野生のゴリラ
コーヒーを飲んでくつろいでるゴリに不死子が「なぁ、ゴリ、ほんまに訓練せんでえぇんか?」と聞くと、ゴリは両手を叩いて笑い「はっはっ!お嬢ちゃん!野生が訓練したら、そりゃもう野生じゃ無いんだよ!何故俺が強いか分かるかい?」と返した。
不死子はンーッと考え「ゴリラやからか?」と言うと、ゴリは人差し指を立て、左右に振り「チッチッチッ!俺だからだよ!」と答えた。
不死子は「なんやそれ!意味わからん!」と言うとゴリは笑い「俺が俺であるために訓練はしてはいけないんだ!訓練をしたらそれはもう俺じゃない!首輪のされたゴリラと一緒だ!」と言った。
不死子は呆れた顔で「余計意味わからんわ!要するに動きたく無いって事やな!」と言うとゴリは変顔をして親指を立てた。
そんなやり取りをしていると、アラガが部屋の中に入って来た。
アラガは三人に「何も無くて退屈か?よかったら天音隊長と俺の話しでもしようか?」と言うと、ゴリと不死子は頷いた。
アラガは椅子に座ると「まず俺はこの国の王子だ、本当は姉が二人居るんだけど、1番上のテラスねぇちゃんは自由な人でどっかに旅に出たんだ、2番目のツクヨねぇちゃんは突然姿が見えなくなった。一人、国に残った俺は天音隊長の部隊に所属した」
「紅がこの国に来て少ししたら、父と母がおかしくなって、隊長が話しを聞こうとしたら、紅に隊長が牢屋に入れられてね、それを俺達、天音部隊が助けて今に至るって感じだ」
「とにかく紅は天音隊長を目の敵にして、執拗以上に攻撃を繰り返した。両親を処刑したりしてね、処刑の日、隊長はその場に居て、紅に斬りかかろうとしたんだけど俺達がそれを止めてしまった、今考えるとあそこでどっちかが倒れるのが良かったのかも知れないな…」
「もう、この反乱軍と呼ばれる俺達に勝機は無いに等しい、次に大きい衝突があれば終わるかもしれない…でも俺達は紅に、隊長を、オノゴロの大剣を折らせる訳にはいかないんだ!俺達は国などくれてやっても構わない!ただ隊長を死なす訳にはいかないんだ!」と言って拳を握った。
ゴリは「お前が王子様なら国王と話せるんじゃないのか?」と聞くと、アラガは「父と母は私の事を忘れてしまった様に、全く話しも聞いてくれないよ、結局、俺の命も危ないから城にも戻れないしな。ねぇちゃんが居てくれたら、どんだけ心強かったか…」と言った。
不死子は「そやったんか、ねぇちゃん好きやったんやな、まっ!今回はウチ達もおるし、何とかして城取り返そうや!そしたら王様も王妃も話し聞いてくれるやろ!天音も死なんで済むしな!桃が帰って来るまでのんびり待とうや!」と言った。
アラガは少し笑い「ふふっ!そうだな!クヨクヨしててもしょうがないしな!さぁ!夜ご飯の準備でもするか!」と言ってキッチンに向かって行った。
するとゴリも立ち上がり「俺は山に入って野良豚でも捕まえてくるよ!人数も多いしな」と言って部屋の外に出て行った。
しばらくすると野良豚2頭を両脇に抱えてゴリが戻って来て「さぁ!皆んなでたらふく食べよう!」とエプロンをして、皆んなに料理を作り始めた。
皆んなでワイワイと食事をして、夜が更けていき、そのまま皆んな眠りに着いた。
皆んなが寝静まった後、ゴリは星を眺めながら、毒草の木を吸いながらボソッと「brother、早く帰って来いよ、つまんねーよ、一人で吸ったって面白くねーよ」と呟いて、その場に大の字で寝転んだ。
次の日、ゴリが朝目覚めてロッキンチェアでコーヒーを飲んでいると、不死子も起きて来た。
不死子が「おはよー」と言うとゴリも「おはよー」と言って、テーブルに不死子のコーヒーを用意した。
そしてゴリが新聞を読んでると「この新聞、ひでぇー記事だな。紅バンザーイって感じの記事しか書いてない!つまんねー記事だよ!」と言うと、ゴリはアラガに「この新聞、なんでこんなつまんないんだ?」と聞くとアラガは「普通の記事はこの国では通らないよ、紅様バンザイの記事じゃないとね」と言った。
ゴリは「そっか、まともな記事じゃ悪政がバレちゃうからか」と言うとアラガは悔しそうな顔をした。
アラガが「今日も訓練するけどどうする?連れの銀太郎とコアラは一生懸命やってるぞ」と言うとゴリは「パス!銀太郎は兵隊志望だからな、俺達は兵隊志望じゃないからな!毎日が楽しければそれで良い」と言うと、ゴリはまた新聞を読み始めた。
その頃、桃と天音は、次の訓練の打ち合いをしていた。
練習用の剣で二人でバシッバシッと打ち合いをしていると天音が「いいぞ!よくなって来ているぞ!桃!魔法使いながら戦ってもいいぞ!」と言うと桃は首を傾げて「魔法?俺上手く使えねぇーんだよ!魔力はあると思うんだけど、全然ダメ!にゃははっ!」と笑った。
天音は驚き、訓練を止めて桃に「無意識に使ってるのか?城下町で戦ってる時は使っていたじゃないか?」と言うと桃は笑って「にゃははっ!使った覚えは無いよ!」と言った。
続




