表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/180

第78話 遠征許可

《登場人物》


ロゼ  コランダムの戦士、リーダー、火属性、女


オークス  コランダムの戦士、ロゼの側近、土属性、男


アシュラム  コランダムの戦士、氷属性、男


エルムンク  コランダムの戦士、雷属性、男


ダリア  コランダムの戦士、人間界の部隊にスパイとして送り込まれている。光属性、女

(第78話 遠征許可)



コランダムの世界、宮殿



ロゼ  「ダリア、お前まで異世界に行くとはどういうことだ。説明しろ。」


ダリア  「人間界でできた知人が私を異世界につれて行きたいと申しました。その人によると、異世界に行く目的のひとつにフリーシアを元の世界に送り返すというのあるそうです。少し気になりましたのでロゼ様に相談しようと考えた次第です。」


ロゼ  「そいつはフリーシアに何の用があるのだ? なぜフリーシアの行方を知っている。」


ダリア  「悪魔に願い事をした際の交換条件としてフリーシアのことを言われたようです。なので、おそらくその人はフリーシアとは会ったことがなければ顔も見たことがないでしょう。」


ロゼ  「悪魔が異世界の事情を気にかけているとはな。知られて困ることでもあるのだろうか。」


オークス  「呪いを解こうとしている過程でうっかり何かをしてしまうことを恐れているのでしょう。」


ロゼ  「フリーシアの目的はリディアにかけられた呪いを解くことだ。目的を果たせないうちは他に手段を見つけないかぎり異世界から戻ることはないだろう。地獄の事情など知ったことではない。」


ダリア  「私は人間界にいてしばらくフリーシアとは会っていませんし、様子を見に行かせていただけないでしょうか。」


ロゼ  「いいだろう。ただ、異世界でフリーシアと一緒に二人旅をする必要はない。7日間だ。8日目にはコランダムの宮殿まで戻ってこい。」


ダリア  「かしこまりました。」


オークス  「ロゼ様、そろそろお時間です。参りましょう。」


ロゼ  「ダリア。フリーシアに会ったら、リディアは今水商売屋で働いていると伝えておいてくれ。」


ダリア  「承知しました。」



ロゼ、オークス、退場する。



アシュラム  「ところで、どうしてダリアの知人はダリアを異世界へ連れて行こうと考えたんだ?」


ダリア  「日頃からよく付き合っているからだと思う。それか勤務態度とかで評価されたのかな。」


アシュラム  「俺が気にしているのはまわりにダリアの戦闘力が知られているんじゃないかということだ。もっと自覚しないといけないぞ。ダリアがコランダムの戦士だとわかれば、人間は自分たちの都合のいいように俺たちの戦闘力を利用しようとするだろう。」


ダリア  「そういえば、武道大会で優勝したり、大食い大会で優勝したこともあったっけ。」


アシュラム  「やりすぎだな。目立ちすぎだ。」


エルムンク  「普段地味なことばかりしてたらたまには活躍したくなるよな」


アシュラム  「力のある者は考えながら自分の力を使わないといけない」


エルムンク  「いいじゃないか。たかが異世界行きだろ。大したことないじゃないか」


アシュラム  「俺たちにとっては大したことなくても、人間にとっては命をかけた大行事なんだ。帰ってきたらダリアは功労者だ。変な話じゃないか? 未成年の女が異世界へ行って無事帰ってこれるなんて。」


エルムンク  「そういうもんなのか。」


アシュラム  「あぁ、異常なことだ。」


エルムンク  「それなら、ダリア、気をつけろよ。異常者扱いされちまったら、優勝したところで英雄になれずに檻の中にぶち込まれるんだ。」


ダリア  「どう気をつけるのよ。行って帰ってきた時点で異常者なら、どうしようもないわ。」


アシュラム  「そうだな。サポーターに徹するのはどうだ? 仲間に知られず無詠唱で補助魔法を味方にかけ続けるんだ。できるだろう?」


ダリア  「やってみる。」


アシュラム  「フリーシアと知り合いであることも知られないほうがいいな。フリーシアと会ったときに、コランダムの戦士だということがバレるのは論外だ。まさかフリーシアから口にすることはないだろうがな。」


ダリア  「わかった。味方が対面するよりも先に私だけでフリーシアと会っておく。」


アシュラム  「そうして、一同が会したときには単なる付き人を演じるんだ。」


エルムンク  「手柄を全て持っていかれるのか。おもしろくない遠征だな」


アシュラム  「依頼者からの信頼が残ればそれで十分だ。」


エルムンク  「自己犠牲か」


アシュラム  「どうとでも言っていいぞ。」


ダリア  「無給でも働ける?」


アシュラム  「少し見方を変えれば、世間にあるのは無給の奉仕活動ばかりだ。」


エルムンク  「どうしてアシュラムって人間界に詳しいんだ?」


アシュラム  「悪いか?」


エルムンク  「何の得にもなりゃしない」


アシュラム  「不要な争い事を避けるためだ。大きな得になっている。」


エルムンク  「優勝するだけが得じゃないってか。」


アシュラム  「そういうことだ。わかったか、ダリア。」


ダリア  「わかったようなわからなかったような…。」


アシュラム  「とにかくこれからは不用意に目立たない方がいい。」


ダリア  「わかった。優勝しない。争わない。目立たない。」


エルムンク  「人間らしくするのって面倒だな。」



(第78話 遠征許可 完)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ