敵味方
二人はパチパチと拍手がなる方に目をやった。
住処の奥から、拍手をしながら
「強いね〜!いや〜強いね〜!」と先程、戦っていた鬼よりも一回り大きい鬼が出て来た。
大きい鬼は、やられて足下でウーウー唸ってる鬼達を見て
「おいおいおい?!やっぱり村鬼なんか連れて来なきゃよかったな!鬼がみんな弱いと思われちまうよ!」
と鬼達をバシバシと蹴りながら言った。
すると一匹の鬼が、一回りでかい鬼に
「やめてくれ!兄ちゃん、傷が深くて死にそうだよ!」と泣きながら言った。
でかい鬼は笑いながら
「ははっ!お前らの代わりなんかいくらでもいるんだよ!俺みたいな戦闘鬼の盾にぐらいしかならないんだからな!」とまた蹴りながら言った。
その光景を見ていた桃がムッとした顔で
「なんか、胸糞悪りぃな…」とボソッと言いゴリの方を見た。
ゴリは桃と目を合わせると
「あいつ強いよ。あいつが居なかったら、俺は勝ってたからね」と桃に言った。
するとでかい鬼が金棒をグルグル回して
「おいっ!お前ら!今謝るなら、金を掘る部隊として使ってやっても構わないぞ!ちゃんと謝れるならな!はっはっは」と大笑いして桃達に言った
その言葉を聞き桃はスタスタと歩きながら
「お前、なーんかムカつくなぁ。」と鬼の前まで行った。
でかい鬼は桃を見下ろし
「なーんだ!やるのか?折れた刀でどうすんだー!泣いてもイジメちゃうからな!」と金棒を桃に振り下ろした。
桃は振り下ろされた金棒をスルッとかわし
「俺と出会った時点で、お前もう終わってるから!と言い下からでかい鬼をズバッと斬り上げた。
でかい鬼はグワーッと言いながら斬られた所から灰になっていった。
桃は何とも言えない顔で
「あんまり五月蝿いから、力入りすぎたな、、」と言って刀を鞘に納めた。
でかい鬼は最後の断末魔で
「赤鬼王様ー!ばんざーい!」と言い消えていった。
それを見た鬼達は、散り散りに「お助けー」と言って走って逃げて行った。
ゴリが桃に近寄り「お疲れ!」と言って拳を出すと、桃もその拳にコツンと自分の拳をぶつけて「あぁ、お疲れ!」と言った。
ゴリが「brotherあれ?どうする?」と傷の深い鬼を指差して桃に聞いた。
桃はその鬼にスタスタと近付いて行く。
ウーウーと唸る鬼に寄り添う弟鬼が、震える体で桃の前に両手を広げて立ち塞がり
「兄ちゃんの事、、見逃してくれよ、、俺の最後の家族なんだよ」と泣きながら言った。
桃は頭をポリポリと掻きながら困った様子で
「もう斬る気はねぇよ!薬草貼ってやるからそこどけ」と言い、その言葉にビックリする弟鬼を避け兄鬼に近付いて行った。
桃が薬草を兄鬼にペタペタと貼っていると弟兄が泣きながら「なんで鬼に優しくするんだよ?敵だろ?」と桃に聞いた。
桃は薬草を貼りながら
「敵なんだろうな、、向かって来るなら!でも血を流し倒れてる者に、俺は敵味方はねぇよ!しかも俺が斬った傷だし、、」とニッコリ笑い返した。
その時桃の左手の紋章が輝き、兄鬼の傷は塞がり、動けるぐらいまではかいふくした。
ゴリが住処の奥から葉っぱで作った包帯を持って来て「brother!包帯はこれぐらいで足りるかい?」と言って桃に渡した。
桃は「あぁ、ありがとう!これだけあれば足りそうだな」と言って兄鬼に巻いてあげた。
そして弟鬼に肩を貸してもらい、住処を後にしようとしていた。
兄鬼達が頭を何度も下げ「ありがとう、ありがとう」と言うと、桃は
「にゃはっ、礼なんかいらねぇよ、また次向かって来たら斬るからな」と言いニヤッと笑い手を振った。
その光景を見てゴリはニヤニヤして
「主人公みたーい!」と桃をイジった。
桃は照れ怒りしながら
「うるせーな!お前達が俺を主人公にするんだろ!邪魔ばっかししやがって!」とゴリの尻を蹴った!
それから桃は両手を上げて大声で
「にゃははっ!奪還作戦成功だー!」と叫んだ。
ゴリも胸をドラミングして、ポコポコ鳴らし、それに応えた。
続