やっぱり出会うのね
桃が産まれてからというもの、じぃさんはお酒もほどほどにして子育てを頑張った。
桃が産まれた桃は腐らず、それを桃に食べさせると、どんどんと凄いスピードで成長していった。
そして主人公にならない為の教育をじぃさんはしていった。
「桃!犬、猿、雉とは仲良くしちゃダメだぞ!」
「桃!困ってる人が居たら助けても良い。だが話しは聞いちゃダメだぞ。必ず頼み事をされる」
「桃!キャラが立ち過ぎている者には気をつけろ!必ず揉め事に首を突っ込んで話しが始まってしまう」
「桃!薄着の女神には絶対に近寄るな!近寄れば主人公としての宿命が始まり、最早止めることは出来ん!桃。普通に生きるんだ!」と毎日の様にじぃさんは桃に教えた。
そして一年が過ぎる頃には、桃は立派に大人になった。
身長は170センチを超えて、腐らない桃のおかげで、二十歳と変わらないぐらい成長した。
桃は毎日じぃさんや村のみんなの手伝いをし、終わればゴロゴロして、お菓子を食べて、じぃさんが持っていた大好きなヒップホップを聞いて昼寝をしていた。
じぃさんはその光景を見て、うんうんと頷き「完璧だ!」と言った。
そんな事が続いたある日だった。
じぃさんが桃に「桃、山に湧き水を汲んできてくれないか?」と言った。
桃は「おー!わかった。」と言って桶を担いで山に入って行った。
山に入って行った桃は、お気に入りのヒップホップを口ずさんで山道を歩いて行った。
「ここからそこエリアっからエリア、そこからここエリアっからエリアー」と上機嫌だった。
普通に歩くのに飽きて来た桃は、拾った棒でペシペシと葉っぱや木を叩きながら歩いていると、いつも水を汲み行く湧き水の所が光っていた。
桃は、はてな顔で「んっ?何で光ってんだ??」と近づいてみると、そこには薄着の女神らしき者が待っていた。
するとその女神はニッコリと「待っていました。選ばれし者よ!」と桃に言った。
桃は咄嗟にじぃさんの言っていた事を思い出して、その女神を無視した。
女神はオーバーリアクションで「おぉーい!シカトすんなって!あんたの事待ってたって言ってんでしょ!これからの事、説明するから話しを聞きなさい!」と荒れた口調でツッコミを入れてきた。
桃は嫌そうに「そういうのはじぃちゃんからダメって言われてるから…特に薄着の女神はヤバいって聞いてるから…」と引いた目で女神を見て言った。
女神ははぁーっとため息をついて「まぁ、聞いて!あなたはこのお話しの主人公です。貴方が産まれた時点で物語は動き出しました。貴方のじぃさん、桃太郎が鬼退治に失敗したせいで、世界は滅茶苦茶になりました。貴方は世界に散らばる天下五剣と太郎の想いを集めて、鬼退治に向かう宿命があります」
桃は首を横に振り「無理、無理、他の人に頼んで!じぃちゃんがダメって言うよ。それに俺、修行とかそーいうの何もやってないから!」と女神に言った。
女神は「とにかく!貴方が産まれた以上、鬼達はどんどんと勢いを増していくわ。しかも色々な世界が混同して、昔みたいに一筋縄では行かない。すぐに犬、猿、雉を仲間にして鬼退治に行きなさい!」
桃は興味が無さそうに「あー、はい!はい!そーだねー!」と全く聞く耳を持たずに水を汲みながら適当に聞いていた。
そして水を桶に汲み終わると桃は女神に「んー!俺じゃ無くて、新しい主人公とか作った方が早いって!めっちゃやる気あって、めっちゃ強い奴!」と言って水の桶を担ぎ帰ろうとしていた。
女神はワナワナと怒りながら「それが出来るなら、もうとっくにやってる!主人公の種はそんな簡単に出来ないのよ!それにこれは命令じゃないのよ!忠告!現に貴方の村、もう襲われてるわよ!早く帰らないと、村が壊されるわよ!」と言い女神は、おもしろアイマスクを目に付けて「時代の運命は動き出したの、、それじゃ!おやすみ!頑張って!!」と言って、その場に横になってしまった。
桃はビックリして笑い「にゃはは!寝るんかい!?あと村が襲われてるとかそういうのは早く言えっ!」と言い、桶から水が溢れそうな勢いで山を駆け下りて行った。
続