第70話 地下2階
《登場人物》
ティムール 兵士、真面目な性格、男
(第70話 地下2階)
樹海のダンジョン、地下2階
ティムール、地下2階にたどり着く。
片手で扱えそうな剣が落ちている。
剣か。これを使ってモンスターと戦えってことだな。いよいよバトルになるのか。倒したらレベルアップとかするのかな。
ティムール、通路を進む。
紺色の狼が現れる。
狼だ。敵だよな。まさか仲間になるなんてことはないだろう。
紺色の狼、ティムールに向かって飛びかかる。
ティムール、剣先を狼に向け軽く引く。腕に力を込め、同時に前方へ体重をかける。剣で狼を突く。剣先が狼の口を通り胴体へ貫通していく。
紺色の狼の動きが止まる。
やったか?訓練で鍛えてるから剣の腕にはそこそこ自信があるんだ。狼一匹に負けるわけがない。それで、倒したあとはアイテムを拾えるのかな。
ティムール、待つ。何も起こらない。
狼の亡骸がそのままってことは、これ自体が戦利品てことだよね。ってことは、自分で解体しなきゃいけないのか。手間だな。誰かにやってほしいけど、僕しかいないしな。仕方ない。
ティムール、剣で狼の体を捌く。胴体から小さな魔石が見つかる。
魔石か。売ればお金になるけどこのダンジョンでは役に立たなそうだな。けど、捨てるのはもったいないし、一応持っておくか。
ティムール、魔石をポケットに入れる。
この階のモンスターがこの狼レベルなら大丈夫だな。レベルアップらしいことがなかったのは残念だけど、とりあえずモンスター倒せてよかった。今のところ何もかも上手くいってる。こわいくらい。
(3時間後)
下層へ通じる階段を見つける。
階段か。この階で手に入ったのは、剣と魔石8個と果実くらいだったな。モンスターは狼だけ。レベルが上った気配はなし。強くなれないならダラダラとモンスターを倒しても意味がないし、長居は無用か?
いいや、すぐに降りてよさそうな気もするけど、そろそろ休みたいし、この2階で睡眠を取ることにしよう。眠る場所を見つけるんだ。体力を万全にしてから次の階へ進むのでも遅くないはずだ。
(30分後)
広い空間にたどり着く。
ここで一休みしよう。モンスターが来たら食い殺されるかもしれないけど、こんな状況だし僕だって動物だ。熟睡はしないだろう。異変が起きたらすぐに目を覚ますはずだ。
今日はいろいろあったな。ラフィアさんに遺跡まで連れてこられて、スライムから逃げて、剣を手に入れて、狼を倒して、最後は野宿か。野蛮な生活だな。こんなことをしてお金持ちになれるのかな。集めた魔石が大金に変わるとでも? そんなわけがない。おそらく、もっと深い階層にとんでもない困難が待っていて、それをクリアすればレアなアイテムが手に入るんだ。
じゃ、今日手に入れたゴミのような魔石は何に使うのだろう?
考えないほうがいいのかな。疲れた頭で考えるよりも眠ったほうがいいか。そうだ。眠ろう。この硬い床の上で。
(X時間後)
ティムール、目覚める。
体が痛い。さすがによく眠れなかったな。これから先ずっとこんなふうに寝なきゃいけないのか。しんどいな。冒険ってのは楽じゃないんだ。修行に似ているのかもしれない。
さてと、階段まで戻るか。
(第70話 地下2階 完)