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運命変転 悲しみの鎖に囚われし世界  作者: 蛸の八っちゃん
第五章-β 少女に秘められし禁忌の記憶
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復興への再出発

翌日の昼 ナラノーヴォ星に着いた加那江たちはジュラのいる村に入った。 広場に足を踏み入れるとちょうどジュラが村人たちの健診を終え、狩りの準備のために自分のゲルに戻ろうとしていたところだった。


「ただいま、父ちゃん!」


「おお、帰ってきたか……!?」


と、加那江たち一行の中にメイが紛れ込んでいるのを発見した時、ジュラは思わず涙を流し始めた。


「ま、まさか……」


「ピンポーン、メイでーす! ふふ、ジュラ。 ただいま!」


「メイ……メイ! おかえり!!」


ジュラが走り寄って、メイに熱いハグをプレゼントした。


ジュラとメイ、20年ぶりの再会に二人とも涙を流しながらその感慨を味わっていた。


「よかったね、メイ。 ニーラのおかげだわ」


「うん。 あいつには感謝してもしきれねえ。 岳斗も助けたし」


「ふふ、何回体験しても人の幸せは見てて自分も幸せになるな。 よし、じゃあ私はそろそろ行くよ。 天文台の本格的な稼働のためにテストをしなければならないのでね」


「わかったわ、ジーン。 いつまでも元気で! あ、カミュも!」


「そっちこそ達者でな」


「いつでも私に言ってくだされば、どこにでも運んで行きますぞ!」


「おう、頼りにしてるぜ!」


「おいおい、オイラもいるんだぜっ!」


「ありゃ、悪かったよ。 でも、快適な旅だったろ?」


「まあ、確かに。 飯、うまかったしなっ!」


ジーンとカミュを乗せた船が星から離陸して、宇宙へ旅立つのを見送る加那江たちだった。





エレナはゲルで肉のカレーを煮込んでいた。 そこに加那江たち……そして、メイが帰ってきて、信じられない思いだった。 メイとエレナも感動のハグを交わし、時は夜。 肉を煮詰めたカレーを美味しく頂きながら、メイがエレナやジュラに一連の事情を話すのだった。


翌日 加那江が全快したので、リュカオーンに行くべく、村で別れの挨拶を交わしている。


「スメグル、どうしても行くの?」エレナが寂しそうに言った。


「うん、アタシも四獣だからね。 同じ四獣の青龍、ましてや岳斗が暴走しているとなれば、行かない理由はないわ」


「そうか……。 仕方あるまい、こっちはメイが戻ってきて賑やかだ。 心配するな」


「もちろん!」


「ねえ、パパ。 また会えるかな?」


涙を目尻に溜めながら言ったナディーアにスメグルが微笑んで言った。


「きっと逢えるわ。 どんなに遠く離れていても宇宙は繋がっているから」


「うん……。 信じてる」


アレキサンダーはリンダとメイ(元の大きさに戻った)と話している。


「あたい、いつか緑に覆われたこの星を見てみたい。 楽しみにしてるよ!」


「おう! オイラもだぜ!」


「ふふっ、よーし! そうとなったら一っ飛びして、どんどん種を落としまくるぞ〜!」


メイが気合いを入れると同時に首元に生えている花が種を吐き出して、地面に落とした。 数秒後、種が地面に潜って、すぐに芽を出し始めた。


「ありゃ!? 思ったよりも早いぞ」


「オアシスがあるからかな? ここから広げて行こう」


「うん! じゃあ、あたいは行ってくるよ」


「おう、今度は残りの仲間を連れて遊びに来いよ!」


「もちろん!」


別れ挨拶を済ませたスメグルとアレキサンダーが加那江とシャルルのところに来た。


「おめえら、挨拶は済ませたな。 じゃあ、加那江。 あれを」


「うん」


腰ベルトのバックから青い球を取り出した。


「さて、こいつを両手で持って、岳斗のことを強く思い浮かべるとそこに行けるんだったな」


「ええ、ニーラが言うからには信じていいわ」


「よし、じゃあ俺たちは加那江の近くに集まろう」


「わかったよ」


「いよいよ岳斗たちと会えるのね。 アタシ、楽しみなような緊張するような……」


「準備はOK? じゃあ、行くよ」


そう言って、加那江は目を閉じた。 そして、岳斗と青龍のことを思い浮かべる。


(岳斗……。 青龍になって、暴走した貴方がどのくらい強いかはわからない……。 だけど、絶対助けるわ!)


と、青い球が突如眩しく光り始めた。 同時に加那江たち4人を乗せる形で足元に大きな魔法陣が現れた。 そこから無数の小さい青球が上に発射される。


「魔法陣……!」


「これでリュカオーン星に行けるのかい!?」


「ああ、ニーラの話だとそのはず。 てめえら、心の準備をしとけよ! 着いた瞬間すぐ戦闘ってのもあり得るかもしれねー!」


「わかってる! あたいに任せな!」


「うん! 後、ロンちゃんとレオちゃんも探さなきゃね。 リュカオーン星に来てるかな?」


「さあ、それはわからん。 祈れ!」


と、ここで魔法陣も眩しく光り始め、加那江たちは思わず目を閉じた。 瞬間、加那江たちごと魔法陣が突如消えて、青い光が周りに弾けた。 ナディーアたちは加那江たちがさっきまでいた場所をしばらく見つめていた。


「消えた……」


「加那江たち、無事着いたか?」


「リンダ、きっと大丈夫よ。 信じよう」


「おう!」


こうして、残されたナディーアたちはそれぞれの日常に戻っていく。 そして、加那江たちは運命の舞台、リュカオーン星へ向かうのだった……。

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