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運命変転 悲しみの鎖に囚われし世界  作者: 蛸の八っちゃん
第三章 問いかける爺と永遠の夢を見続ける友の亀
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最高傑作

表の世界 ジョーが倒れている3人を見下しながら、薔薇を嗅いでいる。


「ふむ……私としては少し残念な結果になってしまった。 酸素不足で死なせてしまうとは、私もまだまだだな……」


やがて、もがく3人の生命の火が消え、自然に還る。 突然、急速に灰になって、崩れ去った。


「なっ!? これは?」


突然、どこからか飛んできた縄にジョーは縛られた!! 解こうとするが、固くてどうしようもない。


「これはなんだね!? 解けない……?」


「へへへ、俺っちの『クード・セプレン』っすよ。 まるで蛇みたいでしょ」声がした方を見るとそこには銃を撃ち終わって、なお構えているマックがいた。


「縄の発射角度を計算して、できるだけ全身を縄解きしにくいように絡めるように狙ったっす。 さあ、諦めるっすよ!!」


驚くジョーの目の前の空間が揺らいで、それは徐々にジェシカとレオナルドの形を帯び始めたではないか!


「ジョー、貴様の負けだぁ――ッ!!」


「諦めろ!」


「諸君!?」


ジョーが驚く暇もなく、ジェシカの薙刀とレオナルドの火矢に体を貫かれた。 ジョーの宝石心臓とちぎれた茎ポンプが星光で輝きながら飛び散り、地面に激突した。


「グフォォ!! ……バカな? どうして……? いつから偽物と入れ替わったんだ?」


「あの時の宝石シャワーからだ。 俺が炎の分身を作って、そいつらに後を頼んでいた」


「そして、私達は見えない炎を周りに纏い、貴様から見えなくさせたのだ。 そして、隙を待っていた……なにしろ、貴様は傲慢の名をもらっているのだからな」


「実際、俺っちの射撃に囚われたっすからね」


「そうか……」


ジョーは神妙な顔でみなみじゅうじ座を見ていたが、すぐに紳士の笑顔に戻り、盛大な拍手を送りながら消滅していった。


「素晴らしいねえ、諸君。 もしかしたら、私はもうすでに……最高傑作に出会っていたのか……もしれな……」


消えていったジョーを見送った後、ジェシカが薙刀を背中に背負って、レオに語りかけた。


「はあ……。 よかった。勝てましたね」


「そうっすね、危なかった……。 岳斗たちも無事でいるといいんですがね」


「きっと、大丈夫でしょう。 レオを倒したのですから」


「ああ、そうだった」


白いゲートに戻った3人は岳斗たちの生還を待っていた。 岳斗のことを話していると噂あれば影がなんとやら……。 白いゲートが現れ、そこから岳斗たちが出てきた。


「岳斗! 無事だったのですか!」


「あたりめーよ! 俺の敵じゃねえ!」岳斗がジェシカとハイタッチした。


「逞しいことを言ってくれるのう」


「そっちはどうだったの?」


「ああ、蜘蛛の足が生えたミイラとかが出てきた。 それだけではなく、ジョーも現れた」


「ジョーだと! あいつも生き返ったのか」


「心配するな。 俺たちで倒したぞ」


「仲間、まだいたのね」


「おや、なんすか? この生物は?」


「玄武だ」


「そうか。 倒したのですか。 しかし……クリス辺りがキュン死しそうな体型だ。 抱いていい?」


「いいよ」


「嘘だろ!? 俺の時は断固拒否したのに!」


「てめえはいやらしいんだよっ!! 自覚しろ、このオタンコナスが!!」


「ガーン、ガーン、ガーン……!! ズゥゥゥーーン……」


シャルルに暴言を放たれた岳斗は体育座りでシクシクし始めた。 その横で、ジェシカはアレキサンダーの顔毛同士のもふり合いや腹の柔らかさを堪能している。


「しかし、観光客たちにケガがなくてよかった」


「ほんと、よかったです。 しかも、ここから遠いから気づかれなくて幸いでした」


「……ほんと、綺麗ね。 炎柱と星空の組み合わせがなんとなく幻想っぽいわ」


「そうだな……」


「なんとなく、ジョーの言ってることもわかるような気がする……人は美しさを追い求めるために自分自身を体の中に宿る炎に差し出すのかもしれないな」


観光客が盛り上がる声を聞きながら、一行は天に昇る炎と死者を宝石が散らばったような夜空のワルツをしばらく堪能していた。

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