嵐の夜
横たわる不死子に村人達が近寄ろうとすると、殴った鬼が不死子の首を持って持ち上げ
「動くんじゃねー!このまま締めちまうぞ!」と村人達に怒鳴った。
「うぅう」と村人達が立ち止まると、鬼は笑いながら
「そーだよ!最初っから大人しくしてればいいんだよ!」と言った。
するとおっちゃんが悲しい顔で
「なぁ、鬼、、この村の好きな物を持っていってくれて構わない。だがその子だけは勘弁してくれないか?不美さんとの約束なんだよ。その子だけは、うっうっ」と涙ながらに言った。
おっちゃんは不美がこの村に来た時の事を思い出していた。
それは雨と雷が凄い嵐の夜だった。
ひとりの若者が
「おーい!凄い嵐だ!早く家に戻れー」と村のみんなに声をかけて回っていた。
その時、雷に混ざって、バサバサと音がした。
上を見上げると、燃えるような鳥が村に落ちるように降りてきた。
若者がその燃えるような鳥に恐る恐る近寄った。
その燃えるような鳥はとても傷付いて、今にも死にそうだった。
するとその燃えるような鳥は、人の形になり、その手にはまだ小さな赤ちゃんを抱えていた。
「誰か。誰か居ますか?誰でもいいです、助けて、この子だけでも、誰でもいいからこの子を助けてー!お願いっ!」と叫んだ。
若者は村のみんな呼びその燃えるような鳥を助けた。
燃えるような鳥が目を覚まし村人達に
「ありがとうございます。皆様のおかげで、不死子も私も助かりました。本当ありがとうございます。」と深々と頭を下げた。
村のみんなは
「気にするな!困った時はお互い様だ!」
「本当元気になって良かった。」と口々に言った。
それから、村はその親子を村に受け入れた。
ある日畑仕事をしていた若者が
「やっぱり土地が元気が無いな、このままだとまた食い物が無くなっちまう。」と嘆いていた。
すると不美がニッコリ笑い
「あらあら、やっと恩返し出来る時が来ましたね」と言いながら、両手を胸の前に持っていき、光を集め出した。
若者は「おぉー」と驚いた。
すると不美はその集めた光を上に上げ
「いたいのいたいのとんでいけー!」
と光の玉を空に放った。
みるみるうちに痩せ細った土地は生き生きとし出した。
若者は腰を抜かし
「すっ、凄い!こんな魔法初めて見た!不美さん、一体あんた何者だ?!」と不美に言った。
不美はニッコリ笑い
「あらあら、驚かせ過ぎちゃいましたか?私?私が何者かって?」と言った。
不美は自慢げな顔で
「不死鳥です!エッヘン!」と腕を組んで言った。
続けて優しい顔で
「私と娘を助けてくれた恩は一生忘れません!私の力はこれからこの村に使います!」と言った。
この出来事はすぐに村中に知れ渡り、村のみんなは大いに喜んだ。
そしてこの親子を村の家族として受け入れた。
それから不死子はすくすく育ち、不美と一緒に村のみんなの怪我を治したり、鬼が来たら魔法で村のみんなを守り、楽しく暮らした。
おっちゃんが昔を思い出していると、不死子が
「みんな逃げて!ウチは大丈夫やから、ゴホッ、不死鳥の娘やで!」と村人に笑いかけて言った。
すると不死子を掴んでる鬼が笑いながら村人達に
「はっはっ!終わりだな!こいつは貰って行くぜ!」と言った。
その言葉を聞いた不死子はニヤッと笑い
「へへっ、アホな事言っとんな?!あんたらとウチでは釣り合わんて!ウチのこと連れて行きたかったらな、主人公でも連れてこんかいっ!」
と鬼の目の前に中指を立てた。
次の瞬間大声で
「桃ーー!ゴリーー!助けてーーー!!」と叫んだ。
鬼は少しビックリして
「いきなりでかい声出すんじゃねぇーよ!助けなんか誰もこねーよ!?」
と不死子に言うと「へっ!来るよ」と言った。
すると後ろに居た鬼たちの叫び声が聞こえる。
「うわー!痛ぇー!」と鬼達を掻き分けながら、
ドタドタと突っ込んでくる人影が見えた。
それを見た不死子はまたニヤッとして
「ほらなっ!」と鬼に言った。
続




