親孝行
血を吐きながらうずくまるジソンに、イーが駆け寄り、泣きながら
「おいっ!何やってんだよ!俺なんか助けてどうすんだよ!?」と、言うと
ジソンは「ゴホッゴホッ!ははっ、体が勝手に動いてしまった、イー怪我は無いか?」と言った。
イーは
「怪我なんかねぇーよ!それよりお前の方が大変じゃねぇーか!今すぐ病院連れてってやるから死ぬんじゃねーぞ!」と抱き抱えようとすると
ジソンが「もう無理だ、傷が深すぎる、ゴホッ、このまま、お前達の顔を見て死なせてくれ…」と言った。
五人はボロボロと泣き
「ふざけんなよっ!なんのためにここまで来たんだよ!死に顔見に来たんじゃねぇーぞ!俺達は!」と叫んだ。
ジソンは、和かな顔でみんなを見つめ
「ふふっ、みんな大きくなったな、ゴホッ、お前達を見てると新しい世界を見てる様だ」と、言うと
イーは「もう喋んなって…」と言って、涙をこぼし続けた。
ジソンは笑いながら
「はははっ!どんだけやんちゃしても泣き虫イーは治らんか。はははっ」と、言うと
イーは「馬鹿にしたって何だっていいから、生きてくれよ、うっうっ、俺達に親孝行させてくれよ…」と言った。
ジソンはニッコリ笑い
「親孝行ならもうしてるじゃないか、元気に生きてる。それだけで立派な親孝行だよ!ゴホッ、全員顔を見せてくれるか?」と言った。
イー、モレー、アイス、スクープが、ジソンから見える所に顔を出して、ジソンに泣きながら顔を見せた。
その顔を見たジソンは
「泣く事は無い、私のが年上なんだ、先に逝くのは自然だ。
最後に全員の顔が見えて私は幸せだ。
私のどんな“発明達”もお前達には叶わない、
私の金庫にお前達のプレゼントが入っている。
これからの人生に役立ててくれ、あぁ、“息子達”の顔を見ながら逝けるなんて、私の人生も捨てた物じゃないな!」とニッコリ笑い目を瞑った。
四人は泣きながらジソンを見つめていた。
すると不死子が明るく
「はいはーい!ちょっと道開けてくれるか?ウチの前では悲しいお別れは中々出来へんで〜」と言って、
四人の間に入って来た。
イーが怒り気味に
「女!今はおふざけ出来る時じゃねぇーぞ!」と怒鳴った。
不死子はジソンに向け、手を光らせながら
「やかましいなぁ、今バシッと回復させたるから、少し黙って待っとき!」と言った。
するとジソンが目をパチッと開けて、笑い
「あははっ!まだ死なないみたいだな!」と言った。
それを見た四人はジソンに抱きつき、また大泣きして喜んだ。
その光景を見て不死子は笑って
「死にそうになっても、生き返っても大泣きで忙しいやっちゃな!治したるから、もう少し待ちーや!」と言うと
イーが「ありがとう、ありがとうな、ほんとお前達!最高のクソッタレ野郎だよ!」と、泣き笑いして言った。
すると見張りをしていたジャンジーが驚き、桃を指差し
「おいっ!君!それは陽炎じゃないか?!」と言うと
桃はンッ?と顔をして「あぁ!そんな名前だったか?目を覚まして、また悪い事しない様に見張ってんだ!」と言った。
ジャンジーは陽炎の顔を見て落胆し
「酷い…こんな落書きだらけの顔にされてしまって、しかも街中を引き摺り回され晒し者にする!くっ!あなた達は拷問のプロだな!」と言った。
桃は手を横に振って
「いやいや!拷問とかじゃねぇーから!その、いやっ、悪ノリってやつかな?」と言い訳をした。
すると暴れていたゴリも合流して
「ふぅー!いい汗かいたぜ!brother調子どう!」と桃に声をかけた。
桃は「最高!なぁ、ゴリまた親父さん迎え来てるぞ!」と笑いながらジャンジーを指差した。
ゴリはンッ?と顔をして、ジャンジーを見て
「父さん!」と言うとジャンジーが
「俺はゴリラじゃない!」と言うと三人で笑った。
アイスもその光景を見て
「お前ら好きだな!そのノリ!」と笑った。
すると不死子が
「回復終わったでー!はよ、帰ろう!ウチお腹ペコペコや!」と言った。
桃もお腹をさすって「あぁ!腹ペコだっ!」と言うとみんな笑った。
ジソンが立ち上がろうとすると、ヨロヨロっとよろけてしまった。
それを見たイーがジソンに背中を向け、しゃがみ
「乗れよ!おんぶして行ってやるよ!」と言った。
ジソンは照れ臭そうに
「ふふっ、ではお願いするかな」と言ってイーの背中に乗った。
全員でキャンプトンに向かって歩き出そうとすると、ジャンジーが
「なぁ!たまにキャンプトンに顔出してもいいかな?嫁と子供に、俺が生まれた所と最高のクソッタレを見せたいんだ!」と笑って言った。
イー、モレー、アイス、スクープの四人は笑って、イーがジャンジーを指差して
「はぁ?俺達の出所どこだ?!自分家に帰るのに誰の許可もいらねぇーだろ!いつでも帰って来いよ!俺達はずっとここに居るぜ!マイメン!!」と言った。
ジャンジーは涙を堪え、上を向き
「この俺をまだマイメンと呼んでくれるのか?ありがとう!!」と言った。
イーが笑って
「へへっ!親父守ってくれてありがとうな!またなっ!」と言って九人はキャンプトンに向かって歩き出した。
続




