泥棒兎
洋館を後にした桃達はアレデル王国に向けて、山を降りて歩き出していた。
ノスフェラがジュジュに「お嬢さん、さっきは特別な魔法をありがとうございます。ところで誰かアレデルまでの地図はお待ちですか?」と聞くとジュジュは「いえいえ、出来る事をしただけです。地図はわからないですね、、ゴリさんが持ってるんじゃないですかね」と言った。
ゴリはンッと顔をして「誰も地図なんか持ってないぞ!brotherがアレデルは寒い国だから、寒そうな方に向かおうって言うから、とりあえず北に進んでんだ!そのうち大きな城でも見えるだろ!はははっ!」と笑った。
ノスフェラはフゥーっとため息をつくと「地図が無いことに少し驚いてます。近くに村があったと思うのでそこで地図を買いましょう。本当ある意味凄いパーティーに参加してしまったものです」と言うとゴリはハンサムスマイルで親指を立て「あんま俺達を褒めんなって!」と笑った。
会話を聞いていた桃がンッとして「なんだ?村寄るのか?」と聞くとノスフェラが「えぇ、地図が欲しくて」と言うと桃が笑って「にゃははっ!俺達いつも適当に歩いてたからな!」と言うと不死子が「テキトーに歩いてたんは桃だけや!いつもフラフラ先に行くから、ウチら着いて行っただけやっちゅーねん!ははは!」と言った。
するとジュジュがほうきに跨りフワッと空に浮かぶと「ちょっと周り見てきますね!」と言って空を飛び出した。
それを見た桃は目を輝かせて「いいーなー!俺も飛んでみてーなー!」と言った。
暫くするとジュジュが戻ってきて、道の先を指差して「あっちの方向に少し大きな村がありますね」と言うと桃が「んじゃ!そこ行くか!」と言って桃達は歩き出した。
村に着くと、桃達の事を見た村人達が嫌な顔をして、家の中に入ってしまった。
桃が不機嫌そうな顔で「俺達なんかしたか?」と言うとゴリが笑いながら「はははっ!brother、臭かったんじゃないか?」とからかいながら言うと、桃は自分の体をクンクンさせて「臭くねーよ!でも風呂入りてーな!にゃは!」と言った。
ジュジュがみんなを見て「たぶん、たぶんですよ、、皆さんの見た目が怖いかと、、」と言うとみんなでみんなを見て、全員静かに頷いた。
不死子が「まぁ!しゃーない!地図買ってすぐ出てこーや!」と言うと不死子のお腹がグゥーっとなった。
ツクヨが笑って「ふふっ!ご飯屋も追加だな!」と言うと桃も笑って「にゃははっ!不死子!さっき食ったばっかりじゃねーか!にゃははっ!」と言うと桃のお腹もグゥーっとなった。
照れる桃を見て、みんなで笑うとゴリが「最初はご飯屋だな!」と村の中に入って行った。
ご飯屋に着いて中に入ると、ご飯屋の主人が「んっ?見ない顔だね、旅の人かい?まっ!適当に座ってくれよ!」と明るく言った。
注文をしてみんなでワイワイご飯を食べてると、ノスフェラが主人に「すいません、私達地図が欲しいんですが、ここら辺の地図が売ってる店はありますか?」と聞くと主人は「地図?んー、地図屋はこの村に無いな、どこに行くんだ?」と言った。
ノスフェラは「アレデル王国なんですけど」と言うと主人が「おー!アレデルね。ここ真っ直ぐ行って山があるから、それを越えると城が見えてくるはずだよ。まー行った事は無いけどね!」と自慢気に言った。
桃が口をモグモグさせながら「なぁ!方向合ってたろ!俺達の旅に地図なんかいらねーんだよ!にゃはっ!」と笑った。
不死子も口をモグモグさせながら桃とゴリを指差して「野生の勘やな!でも地図はいると思うで!あんたらいっつも迷子なるからな!」と言うと桃とゴリは「あはは」と照れ笑いを浮かべた。
すると主人が思い出した様に「そうそう、あの山は太古の山って言われててな、猿の軍団が守ってるんだ。恐竜も居るって話しだよ。まっ!奥に入らないで道なりにサッと行っとけば問題無いはずだ!」と言った。
ゴリが主人に手を上げて「ご親切にどうも」と言うと桃が「おいっ!ゴリ恐竜だってよ!仲間にしよう!」と言うとゴリが指をバツにして「ダメだ!今でさえ恐竜みたいに飯食うのが二人も居るんだ!恐竜連れて行くならbrotherとお嬢ちゃんは飯抜きだな」と言うと不死子が「なんでウチもやねん!このケチくそボンベーゴリラ!」と中指を立てて言った。
すると桃が立ち上がり刀を椅子に乗せ、上着を脱いで「トイレ」と言ってトイレに歩き出した。
トイレから出てきた桃が大声で自分の座っていた椅子を指差して「あーー!!なんだお前!!この泥棒兎!!」と叫んだ。
みんなンッと椅子の辺りを見ると、2足歩行のメガネをかけ、貴族の様な服を着てる兎が、桃の刀を持って逃げようとしていた。
桃は怒って「逃げんなっ!俺の刀だぞっ!!」と走り出した。
すかさずみんな兎を捕まえようと立ち上がり、追いかける体勢に入った。
ゴリがお金をテーブルに置き、主人に「お釣りはけっこう!ご馳走様!」と言うとみんなで兎を追いかけた。
ドンドンと逃げる兎を追いかける桃達。
もう少しで捕まえるその時、兎は大きな木の隙間の穴にに飛び込んでしまった。
桃達もその勢いのまま、その穴に吸い込まれるように「うわぁわー!」と言いながら入って行ってしまった。
続




