あの日決めた
ご飯が運ばれてきて、三人で食べていると、女女将が来て
「もしかして不死鳥さんの娘さんかい?」と聞いてきた。
不死子はご飯を食べながら
「そーだよ!覚えててくれたんや!」と言うと
「やっぱり!髪の色で思い出したよ。あの時はお世話になったね!」とニコニコ話した。
不死子はグッと親指を立てた。
三人ともご飯を食べ終わると、女女将が鍛冶屋までの地図を持って来てくれた。
「これで場所はわかると思うんだけど、たぶん仕事はしてくれないと思うよ…あの店は息子さんがやっていたんだけどね、何年か前から行方不明なのよ。噂では鬼に武器を作ってるらしいのよね。あくまで噂よ!昔は親子で仲良く金物を作ってくれてたんだけどね」
と、教えてくれた。
その話しを聞いて不死子が
「そうやったんや…ウチがこの村来た時は、まだカンカン聞こえてたような気がして、ここに来てしもうたわ…」と、言った。
女女将は思い出しながら
「不死鳥さんに治療してもらった時は、まだ鬼はここに来てなかったからね。
オノゴロ国があんな風になっちゃう前は、鬼が出たって報告すると、すぐに白馬に乗って女の剣士が、大きな剣を持って来てくれたもんだけど、あんな風になっちゃってからは…今は来なくなったけど、
この村は何年か前はお金を払って、鬼に守られてた村だからね」と寂しそうに言った。
桃は不思議そうに
「鬼が人を守る?それでなんで鬼来なくなったんだ?」と、聞くと女女将も不思議そうな顔で
「いつの間にかパッタリと来なくなっちゃったんだよね…時期的にはちょうど鍛冶屋の息子さんが居なくなった辺りでね」と返した。
話が落ち着いた所でゴリが
「それじゃ、そろそろ行くか?」と二人に言うと
二人は「あぁ!」「そやな!」と言い席を立った。
ゴリが女女将に
「地図とお話しありがとう!お会計お願いします」
と、言うと女女将は
「いいえ、お会計はいらないよ!そこの娘さんには、昔お世話になったからね!」と言った。
三人は驚きながら「ありがとう!ごちそうさまでした」と言って店を後にした。
店を出るとゴリがさっき貰った地図を片手に歩き出した。「多分こっちで合ってると思うんだけど…」
と、言いながら歩いてると鍛冶屋が見つかった。
その店はお世辞にも立派とは言えず、ボロボロだった。
引き戸を開けて
「すいませーん、誰か居ますか?刀直して欲しいんですけど〜?」と聞くと奥から声がした。
「おーいっ!張り紙見えないのか?休業中って書いてあるだろっ!」と言いながら人が出てきた。
さほど大きくはないが、とても筋肉質な、職人系の体をした男だった。
その男は桃達を見ると
「なんでぇ!知らない顔だな!悪いけど刀は直せねぇー!帰ってくれ!」と追い返そうとした。
するとその男は、桃の腰に着いている刀を見て目を大きく見開いた。
その男はゆっくりと桃に近付いて
「この刀どうした?」と聞いた。
桃は「んっ、にゃはは!じぃちゃんから貰った刀だ!なぁ?!俺が力一杯振り回したら曲がっちゃったんだよ!なんとか直してくれねぇーか?」と男に聞いた。
男は桃に「少し触らせてくれないか?」と聞くと
桃は鞘から出しづらそうに引っ張り刀を出して男に渡した。
男は目を輝かせて刀を色んな角度から見て、少年の様に「凄い!まさかこんな刀が見れるなんて…誰かの手は加えてあるが、素晴らしい!!」
と、ジロジロ見ながら言った。
その言葉を聞いたゴリは
「あぁ!折れてたから俺が手を加えてしまった。刀直してくれるか?もしくは作業場を借りたい」
と、言うと男は怖い顔になり
「だめだ!もう俺は刀を作らないとあの日決めたんだ!作業場も貸すことは出来ない!早く帰ってくれ!」と桃に刀を返し、三人を扉の外に押し出した。
外に追い出された三人はふぅーっとため息をつき
ゴリが「とりあえず宿でも取って、明日また聞いてみるか?」と言った。
桃は「そーだな。まっ!ダメなら他の村か町の鍛冶屋探そう」と言った。
不死子は「あんなに嫌がるって、何があったんやろな?」と言って三人はトボトボと宿屋に向かって歩き出した。
宿屋に着いてゴリが受付をしていると、桃が
「なぁなぁ!俺の夢がここにあるんだけど!あぁー早く宿屋の店主になりてーな〜!」と宿屋をくまなく見回した。
それを聞いた不死子は
「あほかっ!お前は早く世界を救え!刀曲げとる場合ちゃうぞっ!」と言った。
するとゴリが「部屋取れたぞ。行くよ!」と二人に声をかけた。
続




