呪い
表の世界 観光客は火葬場や王国に多く集まっており、夜に危険な遺跡には、人が一人もいなかった。 砂漠の夜は昼と違い、一気に寒くなるのだ。 それに乾燥しているので、星がよく見えて、宝石箱の中にいるような錯覚に襲われる。
3人は怪物が出てくるであろうタウチー遺跡の入り口まで来た。
「ここならちょっと騒いでも大丈夫だ。 さて、準備はいいか?」
「はい」
「こっちも大丈夫っす。 気合満々!!」
ジェシカが薙刀を手にとり、戦士モードに移行した。
「罪なき者を襲う不届きものども、この薙刀で成敗してくれるわ!」
3人がタウチー遺跡の中に入ろうとしたところ、遺跡の門から骸骨たちが剣や盾を持って襲いかかる。
「……! これはかつての兵士たちだ! こんなになってまで戦うのかっ!?」ジェシカが驚いて叫んだ。
「エアウェス ラドルバ! ムルガ、ムルガ!!」
「ジェシカ! 奴ら、来るぞ。 かつて国を守って散った兵士に敬意を表すが、今となっては現世にいてはいけない骸だ。 戦士として、奴らを倒すぞ!」
「……ああ! 承知!」
覚悟を決めた三人は死者たちを観光客から食い止めることにした。
「一気に行くぞ!」
「ハイっ! ペガジュ・エコボータ!!」
マックが背中のバックから灰色の弾倉を取り出して、セットした間も無く死者目掛けて撃った。 銃口から白いねばねば固体が飛び出して、死者たちを地面に釘付けにした。
「よし、狙いやすくなった。 オキョーセ・ベゲス!」
レオナルドが火矢を撃ち、8つの大蛇が死者たちを煉獄に落として、焼き尽くす。
「ぎゃああああああああーーー!!」骸どもは断末魔をあげて瞬時に灰になった。
「私が楽にしてやろう! 天音斬銀天っ!」
ジェシカの乱れ斬りからの空中追撃で悲鳴と共に骨が飛び散った。 まだ地面についてないジェシカに残りの奴らが飛びかかる。
「まだ足掻くか! ラージス・フディラ!」
火矢が空に打ち上げられ、砂漠の夜に一輪の花火が咲いたかと思うと隕石のように降りかかり、骨の体を溶かしていった。
「ぐあああッ!!! ハドヴァ……」
「ふう…… なんとかなったっすね」
「助かった。 礼を言うぞ」
「何、当たり前のことだ。 しかし、随分呆気ないな」
「苦戦するよりはマシだろう」
平和が保たれたことに安堵したのも束の間、地面から這い上がるような音が聞こえる。
「……なんだ? 敵か!」ジェシカが薙刀を構え直した。
3人の中で緊張感が蘇ったその時、砂から人が入れそうなほどの白い箱が次々と出てきた。
「……? 箱だと? 箱が這い上がったとでも言うのか……」
「あの中に魔物が入っているんすかね?」
「ジェシカ、マック。 気をつけろ。 どんな敵か分からない」
白い箱が一斉に錆びついた音を出して、開いた。 そして、蓋が鈍い音を出して倒れ、中身が箱から出た。 なんと、驚くことに黄ばんだ包帯に覆われた人々が浮いている……いや、包帯の間から蜘蛛の足が8本出ている。
「なんと……呪われているっ!」
「うわあっ!! まじやばいっすよ!?」
「なんの! 成敗してくれようぞ!!」
奴らは包帯でくぐもった声を出しながら、足をカサカサ言わせて襲いかかる。
「ハアボー……ラリフェル! バラッタァァァァァァーーー!!」
「これは並大抵の攻撃では倒れないと戦士の勘が言っているっ! クィンライ・イグトゥス!」
矢を5つ一斉に射った。 星を形作った焔龍が旋回して、竜巻になった。 星焔を前に死界からの招待客は言葉を失うほど大きく焼き飛ばされ、灰も残さなかった。 しかし、それでもまだかなり残っていた。
「これで終わると思うな! 貴様らの罪を吹き飛ばしてくれよう! 科戸風刃っ!」
ジェシカの薙刀の刃に聖なる光が宿った。 怪物たちを容赦なく斬り飛ばすと断末魔が上がった。
「ボオオオオっーー!!」
悪霊どもはジェシカの神気に怨念を消し飛ばされ、器は粒子一片に至るまで消滅した。 残る奴らもジェシカを恐れ、慌てたように細長い足を醜く動かして、地面に潜り込む。
「嘘!? お二人とも強いっすね!!」
「ジェシカ、なかなかやるじゃないか! ニノボン星での修行が役立ったな」
「ああ。 それに、私たちはまだ死ぬわけには行かんのだ。 クリスのためにも、世界のためにも……!」
「美しい……! その気高さ、気に入ってるぞ!」
「誰っすか!?」
「! その声は……!?」
振り返るとそこにはみなみじゅうじ座の反射光で服についている宝石が一層輝くジョーだった!
「あんた、とんでもない服装っす!?」
「……な! バカな! 貴様はあの時消滅したはずじゃなかったのか?」レオナルドが信じられないように言った。
「ふっ。 ボスが蘇らせてくれたのさ……」
「えっ?? どういうことっすか? 消滅?? 蘇る???」マックは今の状況を理解できず、疑問が頭の中で渦巻いていた。
「まあ、あとで説明しよう。 今はあいつを倒すことに集中するぞ」
「うっす!」
「ああ、なんて幸運だろう。 最高傑作のモデルとアーティストがこうして、また合間見えるとはね! しかも、今夜はまるでこの世界を祝福してくれるような星だらけだ……素晴らしいだろう、そう思わんかね?」
「ああ、これで貴様が倒されてくれば、これ以上にない夜となるだろう! かかってこい!」
薙刀を構えて、戦意を見せるジェシカをうっとりした顔で見つめるジョー。
「おお……美しいっ! なら、始めよう。 星と砂が奏でる幻想交響曲を聴こうじゃあないか……さあ、この私を楽しませてくれたまえ!」
「全ての力を賭けて、奴を倒すぞ!」
「はいっ! 親父の名にかけて倒すっす!!」
「もちろんだ! 抜かりはないっ!」




