エミア
ノスフェラは静かに桃達に話し始めた。
「私は元は人間で、少し有名な殺し屋でした、、」と言うと、話しながらノスフェラは過去を思い出して行った。
病室で話すノスフェラ、医者は「ノスフェラさん、気を確かに聞いてください。貴方の病は今の医学では治りません。私の診察では、、後3ヶ月です」と言った。
ノスフェラはゴホゴホと咳をして、血を吐きながら笑い「ふぁははっ、ゴボッ、そうですか!先生!後3ヶ月もあるのですか?!ゴボッ!ゴボッ!後90日も好きな事が出来るなんて、、私は幸せです!どうもありがとう!」と言うと立ち上がり、病院を後にした。
外に出たノスフェラは空を見上げ「ふふふっ!何て素敵な雨模様なんでしょう!まるで私の心の中の様だ!ははっ!ゴボッ!」とむせながら言って家路に着いた。
傘も刺さずに歩くニヤニヤと歩くノスフェラ。
すると反対から歩いて来る一人の女性に目が行った。
とても素敵な女性にノスフェラは目を離せないでいると、その女性も真っ直ぐにノスフェラを見つめ、ニコッと笑った。
ノスフェラもその笑顔に釣られてニコッと笑った。
家に着いたノスフェラは体を蝕む病の痛みに耐え、咳き込みながらベットで「あぁ、きっとこれまで私が仕事で殺してきてしまった報いが来たんですね、、彼らはこの90日も貰えず、死んでしまった事すら気付かず終わってしまったんですね、、」とブツブツと独り言を言った。
するとノスフェラは泣き出し「うっ、ううっ、私は何て意味の無い人生だったのでしょう、、少しは誰かの役に立ったのでしょうか、、殺し屋として名を馳せても、富を手に入れても、結局空っぽじゃ無いですか、、うっ、うっ」と嘆いていると、突然窓ガラスがガシャーンと割れて人が入って来た。
ノスフェラは咄嗟に構え「何処の組織ですか?」と聞くと女性の笑い声と共に「はははっ!迎えに来たよ!一目惚れだ!私の旦那になってくれ!嫌とは言わせないよ!私はワガママだからな!はははっ!」と言った。
その女性を見たノスフェラは「貴女は今日町で会った人?」と言うとその女性は「エミアだ!私は貴方
を旦那にする事に決めた!だから攫いに来たんだ!はははっ!ビックリしたでしょ!」と言った。
それを聞いたノスフェラは咳き込みながら大笑いして「はははっ!ゴボッ!久々にこんなに笑いましたよ!私はノスフェラです。突然の求婚は有難いのですが、、私は3ヶ月もしたら病気で死んでしまうのですよ」と言うとエミアは笑い「ははっ!大丈夫よ!私と同じ吸血鬼に変えてあげる!心配要らないよ!」と言った。
そこから2人でたわいも無い談笑を続けて、朝になる頃、ノスフェラはエミアの血を体に分けて貰い、吸血鬼になった。
ノスフェラの体はドンドンと元気になって、1週間もしないうちに普通の生活を取り戻していった。
吸血鬼になったからといって、特に生活が変わる訳でも無く、お日様もニンニクも十字架も問題無かった。たまに血を飲みたくなる事を除いては、、、
そんなある日の事エミアがノスフェラに「ねぇ、ノスもそろそろ元気になって来たから、私の故郷に行かない?」と言った後、少し恥ずかしそうに「あの〜、、一応私、、吸血鬼の女王なのね、、それでね、ちょーっと故郷が気になるなぁって思っちゃったのね」と言った。
ノスフェラはニコッと笑い「行きましょう、エミアの仲間にも挨拶がしたいからね」と言うとエミアは「ありがとー!」と言って、満面の笑みでノスフェラに抱き付き、何度もほっぺや口にチュッチュッをした。
それから二人でエミアの故郷に向かい出発した。
二人は山奥の故郷に着くと、沢山の吸血鬼が大喜びして二人を出迎えてくれた。
エミアの故郷は吸血鬼や人間、そして鬼も一緒に住める素敵な町だった。
その夜町の皆んなで、女王が帰って来た宴が開かれ、大人も子供も大いに騒いだ。
宴も終わり、エミアとノスフェラはエミアの部屋に戻ると、エミアが微笑み「ふふっ、いつ帰るか分からないのに綺麗にしといてくれたんだな。ありがとう!」と言ってベットに腰掛けた。
エミアは自分の隣をポンポンと叩き、ノスフェラを隣に誘った。
隣に座ったノスフェラにエミアは「ありがとう!こんな山奥まで着いて来てくれて」と言うとノスフェラは微笑み「ふふっ、妻の実家に顔も出さないんじゃ悪い旦那ですからね」とふざけて言うと二人で笑った。
するとエミアが緊張した様に「ノスさえ良ければずっとここに居て欲しいんだけど、、ダメかな??」と言うと、ノスフェラはまた微笑み「もちろん!ずっとここに居ますよ!私はここが気に入りました。しかも貴女と一緒に入れるなら、こんな素敵な事はありません!私は何処にでも着いて行きますよ」と言った。
それを聞いたエミアはニヤニヤして「にひひっ!いい旦那を貰った!これからもよろしくね!」と言うとノスフェラもニコッと笑い「えぇ!私もとてもいい妻を貰いました!こちらこそよろしくお願いします」と言うと、エミアはニッコリ笑って灯りを消した。
続




