このキリがない世界
今日、俺は二十歳になった。
傍らには誰もいない。
一人きりの部屋で自分の誕生日を祝っているって言っても、誰も祝ってくれない。
この状況を作ったのは、間違いなく一年前の俺だ。
あの日以来、誰にも連絡していない。今も、部屋に引き籠ったままだ。もう、いやだ……。
頭の中で響く。
なんで俺はこんな目に……クソ、クソ、全部俺のせいだ。
やる気は出ない。
友達もいない。親もいない。
めちゃくちゃになった部屋を見回す。涙が止まらず、自分の情けさが体に染み込む。
何度考えても、どうしてこうなったのか……理由は浮かばない。
周りに味方もいない。これが、四面楚歌ってやつか。
昔は「有望な子」と言われていた。
今の俺と、あの頃の俺は、全く別人みたい。
俺がいない世界のほうが、よっぽどいいだろう
死にたい……でも、死ぬに必要な勇気が出ない。
昔はそう思っていたけど、今は違う。
惨めな自分を見ていると、早く消えてしまいたい。
「勇気」なんて、もう存在しない。
俺は立ち上がり、部屋を出る。
キッチンへ向かいながら、また心の中で自分を責めた。
食器棚から包丁を取り出す。握りしめた手が震え、やらなきゃもうどうにもならないと思った。
「っ……」
自分に刃を突き立てた瞬間、走馬灯のように過去の思い出が流れた。
親友とのくだらない雑談、父との外出、母のぬくもりすべてが胸を締め付ける。
ナイフを引き抜くと、血が勢いよくあふれた。
「全部……やり直せるなら……っ、皆が俺を慰めてくれていたのに……俺は無視してしまって……全部俺のせいだ……」
血がどくどくと溢れ出す。もし、もう一度チャンスがあれば、全部やり直すことができれば、もう二度と同じ過ちを犯さない。
麻痺していく痛みに意識が遠のき、目の前は真っ暗に。
床は、まるで真っ赤な絨毯のように血で染まっていた。
俺は誕生日に、この生涯を終えた。