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村人Aに戻りたい


 掴んだ鬼の手にどんどん力を入れる桃。

鬼は「何だ?!お前は?力入れてんの…んっ?!いてっ!いててっ!」と痛がり、膝をつき鬼は掴んでいたじぃさんを離した。


桃は鬼を掴んだまま「じぃちゃん!大丈夫か?」と言いながら、ブンッと鬼の腕を引っ張り、鬼を鬼達に向かって投げた。


じぃさんは口から血を出しながら「大丈夫だ!それよりも、やはり物語は始まってしまったみたいだな…」と桃の左手を指差した。


指を指されて、桃が左手を見てみると、左手の甲に桃の紋章が光っていた。


桃は驚き「えっ?!」とじぃさんを見ると、じぃさんは親指を立ててニッコリ笑い「目にも紋章出てます」とサラッと言った。


桃は勢いよく「出てます!じゃねーわ!」とツッコミを入れて、そして真面目な顔に戻り「ん、まぁ…じぃちゃん、村の皆んなと休んでてよ。勝てるかわかんないけど、やるだけやってくるわ!」と鬼の方に向かって行った。


桃は歩きながら「はぁ〜…どいつもこいつも…何で邪魔するかな〜、、まったく、、紋章って何だよ!主人公みたいじゃん…」とブツブツと独り言を言いながら鬼に近付いて行った。


近付いて来る桃に向かって鬼が「何だ?!お前もあのじぃさんみたいに泣かし……おごぉぉお」


鬼が喋ってる途中で、桃のパンチが鬼の腹を打ち抜いた。


鬼の腹にパンチをめり込ませながら「五月蝿い!誰が泣いてたって?俺のじぃちゃんが泣くわけないだろ?!」と怖い目をして言った。


鬼達は一斉に「この野郎!お前もやって、村人全員皆殺しだー!」と目を血走らせながら桃に向かって来た。


桃は鬼達の攻撃をスルスルとかわし、バチバチと殴りながら思った。


(あぁ…凄い鬼の攻撃がよく見える…これが主人公補正ってやつかよ。パンチも当てる場所が薄っすら光って見えるし、、当てれば吹っ飛ぶし。あぁ、、こりゃ主人公は強いわけだ。嫌だな…これからずっと戦うのかよ…宿屋主人公の宿命に変えてくんないかな?勇者様!お泊まりは五千円です!って言いたいなぁ〜)


そんな事を考えながら戦っているとじぃさんの声が聞こえてきた。

「桃ーーー!!この刀で切るんだ!桃の紋章のお前なら鬼に絶大な効果を発揮する!」と刀を桃の方に投げた。


桃は気付いていながら、気付いてないフリをして、また考えていた。


(ほらっ!あんなに主人公になっちゃダメって言ってたじぃちゃんすら、刀投げてきちゃったよ。あぁ…あれ受け取ったら始まるよ…長い旅始まるよ)


気付いてないフリをする桃を見て、じぃさんは「えぇーー!気付いてないのーーー?桃ちゃーん!刀投げましたけどー!」と叫んだ。


飛んで来る刀を、流れるように受け取り、近くに居る鬼を一気にズバッと斬った。


そしてその返り血を浴び、真ん中分けだった髪をかき上げて「クソがっ!どいつもこいつも俺の邪魔しやがって!宿命だか何だか知らないけど、主人公になった奴の気持ち考えた事あんのかよ!でも…こうなったら仕方ない!今だけ主人公になってやるよ!」と言った。


そして残りの鬼達に向かって走り「俺の幸せな村人A生活を滅茶苦茶にしやがって!ちきしょー!」と言いながら鬼を斬って行った。


全ての鬼を斬ると、動ける鬼は逃げ出し、動けない鬼は桃が逃げてる鬼にぶん投げた。


そしてじぃさんの所に行くと、村人達が集まりじぃさんの手当てをしていた。


桃は「じぃちゃん…大丈夫か?」と心配そうに言うとじぃさんは親指を立てた。


そして「すまんな桃…やはり宿命は変えられないな…」と申し訳なさそうに頭を下げて桃に言った。


桃はその言葉を聞いて空を見上げて、黙ったままだった。



      

           続

 











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― 新着の感想 ―
こういうノリ、好きです。頭を空っぽにして読める。文章も軽快で読みやすく、元気になる。まだ読み始めたばかりですが、楽しみに読ませていただきます。
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