鉄を打つ音
桃が散歩に行こうと歩き出すと、後ろから不死子が
「こらっ!なんでウチの事置いて行こうとするや!」と、言うと桃は
「んっ?一緒に行くのか?」と返すと
不死子が桃にチョップして
「当たり前やっ!なんでひとりにすんねん!ドアホがっ!」と言った。
桃は頭をさすって
「チョップすんなよ!にゃはは!んじゃ!一緒に行くか?」と言って二人で歩き出した。
しばらく村の外を歩くと、黄色い花が一面に咲く丘を見つけ、桃が「んーっ」と、背伸びをして
「ここでゴロゴロするか?」と寝転んだ。
不死子も「んー綺麗やな!」と言って、桃のお腹に頭を乗せた。
桃が「んっ?なんで俺を枕にする?」と言うと
不死子は「えっ?!だってウチ枕ないと眠れへんもん!お腹ぐらい貸してーや!」と言うと
桃は笑って「にゃはは!まっ!いっか」と言って
ふたりでゴロゴロしだした。
不死子が
「平和やな〜、毎日こんなんやったら幸せやな!」と桃に言うと
桃は「あぁ、平和だな〜!どっかの国で争いが起きてるとは思えない青空だ!」
そんな会話をしてると、桃がズボンのポケットからゴソゴソと何かの機械を出した。
不死子がそれを見て「なんやそれ?」と聞くと
桃は「これか?昔、ジィちゃんに貰ったラジオ、今日はハードイーの放送が流れる日なんだよ」と、言いながら、ラジオに付いているゼンマイを巻き出した。
ゼンマイを巻き終えると、ラジオから放送が流れ出した。
「yo-yo!お前ら!調子はどーなんだーい!俺の方は相変わらずヤベー調子だぜー!今日も素晴らしいトークと曲で乗らして行くからyo!」とノリノリのラジオが始まった。
不死子が驚いて
「なんやこれ!?どっから音出とるん?」と桃に聞くと
「俺もジィちゃんに聞いたら、どっかで誰かが喋ってるのが、エネルギーでここに届いてるとかなんとかって言ってたな。俺もよくわかんねー!にゃははっ!」と笑って答えた。
するとラジオからは
「さぁ!続いてのヤベーリクエスト曲は…ジッジジー ンのLife goes on!だっ!」と聞こえてきた。
桃は「あっ!聞こえ辛いな!でも俺の好きな歌だ!」と言うと、不死子も黙って聞き
「えぇ歌やな!ウチもこの歌好きやわ」と、言い
二人で目をつぶって聞いてると、お日様ポカポカで気持ちよくなって寝てしまった。
どれくらい寝たのかはわからないが声がしてきた。
「おーい!brother!お嬢ちゃん!刀打ち終わりましたよー!起きる時間ですよー!」と、ゴリが言っている。
桃と不死子はその声で目を覚まして、桃が
「うわっ寝てた!」と言うと
不死子も「ウチもぐっすりねてしもうたわ!」と言ってゴリを見た。
ゴリはニッコリ笑って「さぁ!帰ろ!」と二人に言うと二人も笑って「うん!帰ろ!」と三人で鍛冶場に向かった。
鍛冶場に着くと、ヘトヘトの鉄と鉄心が座って待ってた。
鉄が「おうっ!おかえり!刀見てくれよ」と桃に刀を渡してきた。
桃は刀を手に取り、鞘から抜いて刀を眺めた。
刀を見た桃は不思議そうに
「なんか違う刀みたいだな?見てると吸い込まれそうだ…少しピンクに輝いて綺麗だな!」と言うと、
鉄が「気に入ったかい?色付けは息子の仕事だ!」と腕を組んで桃に言った。
桃は喜んで「にゃはは!すげー気に入った!ありがと!」と刀を鞘にしまった。
喜んでる桃を見てゴリが
「俺もちゃんと手伝ったからなbrother!斬れ味が悪くなったらすぐ言ってくれ!研ぎは俺に任せろ!」と腕を組んで、ドヤ顔で言うと
桃は「あぁ!頼むよ!また曲げない様に気を付けないとな!にゃはは」笑った。
桃が鉄と鉄心の方を向いて「刀ありがとうな!大事に使うよ」と言うと
鉄は「折れたらいつでも来い!何回だってタダで直してやる!まっ!俺が打ったらそう簡単には折れねーけどな!!」と言うと、鉄心も頷いた。
桃は「ありがと!それじゃ!俺達は宿屋に戻る!またな」と言うと
鉄が「あぁ、またな」と行って三人は宿屋に戻った。
そして次の日の朝、三人が村の外に出ようとすると、村の皆んなが集まってきて、各々桃達に声をかけた。
「ほんとありがとね」
「昨日パン焼いたから持って行って」
「また近く来たら寄って」
と皆んな別れの挨拶をした。
三人は大きく手を振り、村の外に出て少し歩くと、鉄心が待っていた。
桃が「息子!居ないかと思ったよ!」と言うと
鉄心は「いや、村のみんなが居たから、ここで待たせて貰ったよ!」と言った。
桃がキョロキョロして「おっさんは?」と聞くと
鉄心は笑いながら「“俺は刀打つんだっ”、挨拶は昨日した、って言って、行かないって言うんだ。ごめん」と言うと
桃は笑って「にゃははっ!おっさんらしいな!」と言った。
すると村の方からカーンカーンと鉄を打つ音が聞こえた。
それを聞いた不死子が
「はははっ!“またなー”って言っとるみたいやな!」と言うと皆んな笑って頷いた。
そして桃が「またな!息子!」と手を挙げると
鉄心は深く頭を下げて「ありがとう!またね!」と挨拶をして桃達は歩き始めた。
続




