三兄弟
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意識を失った雷鬼が肩の痛みと煙の臭いで目を覚ますと、そこにはあぐらをかいてキセルを吸っている着物がボロボロのテラスが居た。
雷鬼が呟く様に「殺さねーんですか?」と言うと、テラスは雷鬼を見る事無く「あぁ、、」と呟いた。
しばらくの沈黙の後、雷鬼が「殺さねーんなら足止めついでに、赤鬼の昔話でも聞いていきますか、、?」と言うと、
テラスは無言のまま、月を眺めてキセルを吸っていた。
雷鬼が「赤鬼は中々苦労していてね、、
簡単に5鬼になった訳じゃ無いんですわ。あいつは未開の地生まれでしてね、とっても静かでいい村だったんだわ、でもねあいつがまだ小さな頃に、住む村が人間に襲われて、村が全滅させられましてね、、あいつは何とか隠れて生き延びたんですわ、、、」と淡々と話し始めた。
雷鬼が話し始めた頃、赤鬼は幼き頃の夢を見ていた。
パチパチと燃える村を見ながら、小さな赤鬼は「とうちゃん!かぁちゃん!どこに居る!?」とあっちへこっちへ泣き叫びながら探した。
村の火が治る頃には探し疲れ、小さな赤鬼は泣きながら膝を抱えて座って居た。
小さな赤鬼はどれだけの時が経ったか分からない程座って居たが、何の変化も無い、燃えた村を見て小さな赤鬼は誰も生きていない事を理解した。
肩を落とし、お腹をグゥーっと鳴らしながら、トボトボと彷徨うに森を歩いていると、遠くに灯りが見え、小さな赤鬼はその灯りを頼りに進んで行った。
ようやく灯りの元に到着すると、そこは人間の村だった。
小さな赤鬼は急いで逃げようと振り返ると、そこに1人の男性が立っていた。
その男性は小さな赤鬼を見て、意地悪い顔をして「ふぅーん?迷子かい??」と言ってニヤ〜っと笑った。
小さな赤鬼は怯えて「あっ、、えっ、、あっ、」としどろもどろになっていると、ボグッとお腹に痛みが走った。
小さな赤鬼が「おぇぇぇ〜っ!!」と胃液を吐くと、男性が「吐くんじゃねぇーよ!きたねーな!!」とまた小さな赤鬼を何度も殴った。
男性はぐったりする小さな赤鬼の腕を引っ張って、引きずりながら村に着くと、村の溜まり場に小さな赤鬼を放り投げた。
男性は「この鬼、村を覗いていやがった!どーする?殺しちまうか?」と皆んなに聞いた。
小さな赤鬼は痛む体を我慢して、震える声で「ごめんなさい、、もう覗いたりしませんから、、すぐどっか行きますから、、許して下さい、、」と頭を下げながら、後退りして行った。
すると他の村の男性が、小さな赤鬼のお腹に飛び蹴りをした。
小さな赤鬼は吹っ飛ぶと「ふぅー!ふぅー!」と痛がりその場に転がった。
すると飛び蹴りをした男性が「お前あそこの村の鬼だろ?!あの戦いで俺は弟を殺された、、俺は鬼を許さない!!」と言って小さな赤鬼に馬乗りになり、何度も何度も殴りつけた。
小さな赤鬼は何度も何度も「ごめんなさい、ごめんなさい」と繰り返した。
しばらく殴っていると小さな赤鬼の声も聞こえなくなり、村の男性が殴っている男性の肩を掴み「もういいだろ!こんだけ殴れば放っといたって死ぬだろ?!」と言うと、殴っていた男性は冷静になり「ふぅ、そうだな、、」と小さな赤鬼から離れ立ち上がった。
ブルブルと痙攣し「あ、、あ、、」と声を出す小さな赤鬼を見て、殴っていた男性は無表情で赤鬼の腕を掴むと、山の奥に引きずって行った。
しばらくすると男性が帰ってきて「川に捨ててきてやったわ!はははっ!糞鬼めっ!!ははっ!さーて飲み直すか?!」と村の溜まり場のみんなと笑った。
小さな赤鬼は力無く、ただ川に流されるまま気を失っていった。
小さな赤鬼が「うぅ、うぅん、、」とうなされた声を出すと「お母さん!こいつ起きたよ!生きてた!」と声が聞こえた。
小さな赤鬼が目を開けると、目の前には女の子の鬼が目をクリクリさせながら居た。
小さな赤鬼は驚き、布団から飛び上がり、角に逃げると女の子鬼の後ろから「こらっ、知鬼!脅かさないの」と言って歩いてくる、左目に黒い眼帯をして、肩から左手の無い、筋肉質な女性だった。
小さな知鬼はニコニコして「へへっ、ごめーん」と小さな赤鬼に謝った。
隻腕の女性が赤鬼の横に座り、小さな赤鬼に微笑むと「私は巴、もし帰るところが無いならここに居な!贅沢な暮らしが出来るわけじゃないけどね」と小さな赤鬼の頭をグリグリと撫でた。
小さな赤鬼は泣きながら「赤鬼、、帰る所は無い、、」と呟いた。
巴は微笑み「そう、赤鬼か!良い名前だ、こっちの女の子は知鬼、こっちの男の子は防鬼みんなで仲良く暮らそう!なっ!赤鬼、知鬼、防鬼!」と言った。
赤鬼に、知鬼と防鬼が近寄り、「よろしく!今日から三兄弟だよ!」と言って、赤鬼の腕を引っ張り、外に連れ出して、3人は遊び始めた。
それから4人は家族のように、幸せに何年も過ごしました。
一緒に騒がしく食事をしたり、一緒に騒がしくお風呂に入ったり、4人で一緒に寝たり、山に入って野良豚を狩ったり、変装して街に買い物に行ったり、時にははしゃぎ過ぎて、巴に3人は泣くほど怒られたり、、
こんな幸せが永遠に続けばいいと思えるほどに、、
ある日の夜のことだった。
巴が「ほらっ!早く寝る準備しな」と言うと、3人は「はーい」と返事をして、布団に入ろうとした。
ふと、外を見た知鬼が「お母さん、たくさんの灯りが山を登って来るよ、、」と不思議そうに言った。
巴は険しい顔になり「あんた達、、隠れてな!」と言うと3人は不安そうな顔をして、巴を見ると
巴は微笑み「大丈夫!何にも起きないよ!」と言って3人を安心させた。
しばらくして巴の家のドアをノックする音が聞こえた。
ドンドン、ドンドン「おーい!いるか!」
巴はドアを開け「なんだい、こんな遅くに!しかもこんな大勢で!」と言うと
街の人間がヘラヘラしながら「いや〜、あんたが鬼の子供を飼ってるって聞いてね、、それが本当なら、それはもう国家に楯突いてるって事でね、、確認のために、中調べさせてもらっていいかい?」と言った。
巴は「勝手にしなっ!もし居なかったらすぐに帰ってくれよ!」と言うと、部屋の椅子に腰掛けた。
続




