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異世界への白い光芒

微かに白い光芒が視界の端に差し込んでくる。

清水武久は、目を開いた瞬間、世界が白に染まった。


次の刹那、彼は悟る。

一体何が……? 俺は死んだはずだ。なのに……生きてる……。


願い通りに、何かが起きてしまったのだ。

その時、タカヒサの耳に二人分の声が届く。

全く聞き慣れない言語。意味など分かるはずもないのに、不思議と鮮明に響いていた。


やっぱり、これ……異世界転生だ!


胸の奥でその言葉が弾け、タカヒサはついに自覚する。

今しがた、自分は異世界に転生したのだと。


光に慣れ始めた目が、ようやく周囲を捉え始める。

そして気づいた。銀髪を揺らす二十代ほどの女性が、こちらを覗き込んでいたことに。


この美女は誰だ?


「xxx―xx」

「xxxx―xxxxxxxxx」

「xxxx―xxxx」


分からねぇ……。やっぱり異世界だから日本語じゃないんだな。


生まれたばかりのタカヒサは、まだ気づいていなかった。

自分を覗き込むその人物が、実の母であることに。


視界の端に広がるのは、豪奢な部屋の光景。

タカヒサは必死に見回そうとしたが、首は動かず、結局、美女の顔しか映らない。


体も動かせないし……天井まで金でできてんのか!?


その瞬間、胸の奥にひとつの予感がよぎった。


まさか俺、貴族に転生したってことか?最高じゃん!

なら……きっと、特別な能力とか持ってるんだろ?ラノベでよくあるみたいに!


やがて前世の記憶が少しずつ蘇り始め、生まれてから三十分ほど経った頃、ついに全てを思い出した。


なぜだ……?転生にはきっと理由があるはずだ。


だからこそ、俺は決めた。

与えられた第二の人生だ。前世で抱えた悩みも、失敗も、絶望も……全部ぶち壊してやり直す!


燃えるような決意を胸に抱いた、その瞬間。


バタンッ!


唐突に、部屋の扉が大きな音を立てて開かれた。

足音が近づくにつれ、思考は途切れる。


気づけば、俺を抱いていた腕からそっと体が持ち上げられる。

まるで壊れやすい花瓶を扱うみたいに。


そして、視界に入ったのは見知らぬ若い男の顔だった。


……先ほどまで自分を抱いていたのは母だ。

それには気づいた。だが、まだ解けていない問いがある。


父は、一体どこに……?


どんどん前世の記憶が蘇ってくる。そして、生まれてから三十分が経った頃、ついに全ての記憶を思い出した。

そんなことを考えているうちについに『父』らしき人物が現れた。

タカヒサの目の前に立ったのは、金髪の若い男。

その腕に抱かれながら、タカヒサは優しく揺らされる。

男の瞳は宝石のように輝き、まっすぐにタカヒサを見つめていた。


「xxxx―xxxxxxxxx―xx」

「xxxxx―xxx」

「xxxxxxxxxxxxxxxxxxx―xxxx」


父はイケメン、母は美女……。これ、完全に勝ち組じゃね?


両親は楽しそうに笑い合っている。

その姿を見て、タカヒサは思った。

自分はすでに恵まれた環境にいるのだと。


なら、この世界で俺は何をすべきか。


未来に思いを馳せるタカヒサ。

だが、それはまだ始まりに過ぎなかった。

これから続く、長い長い冒険の。


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