6人と1匹
赤鬼を見つけ、向かう事にした桃達に、アイリスがハンマーを下ろし「分かりました。では準備しましょう」と言った。
アイリスは大きな本を広げ、魔力を注ぎ空中に浮かせると、大きな本から景色が浮かんで出てきた。
アイリスはそれを見ながら「ふぅ、軍との直撃を避けるなら、、っと、ここですわね!何処までも続くと言われている大地の裂け目に架けられた大きな橋!通称ビックブリッジ!!ここなら大軍を迎え討つのにぴったりですわね!」と言った。
桃は準備運動をしながら「おうっ!何処でもいいぞ!」と言った。
アイリスがポンッと手を叩き「あっ!そうだ!ちょっと待って下さい」と言うとその場を離れ、奥にある扉にスタスタと歩いて行ってしまった。
皆んなンッとしてしばらく待って居ると、大きなリュックを背負ったアイリスが、奥の扉から重そうに歩いて来た。
アイリスはリュックをドスンと下ろすと「お菓子と紅茶のセットを詰めておきましたわ、お腹が空いたら食べて下さいな、後、先程の戦闘で、桃さんが飲んだ薬も3本ありましたので入れて置きました。ちなみに薬は1日1本までが良いので、桃さんにはお勧め出来ませんわ。うふふ!」と笑った。
桃は「にゃははっ!!あの薬は体痛くなるから嫌いだっ!」とベロを出し「お菓子も紅茶も美味いからなぁ〜!ありがとうな!」と手を挙げて言った。
アイリスがまた本に魔力を注ぐと「さぁ!皆さん!準備完了ですわ!この本に飛び込んで頂ければ、転送完了です!本当は皆さんと、もっともっとお話しがしたかったんですけど、、寂しいですけどさよならですわ」と言った。
すると桃が「俺が1番!!」と言って本に近付き、飛び込もうとする時に、クルッとアイリス達を見て「ありがとうな!楽しかった!!また新しい楽しい夢の話ししに来るから!!それまで元気でな!まったっなぁ〜!!」と本に飛び込んで行った。
それを聞いたアイリスは涙目で「うふふ!またな!」と呟いた。
桃に続けと、皆んな次々とアイリス達に別れと感謝の言葉言って飛び込んで行った。
アイリスは全員を見送ると、ビンセとチャシャを見てにっこり笑うと「さてと、ウサギちゃん、猫ちゃん、今日は何をして遊びましょう!!不思議の森の探検でも行きましょうか?うふふ」と言った。
本に飛び込んだ桃達は、だだっ広い平野に、横縦共に100メートルはあるだろう大地の切れ目に、大きな橋が架かっている場所に居た。
桃が辺りを見回し「赤鬼居ねぇーな!」と言うと、ノスフェラが「迎え討つにはここが良いと言っていたのでまだなのでしょう?」と言った。
それを聞いたゴリがアイリスから貰ったリュックをガサガサして、紅茶とお菓子を出して「赤鬼来るまで暇だから紅茶でも飲んでっか?」と言って、皆んなの分の紅茶とお菓子を用意した。
皆んな座り、リラックスした感じで紅茶を啜って、お菓子を食べてるとノスフェラが「イヤイヤ、緊張感、、あの赤鬼と戦うんですよ?」と言うと、桃が「まだ来てねーから、緊張したってしょうがねーじゃん!ノスも飲めよ!美味いぞ!にゃははっ!」と笑うとゴリも頷き「んだんだ!来てから緊張すればバレないって!はははっ!」と笑った。
不死子がノスフェラに笑いながら「この2人の前で緊張するだけ損やで〜!」と言って、ゴリに「なぁ、ゴリ?あのヤバい薬、ウチにも1本くれへん?いざという時に持って置きたいねん!」と言うと桃が顔をイッとさせ、不死子に「やめとけやめとけ!あまりの痛さに小便漏らすぞ!」と言うと不死子は真剣な顔で「皆んなが守れるなら小便漏らしてもえぇねん、、1本貰うで」と言うと、ゴリは薬の入った瓶を不死子に投げ「痛くて泣きたくなったら胸貸すぜ!」と親指を立てた。
それを見た不死子は「ふふっ!ふははっ!その熱っつい胸板はツクヨに貸したれや!」笑いながら言った。
しばらく皆んなで地べたにゴロゴロして、ワイワイ談笑してると、遠くの方で砂煙が上がるのが見えた。
不死子が「お出ましやで」と言うと桃が「あぁ、来たな」と言った。
ゴリが遠くを見る様に、おでこの所に手をやりながら「んっ?来たのか?」と言っていると、どんどんと砂煙が大きくなってきた。
ジュジュとうま子がブルブル震えてると、ツクヨが「だーいじょぶだって、ヤバくなったら、空飛んで逃げちゃいな!」と言って緊張をほぐした。
ドンドンと大きくなる砂煙の中から、鬼の軍団が徐々に見え始める。
すると桃が笑って、鬼の軍団を指差して「にゃははっ!不死子!全開で撃ち抜け!」と言うと不死子も笑い「ご挨拶やな!全開だと後ろ吹っ飛ぶから、桃ちゃん背中押さえてや!」と言った。
桃が不死子の背中を押して「にゃはは!オッケー!ぶっ放せ!!」と言うと不死子が狙いを定め「これで終わればラッキーやなぁ〜」と言うと引き金を引いた。
物凄い勢いで魔導銃から放たれた桃色の[魔弾]はドガーンと音と共に鬼の軍団を蹴散らし、真っ直ぐに大きな馬車に乗っている赤鬼の元に飛んで行った。
飛んでくる[魔弾]に気付いた赤鬼達。
大きな盾を持った鬼が「赤鬼、俺が行く!」と動き出そうとすると赤鬼が「いや!俺がやる!!」と言うと、隣に置いてある金棒を手に取り、大きな椅子から飛び出して、[魔弾]を金棒で殴った。
散り散りになる[魔弾]を見ながら赤鬼がニヤッとして「やっぱり知鬼の言う通りだな!あいつらここで俺達を迎え討つつもりだ!!はははっ!」と言うと、馬車の隣にいたスタイル抜群の女性の鬼が呆れた顔で「だから私は何度も言いましたよ、、無駄な戦闘は避けて部隊を細かくしましょうって!」と言った。
すると後ろから盾の鬼が「知鬼は赤鬼に何を期待してるんだ?昔からこいつが俺達の言う事聞いた事あるか?まず作戦が理解出来ないんだぞ!」赤鬼を指差して言った。
知鬼は笑い「はははっ!そうだけど!」と言うと赤鬼も笑い「はははっ!お前ら俺を軽く馬鹿にしてるな?ははっ!」と言うと、真剣な顔に戻り「さぁ!!全軍突撃だ!!」と大声で叫んだ。
すると知鬼の元に1人の鬼が走って来て、何かコソコソと伝えた。
報告を受けた知鬼はビックリして「えーーっ!たった6人と1匹!?!?嘘でしょ?その人数でこの赤鬼軍を迎え討つつもりなの?」と言うと赤鬼は大きな椅子に戻り、座るとリンゴをかじり「俺と防鬼で行って、一気に踏み潰しちまうか?」と知鬼に言った。
知鬼がんーっ??と考えてると、防鬼が「それだけ少ない人数だと罠の可能性もあるな、、軍を小出しにして様子を見た方がいいか??」と赤鬼に言うと、赤鬼は大きな椅子に深く腰掛け「任せる!!どうせ俺は作戦のわからない奴だからな!寝るっ!!俺の出番になったら呼べ」と言って目を瞑ってしまった。
続




