握る拳の意味
村に朝に鐘の音が響いた。
「鬼だー!鬼が来たぞー!」と門番の声が村に響く。
鬼達は「うるせぇーよ!別に攻めに来たわけじゃねぇーよ!ボスからの伝言を伝えに来ただけだって!いいから村人全員集めて来いよ!」と門番の尻を蹴った。
鐘の音を聞いた、三人も着替えて外に出た。
桃はあくびをしながら
「朝早くからうるせぇーな!ボコボコにするか?」と言うと不死子が
「別に攻めに来たって訳じゃ無いみたいやから様子見とこや」と言った。
ゴリも腕を組み「お嬢ちゃんの言う通り、下手な揉め事は避けとくか、brother!」と言った。
すると村長が少し怒り気味に
「今更、我々の村に何の用だっ!金なら沢山払っただろうが!」と鬼に言った。
鬼はヘラヘラしながら
「おいおい、別に攻めにきたわけじゃないって言ってんだろ!今から読むから待ってろ!」と紙を取り出して読み出した。
「久しぶりだな、親愛なる村人諸君よ!何年か前が懐かしいな。俺達は今、金が必要になった。そこでそんな愛おしい君達にとっておきの提案がある。君達の命を買おうと思う。一人20万だ!流石に急じゃ俺も申し訳ない。明日の朝集金に来るから、集めとくように!見張りを付けるから逃げても無駄だぞ。以上」
と、読み終わると、読んでいた鬼が
「そー言う事だから、早く金集めてこい!」と村人を睨んだ。
その手紙を聞いた鉄が
「なぁ?鬼…お前らの所に人間の男が居るだろ?元気か?」と聞いた。
鬼は鉄を睨むと大声で笑い
「ギャハハッ!あの男はもう用無しだよ!今日の朝ボコボコにしてやったよ!やられてる間、父ちゃん、父ちゃん、て泣いちゃって、みっともねぇったらありゃしない!もう武器も作れない様に、手もグチャグチャにしてやったよ!ギャハハッ!んっ?お前あいつの親か?ギャハハッ!山に捨ててやったから、早く行けば助かるんじゃねぇか!早く行ければな!?」
と鉄に言い放った。
鉄は拳を握り凄い顔で鬼を睨みつけ
「何で…何でだっ!!何でお前達はいつも俺から奪うんだ!知っていた!息子がお前達に武器を作っている間はお前達がこの村に来ないことを、息子が武器を作って売った金でこの村を救っていた事を!一人で戦っていた事も!もう我慢の限界だ!」と言いながらドンドンと鬼に向かって歩いて行った。
それを見た不死子とゴリが動き出そうとすると桃が手を出して止めた。
不死子が「なんで止めんのや?おっさん死ぬで!」と言い桃の顔を見ると必死に我慢した顔で
「今はおっさんの喧嘩だ!ここで俺達がやったら、おっさんの握った拳の意味が無くなる」と言った。
ゴリは腕を組み「漢だねぇ〜!」とハンサムな顔で言った。
ドンドンと鉄は鬼に近付き、鬼を通り過ぎようとした。
すると鬼は「おっと!何処にも行かせねぇーぞ!」と鉄の進路を遮った。
鉄は物凄くでかい声で
「どけっ!!息子を迎えに行くんだっ!!」と
鬼を力一杯殴った。
殴られた鬼が「痛ってーな!ボスに殺すなって言われたけど、殴るなとは言われてねーなっ!」と鉄を殴りつけた。
吹っ飛んだ鉄に向かって鬼が歩き
「丁度いいや!金が払えなかったらどうなるか、見せしめにやってやるよ!」と鉄を掴み上げて殴りつけた。
鉄は何度も殴られて薄れゆく意識の中、ふと昔の事を思い出した。
「父ちゃん、俺この家出てくよ!」と鉄心が言うと
鉄が「何でだ?!てめぇ、まさか鬼の所行くんじゃねぇだろうな?!ふざけんじゃねぇぞ!」と怒鳴った。
鉄心は黙り、ポケットから札束を出して、泣きながら「だって武器作ればこんなに貰えるんだぜ!」と言った。
鉄は顔を真っ赤にして鉄心の胸ぐらを掴み
「てめぇ!心子の事、母親の事忘れたのかっ!!」と言うと鉄心は鉄の手を振り解き
「いつまでも昔の話ししてんなよっ!母ちゃんが死んだのだって、父ちゃんの刀のせいじゃないだろっ!
今の刀打たない父ちゃん見たら、母ちゃんだって悲しむよ!」と言って家から出て行こうとした。
その鉄心の後ろ姿に鉄は「もう2度と帰って来るなっ!」と言うと鉄心は「あぁ…」と言って家を出て行った。
鉄は思い出し終わるとボロボロと涙を流し泣いていた。
それを見た鬼は
「ギャハハッ!痛かったかい?親子揃って泣き虫だな!ギャハハッ」と大笑いした。
すると他の鬼が「おいっ!死んじまうとお前が20万払う事になるぞ、その辺にしとけよ」と、言うと殴っていた鬼は「へへっ、そうだな」と鉄を投げた。
続




