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それぞれの目覚め


 紅の火の魔法を、桃を抱きながら避ける不死子。

紅の容赦無い攻撃にドンドンと追い詰められていく不死子。


不死子は心の中で(あかん、、、もう力が入らへん、どーしたらえぇんや、、桃も気を失ってもうてるし、あーウチどーしたらえぇんや?)と考えてると、紅の[火槍]が不死子に当たってしまった。


ドサッと下に落ちた二人に紅が「終わりだな!オノゴロも不死鳥も、、ふっはっはっ!これで俺が全ての鬼の王になる日も近いぞ!!」と言って、両手に炎を纏わせて「さようなら!お二人さん!」と言って[火葬]を刺そうとした。


すると丁度紅の部屋の入り口まで来ていた、ゴリとツクヨがその状況を見て、二人が大声で「やらせるわけねぇーだろうがっ!!!」と叫び走り出した。


ゴリは全身銀色の体毛に包まれ、ツクヨは9本の尻尾が生え、不死子は体に燃える様な羽毛を纏い、紅に向かって行った。


紅の[火葬]を不死子が燃える様な羽毛で受け止めると、紅が「何っ?!貫けないだと?」と驚いて

言った。

そしてツクヨが紅に向かって[闇鎖]を放ち動きを止めるとゴリが右の拳をグルグルと回して、大きく振りかぶり[野生の一撃]を紅に喰らわせた。


紅は「ぐはっ!」と言って部屋の壁に叩きつけられた。


ゴリ、不死子、ツクヨは力が抜けた様にガクッとその場に膝をつくと、元の姿に戻っていった。


するとゴリが笑いながら「ははっ!おーいbrother!そろそろ出番だぜ!早いとこ、かましちゃってくれよ!」と言うと桃はムクッと起き上がった。


桃はギシギシとなる体で動き出して「わりぃ、、心配かけた、、もう大丈夫だ、、、俺負けねぇーから!!お前達ゆっくり休んでろ!」と言った。


紅も起き上がり桃達に向かって声を荒げて「ふぅー、ふぅー、お前達、、ただの旅人だろ?何のために俺に立ち向かって来るんだ!」と言った。


桃は笑って「にゃ、、ははっ!俺が寝てたらお前皆んな殺すだろ、、、俺の仲間、オノゴロの皆んな、その後は世界中の皆んな、、ゴホッゴホッ、、、 それにお前が居ると死にたくなっちゃう奴が居るんだよ、、俺はそいつに死んで欲しく無いんだよ、、だから俺はお前に向かって行くんだ!俺の後ろには死なせたくねぇー奴が沢山いんだよーーー!!」と叫んだ。


桃は刀を顔の前に構えると、深呼吸して「不死子、ありったけの魔力で俺に[加速魔法]を使ってくれ!」と言うと不死子は頷いた。


続けて桃は「ツクヨ、あいつの動きを止めてくれ!」と言うとツクヨも頷いた。


そして「それからゴリ、元気が出る応援頼む!」と言うとゴリは渋い顔で「あぁ!任せとけ!」と言った。


桃は紅にニコッと笑い「一瞬だ、目瞑るなよ!」と言うと、一気に足に力を入れ、飛ぶ様に紅に向かって行った。


紅はその早さに焦り「くっ、、早い!反撃が間に合わ、、」と言いかけた所で、ズバッと音とともに、桃が[脱力斬り]で駆け抜け、前のめりに倒れ込みながら「くっそ、浅かったか?」と言って倒れた。


紅がドサッと膝をつき、血を吐きながらまた立ち上がり「ははっ、俺の勝ちだな!俺はまだ立ってるぞ!」と言うと、桃も「んぎーー!」と立ち上がり紅の方を向いた。


すると桃はニコッと笑い、刀を鞘に収め、あぐらをかき、頬杖をついた。


紅が笑い「はは、、はっ、降参か?」と聞くと、桃が紅の後ろを指差して笑い「にゃはは!主人公交代だ!」と言った。


紅が後ろを振り返ると、怒りに満ちた顔の天音が立っていた。

天音は紅と目が合うと「ぐーーー!れーーー!なーーー!いーーー!!!」と言って[神速]で走り出した。

それを見た不死子が「おまけや!」と行って[加速魔法]を上乗せした。


天音は走りながら、心の中で(あぁ、なんて素晴らしい日なんだろう、どれだけこの日を待ち侘びたか、、何千、何万と振った剣は無駄じゃなかったんだな、、一体この日、この一振りの為にどれだけの血を流してしまったのだろう、、本当に私のしている事は正しいのだろうか?ふっ、今はどれだけ考えても答えなどでぬ、、父さん、母さん、ようやく私は前に進めそうだ!ありがとう!オノゴロの大剣は今日もオノゴロの敵を討つ!!)と想った。


そして天音は大剣を振りかぶり、紅に向かって「終わりだっ!紅っ!!国は返して貰うぞっ!!」と言ってズバッと紅を斬った。


紅は「ぐわぁーー!」と言って血を吐き出し、白目を剥いて吹き飛び倒れた。


天音はその場にペタッと座り込み、紅を見て「やっと…終わった?終わったのか?」と言うとボロボロと涙流しながら大声で「うわ〜ん!終わったよ!!やっと終わったよー!!」と叫んだ。


その姿を見た桃は、笑いながら大の字に寝転び、両手の拳を高く突き上げて「にゃははっ!俺達の勝ちだーー!!」と大声で叫んだ。


ゴリ、不死子、ツクヨもその場に座り込んでニッコリ笑い、拳を掲げた。



           続

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