出陣の許可
[魔弾]を放った不死子と桃は遠くを見ながら首を傾げた。
桃が首を傾げ、鬼の軍団を指差しながら「今、あの鬼、球打ち消したよな?」と不死子に言うと、不死子は「せやな、、バコーンいってたな!むっちゃヤバい奴なんは分かったわ、、」と言った。
ゴリが遠くを見ながら「2人とも目が良いな、俺は全然見えん!」と言っていると砂埃を上げながら、鬼達が桃目掛けて走って来た。
7人1列に並ぶと、桃が刀を目の前に構え「さぁ!みんな!バシッと鬼退治して、心臓取り返すぞ!!」と言うと、皆んな真剣な顔で「おうっ!」と言った。
するとノスフェラが「取り敢えず後ろの大橋は守りましょう!ここを取られると、一気に囲まれてしまいますからね!」と言うと桃が「オッケー!」と言って、向かってくる鬼達に走り出した。
ゴリも続けと胸を激しくドラミングすると「ゴリ!行っきまぁーーす!」と走り出すと、不死子が「待てや!置いてくなって!!」と後を着いて走り出した。
ノスフェラがツクヨに「私、、ここを拠点にって言いましたよね??桃さんオッケーって言いましたよね??」聞くと、ツクヨは笑い「あはははっ!オッケー!オッケー!こっちに鬼が集まって来ればアイツらも飛んで帰って来るよ!」と言うと、続けて「あたしらはここ守っとこうか!ねっ!ノスフェラ」と言った。
先頭に桃、ゴリ。中間に不死子、大橋の入り口にツクヨ、ノスフェラ、その後ろに震えるジュジュ、うま子の布陣で赤鬼軍との戦闘は始まった。
桃達と赤鬼軍の戦闘が始まる少し前、オノゴロの城に向かって猛スピードで走る1匹の馬が居た。
その馬がオノゴロ城に着くと、馬に乗っていたオーニー13世が飛び降り、一目散に城の中に入って行った。
オーニー13世が息を切らしながら扉の前に立つと「はぁ、はぁ、ふぅー」と息を整えると、ゴンゴンとドアをノックして「隊長居るか?俺だ、オーニーだ!」と言った。
すると扉の向こうから女性の声で「オーニーか?待ってたぞ。入ってくれ」と声が聞こえた。
オーニーが扉をガチャっと開け「失礼する」と入ると、大きな机の前に座る天音が居た。
天音は机の上の、沢山の書類やら資料をまとめながら「どうだった?まっ、立ち話も何だ、座ってくれ」と大きなソファーにオーニー13世を座らせた。
テーブルに2人分の飲み物を置き、天音も対面のソファーに腰掛けると「どうだった?動きはあったか?」と片眉を上げながら、オーニー13世に聞くと、オーニー13世は「あぁ、、天音隊長の読み通り、赤鬼軍がオノゴロ目掛けて進軍中だった。オノゴロ城まではまだ時間はありそうだが、進軍速度はかなり早いな」と飲み物をゴクゴクと飲みながら言った。
天音は冷静に「そうか、ご苦労だったな、やはり見に行ってもらってよかった。我らは未開の地には明るく無いからな」と言うと、オーニー13世がニコッとして「お安い御用ですよ」と言った。
すると天音は立ち上がり「私は国王に報告して来る、オーニーはアラガと銀に声をかけて、出陣の準備をしといてくれ!」と言って扉の方に歩き出した。
オーニーも立ち上がり「あぁ!了解」と言って天音の後ろを扉に向かって歩いた。
扉を出てふと廊下の奥に目をやると、そこにはアラガと銀太郎が立って居た。
2人が天音と目が合うと、アラガが嬉しそうに「ようやく出陣かい?」と天音に言うと、天音は「あぁ、今、国王に了解を得てくる。準備は出来てるか?」と言った。
アラガと銀太郎はニコッと笑い、廊下の奥の窓を親指でクイッと指差した。
天音が廊下の奥の窓を覗くと、綺麗に整列された軍が待っていた。その軍が天音を見ると大きな声で「うぉーーーー!」と叫んだ。
整列された軍勢を見て、天音は顔にグッと力を入れて「すぐに国王の所に行って来る!外で待っていてくれ!」と言った。
アラガは「了解!皆んな隊長のあの地獄のメニューよりも、出陣のがいいってよ!」と茶化す様に笑いながら言うと、天音も微笑み「ふふっ!この戦いが終わったらまた新しいメニューを考えよう、、昔のが良かったってと思えるぐらいのな!ははっ!」と言って国王の部屋に向かって歩き出した。
それを聞いたアラガ、銀太郎、オーニー13世は顔を見合わせて「違う国行こうか、、?」と言って苦笑いして言った。
天音が国王の部屋の扉の前に立ち、ノックすると中から「居るぞ」と声がした。
天音は「失礼します」と扉を開けて部屋に入ると、国王が鎧を着て、スプーンの様な形をした杖を持って待っていた。
国王は「赤鬼が動き出したんだろ、、もう準備は出来てる!久々で腕が鳴るわい!」と勇ましく言うと、天音は「いえっ!ナギ国王はお留守番です!!私は出陣の許可を頂きに参りました」と言った。
国王がヘッ?と顔をして「何で?行きたいんだけど、、」と言うと国王の後ろから、ナミ王妃が「ほら!言ったじゃないですか、ちゃんと聞いてから用意した方がいいんじゃないですかって!」とこれまた王妃も鎧を着て、準備万端で待っていた。
顔を見合わせて少し照れ臭そうなナギ国王とナミ王妃。
すると天音が「国王と王妃にお願いがあります。もし、、私達が赤鬼討伐に失敗した場合、ナギ国王とナミ王妃に、この城を守って欲しいと思っています。そしてもしもの時には、大魔法[天地創造]でこの土地を無かった物にして頂きたい!」と言った。
ナギ国王とナミ王妃は真剣な顔に戻り、ナギ国王が「それを使うと言う事は、この土地の全てを消してしまうと言う事だぞ、、理解してるのか?」と言うと、天音は冷静な顔で「理解しています。私達の想い出を蹂躙されるぐらいなら、全てを消して頂きたい、国王、王妃さえ残れば、またオノゴロは再建出来ます」と伝えた。
ナギ国王はため息を吐き「ふぅー、本気みたいだな、、まぁ赤鬼軍との戦いで、オノゴロが無傷で終わるとは私も思わない、、分かった!今回、私達の出陣は諦めるとする。天音!出陣の許可を出す!だが条件付きだ!危なくなったらすぐに城まで戻る様に!」と言った。
天音は膝をつき、拳と手の平を合わせ頭を下げると「はいっ!承りました!お任せ下さい!」と言い、立ち上がり部屋の外に出て行こうとした。
すると国王が優しい声で「天音、、死ぬなよ」と言うと天音は振り返らずに、拳を突き上げ部屋を出て行った。
続




