目標にすれば、絶対に誰よりも強くなれる。そう思わずにはいられなかった。この一年間で、父の寝物語を何度も聞き返し、彼の功績や生き様を少しずつ知っていく。


中で特に心を惹かれたのは、父が僅か十歳の時にこの国最強の学園に通っていたという話だった。まだ幼いのに、もう最強学園にいる。その事実だけで、胸が高鳴った。


その学園は、ただの学園じゃない。魔法や化学、あらゆる知識を学ぶ場所だ。しかし、入学試験として待ち受けるのは、想像を絶する過酷な試練らしい。どんなものか想像もつかない。だが、父の言葉は胸に刻まれている。「命を懸けなければ、犬死にだ。」


父は十歳になるまで必死に鍛え、力を蓄えて、その試練に挑んだのだ。

そして俺も、同じように、十歳までに全力で努力し、必ず試練に挑む。今まで学んだ知識を糧に、基礎はもう身につけた。あとは実践あるのみだ。


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