正義のヒーローじゃない
三人は振り返り「何やってんだっ!こらっ!!」と言った。
桃は怒った顔で店員を指差し
「目の前で仲間蹴られて笑ってられるほど、俺達は大人じゃねぇーぞ!!覚悟出来てんだろうな!?」
と、言った。
店員は笑いながら、桃に
「何が覚悟だ?!どーするって言うんだ?騒ぎを起こせばすぐに軍がやってくるぞ!」と桃に言った。
桃はフッと笑い
「お前の相手は俺じゃねぇーよ!」
と店員の右辺りを指差した。
店員が右を見ると、そこには怒った顔のゴリが拳を振りかぶり、店員に飛びかかっていた。
ゴリが店員をドカッと殴りつけると
店員は「ぐわっ!」と言って、殴られた勢いで壁にぶつかり、白目を向いた。
殴ったゴリは
「馬鹿にされたって、水かけられたって許してやるよ!ただ仲間傷つけたら、そりゃ別物よ!」
と、店員を指差して言った。
そしてゴリはツクヨに近づいて
「ごめんね、痛かった?抱っこして連れてけばよかったね」とツクヨの頭をナデナデした。
この騒ぎで店の中の客は大騒ぎしていた。
「おいっ!誰か軍を呼んだのか?」
「だからストレイドッグの連中なんか店に入れなきゃいいんだ!」
「早く逃げなきゃ殺されるわ!」
と、ワーワー騒いでいた。
その光景を見ていた桃は
「ギャーギャーうるせぇな!不死子!ピストル貸せ!」と言った。
不死子は嫌な顔をして
「えっ?いやや!桃、絶対に壊すやん!」と言って、
桃の顔を見ると、真っ直ぐに笑って不死子の顔を桃は見ていた。
その顔を見て不死子は観念して
「あーもう!絶対壊すなや!」と、言って
桃にピストルを渡した。
桃は受け取ると笑い
「にゃははっ!壊さないって!」と、言って
魔力をピストルに込め、上に向けて引き金を引いた。
するとピストルから“特大の魔法玉”がズドン!と
音と共に飛び出して、天井に大穴を開けた。
ゴリと不死子は目をまん丸にして、
「おいおい…brotherやり過ぎだろ」
「あかんって!絶対ピストル壊れたやろ!」
と言った。
桃は大笑いして
「にゃははっ!やり過ぎちった!」
と、みんなの方を向いて笑った。
不死子が駆け寄り、ピストルを桃から奪ってジロジロとピストルを見ると大声で
「あーーっ!!やっぱ壊れとるやんけ!引き金パカパカしちゃって、撃てなくなっとるやんけ!あー!やっぱ貸さなよかったわー」
と、桃にバシバシとチョップしながら言った。
桃はとぼけた感じで
「えっ?!いや…最初から壊れてたぞ、うん!最初から」と言うと、不死子が
「まぁっ!この子は!嘘までついて!このアホタレがっ」と言い、またチョップした。
すると入り口の方が騒がしくなり、大勢の人と鬼が混ざった軍が入ってきた。
「ここは包囲した!抵抗は辞めて大人しく捕まれ!」と言いながら桃達を囲んだ。
ゴリは
「まぁ、見事に鬼と人が組んでんだな!brotherどうする?鬼だけやるか?!」と桃に聞くと、
桃は笑って「にゃははっ!俺達に刃向けてんだ!全員まとめてぶった斬る!」と言うと
ゴリと不死子は「了〜解!!」と言って構えた。
軍の偉そうな人が
「なんだ!?構えやがって!やる気か?罪を重ねて悪人になるつもりか?!」と言うと
桃がニヤッとして
「いいねぇ〜!悪人。元々俺達、“正義のヒーロー”になるつもりもねぇーよ!さぁ!お前達、暴れるぞ!」と言って、軍に向かって行った。
桃が刀に手をかけて
「さぁて!どんな斬れ味だ!」と刀を振るうと
テーブルや椅子が簡単に切れた。
その斬れ味に桃は喜び「ゴリ!これ何でも斬れるぞ!」とゴリに言うと
ゴリは笑って「当たり前だ!誰が研いでやったと思ってんだよ!」と言い、親指を立てた。
桃が天井を撃ち抜いたせいでお店がギシギシと音を立てて、今にも崩れそうだ。
桃が斬り、ゴリは殴ったり、掴んでは壁に叩きつけ、不死子は魔法で補助をしたりして、3人が遊ぶ様に戦っていると、ツクヨが軍に向かって、大きく口を開けて[闇の息]を放った。
放ち終わると「ゲップッ」と言ってドヤ顔をしていた。
桃が驚いて
「すっげー!ツクヨ!お前も魔法使えんのかよ?!」と喜んで言うと
ツクヨは二本足で立ち、“エッヘンポーズ”をしてまたしてもドヤ顔で決めていた。
ゴリは「ふふっ」と笑い、
不死子はヤバいって顔をして
「あぁー!魔法はウチだけやと思ったのに!ウチのポジション危ういやんか!」と言った。
ほとんどの軍の人や鬼を倒し終わると、軍の偉そうな人が
「お前等!これは重大な事件だぞ!お前達を指名手配にしてやる!無事にこの街から出て行けると思うなよ!」と言った。
それを聞いた不死子が笑って
「はははっ!何言うとんの?まず自分の心配しいや!」と言うと、もう軍の偉そうな人の前まで桃が迫っていた。
ゴリが「ふぅ、もう終わりだな!」と言ってツクヨを抱っこして歩き出した。
それを聞いた不死子も
「あぁ!終わりやな!もうすぐ店も崩れるし」
と言い、髪を後ろに縛り直しながら歩き出した。
桃がニコッとして軍の偉そうな人を殴り、壁にぶつけると同時に三人は外に出た。
桃がその後を追うように外に出ると、店はガラガラと音を立てて半壊した。
続




