旅の始まり
村を後にした三人はオノゴロ国を目指して道を歩いていた。
「ふぅーここら辺で休憩するか?」
と日陰にゴリがリヤカーを止めた。
リヤカーから飲み物を出してみんなで座って休憩していると、不死子が
「そー言えばママから貰った服見たか?」
と二人に聞くと二人は首を振った。
「えぇー!見ようや!どこどこ?」
とリヤカーの中をゴソゴソと探した。
不死子が大きな布袋を見つけると
「あったでー!見ようや!」
と袋の中から洋服を取り出した。
まず、黒い服の上下と白のタンクトップを取り出して「これは桃のやな!うわっ!3セットも入ってるで!」と桃に見せた。
桃はその洋服を見てグッと親指を立て
「にゃはは!最高!生地が良い!」と言った。
次に派手な柄シャツを出して
「これはゴリやな!うわっ!こっちも3セットや!ママ寝てへんのやないか?!」と洋服を取り出して言った。
「んっ?まだ入っとるな!」と袋を覗き
ゴソゴソするとショートパンツと短めのTシャツと白いシャツが3セット入っていた。
それを見た不死子は目をウルウルさせて
「なんや?!ママ、ウチが行きたいの知ってたんか?ありがと」と言った。
すると洋服から1枚の手紙が落ちてきた。
「んっ?なんやこれ?」と不死子が拾い、読み出した。
「みなさんへ。お洋服気に入ってくれたかしら?きっと不死子も行きたいと言うと思ったので、三人分作っておきました。替えが無いと大変だと思い、3セット作って置きました。夏は涼しく、冬は暖かく、さらに防水、防臭の効果も魔法で付けときました。
気に入って貰えるとママは嬉しいです。風邪などひかず、旅を楽しんでください」だってさ、
と不死子が言った。
すると二人はすかさずツッコミを入れた
「いやっ!ワーク○ンの売り文句!」
そして桃が追加で
「にゃははっ!!魔法付けるなら防御一択だろ!」と激しく言った。
不死子もそのツッコミを聞いて
「そやな!」と腕を組んでウンウンと頷いた。
続けて「あっ!防御の魔法はウチに頑張れって事やな!はははー!」と笑った。
ゴリが早速柄シャツに腕を通して
「おぉ!brother!なんか着心地いいよ!柄も俺好み!」と喜んで桃に言った。
それを聞いて、桃も早速着替えると
「おぉ!本当だ!凄く着心地いい!不死子!お前もそんなオレンジのジャージなんか脱いで早く着替えろ!」と言った。
不死子は着替えながら
「このジャージもママが作ってくれたやつだから肌触りは一緒やねん!不死鳥の羽で作られてるんやから!だから魔法も付けられるんやで!」と言った。
桃とゴリは目をパチパチさせて
「ママさんの羽でこの服出来てんの?不死鳥すげー!」とはしゃいだ。
バッチリと着替え終わった三人は嬉しそうにしていた。
ゴリが
「さてと、そろそろ出発しますか?」
と言うとンッと何かに気付いた。
「なぁ?brother?何で鞘に刀収まってないの?」と聞いた。
桃はギクッとして申し訳なさそうに
「エッ…いやっ、バレたか!実は鬼と戦った後入れようとしたら入らなくなっちゃった!にゃはは!ごめん!」と言った。
ゴリは刀を取り、真っ直ぐかどうかを見て
「激烈に曲がっとるな!」と笑いながら言った。
続けて「すぐは直せないから、先ずは刀鍛冶が居る村を目指そう。そこで工房を借りて直しますか!」
と桃に言った。
桃は両手を合わせて
「へへっ!お願いします!」と言った。
それを聞いていた不死子が
「刀鍛冶が居る村ならウチ知ってんで!昔、怪我人が出て、ママと行った事あるからな。やっぱりウチ居て良かったな!ほな!着いて来ぃーや!」
と先頭を歩き出した。
二人は「はーい!」と不死子の後ろを着いて歩き始めた。
するとゴリが
「ちょっと待てぇーい!」と二人を呼び止めた。
二人は「んっ?」と足を止めると
ゴリが「リヤカージャンケン勝負じゃ!」と叫んだ。
「へっ!負けて泣くなや!」と不死子が言い
桃は「負けた奴は次の村までリヤカー担当だからな!」と勝負を受けた。
最初はグー!ジャンケンポンっ!の掛け声とともに勝負がついた。
先頭を歩く不死子、その横を歩く桃
カラカラとリヤカーを引くゴリ。
ゴリは「あぁーあ!お金貯めて、馬車買おう、、」
と呟いた。
続




