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昔の恋人


 桃の紋章が光るのを見て、喜び飛び跳ねるおじいさん。


桃が「おいっ!じいさん!大丈夫か?」と聞くと

おじいさんは「はっはっはー!たまらん!たまらんぞ!今日は人生で2番目に最高の夜じゃ!」と喜んだ。


するとおじいさんは桃の目をジーッ見て

「ここにもあるっ!」と喜び、

不死子の下の瞼をグイッと下げ

「ここにもあるっ!」と喜び、

ゴリの背中を叩いて「ここにもっ!」

と、大喜びで転げ回った。


三人が引き気味に

「おいおい!魚の寄生虫にでも当たったか?」

「いや、もうこれ病院やろ?ヤバいって」

「brotherの紋章の光はイカレ光線か?」

と、言いながらおじいさんを見守った。


しばらくするとおじいさんは、落ち着きを取り戻し

「すまん!すまん!あまりの嬉しさに我を忘れてしまった。」とまた焚き火の前に座った。


三人も焚き火の前に座ると、おじいさんが話し始めた。


「取り乱してすまなかった。ついに動き出したかと思うと居ても立っても居られなかったんじゃ。」

と、おじいさんが言った。


桃がはてな顔で

「何が動きだしたんだよ?!」とおじいさんに聞くと、

おじいさんは意味深な顔で

「ふふっ、皆まで語るまい。ここから先の言葉は何の意味も無いからの!どれだけ語っても、君達の前にワシは無力過ぎる」と、おじいさんは返した。


その言葉を聞いてゴリは

「なんだ?じいさん、ポエムでも始めたのか?」

と、桃に聞くと、

桃は「わかんねぇな、俺のこの紋章気に入ったって事か?それかさっきゴリが取ってきた毒草キマッテんじゃないか?」と返した。


すると不死子が

「いやいや、ウチもじいさん、キマッテると思って、浄化の魔法ずっーとかけてるんやけど効果ないわ!ありゃシラフやで!」と笑った。


おじいさんは三人を見て

「ふふっ!いい日じゃ!飲もう!とっておきの葡萄酒があるんじゃよ!」と言い立ち上がり、樽を持って来た。

おじいさんは木をくり抜いたコップに、葡萄酒を注ぎ三人に渡した。


おじいさんは「さぁ!乾杯じゃ!」と言って、木のコップを高く上げ、グビグビ飲み干した。


それを見て桃は笑い

「にゃはは!じいさん楽しそうだから、まっ!いっか!飲もう!」とゴクゴク葡萄酒を飲んだ。


ゴリも「そーだな!楽しい酒なら歓迎だ!」とゴクゴク飲んだ。


不死子は「えーっ!ウチ飲んだこと無いで!これ美味いんか?」と言いながら飲み始めた。


四人で飲んで食べてワイワイと過ごしていると、あっという間に夜が更けていった。


不死子が眠たそうに「ウチもう寝る、おやすみ」

と、その場に倒れた。

すると桃がリヤカーから薄手の布を不死子にかけ

「おやすみ」と言った。


三人でまた飲み始めるとゴリが毒草を噛み始めた。


それを見た桃は「あっ!ずりぃーな!俺にもくれ!」と手を出し、受け取り噛み始めた。

おじいさんも「ほっほっ!ワシにも一つくれんか?」と手を出した。

ゴリは「じぃーさんもイケる口かい?!」と毒草を手渡した。


三人でクチャクチャと噛んでいると、桃がおじいさんに「なぁ?じいさんの名前ってなんて言うの?」と聞いた。


それを聞いたおじいさんは笑い

「はっはっ!名も人生も海の底じゃ!だからワシはじいさんじゃ!」と返した。


ゴリが手を叩いて笑って「ほんとじぃーさん、ポエマーだよな!」と言った。


するとおじいさんは、ぼぉーっと遠くを眺め

「あの時は何もかも噛み合わなかった。あの日気付いて、動いた時にはもうどうする事も出来なかった。もう一度やり直せたら、そう何度も祈った。あの日に止まった世界の流れが、どんぶらこ、どんぶらこ、と流れ動き始めた。こんな希望に満ちた夜は最高じゃな!」と呟いた。


桃はそんなおじいさんを見て

「幸せそうだな!じいさん見てるとじぃちゃんを思い出すよ!元気してっかなぁ!」言った。


おじいさんは笑いながら

「桃太郎なら元気じゃろ!あやつは不死身みたいに死なんからな!さぁ!そろそろワシらも寝よう!明日に響くぞ!」と言った。


桃とゴリは「そーだな!そろそろ寝よう。おやすみ!」と言ってその場に倒れた。

桃は眠りに着く前に

(あれっ俺、じぃちゃんが桃太郎って言ったっけ?んー!まっいいや寝よ)と思い眠りについた。


朝、目覚めると不死子が桃とゴリに浄化の魔法をかけていた。

不死子が浄化の魔法をかけながら

「おはよー!頭ガンガンする…これが二日酔いか」とダルそうにしていた。


そして、三人で出発の準備をしておじいさんと別れの挨拶を交わした。

「じいさん、世話になったね!楽しかったよ!ありがとう、じゃーね!」と口々に挨拶をすると

おじいさんは「ワシも楽しかったぞ!また会えるじゃろ、またな!」と言った。


三人を見送るとおじいさんは着替えて、釣竿を持ち、腰に魚を入れるカゴをつけ

「さぁて!亀でも助けて、昔の恋人にでも逢いに行くとするかの!」と歩き出した。




            続

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