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始まり始まり


 昔々、ある所にろくでもないじぃさんが居ました。

じぃさんは毎日お酒を浴びるように飲み、

沢山暴れては村の皆んなに迷惑をかけていました。


その日もいつもの様にじぃさんは、

村の酒場でたくさんお酒を飲み、酔っ払って

「くぅー!もう一杯もらえる?」と顔を真っ赤にして上機嫌だった。


すると、酒場の少し体の大きな女マスターが

「もうやめときなさい!どうせお金無いんだろ?

まったく腐ってもあんたは桃太郎なんだから、

ちゃんとしなさい!昔、村を救ってくれてなかったら、とっくに追い出してるよ!」と呆れ顔で言った。


じぃさんは照れくさそうに

「へへっ。昔々の話しだよ」と笑った。


その瞬間、バチンッと女マスターのビンタがじぃさんに炸裂した。


「あんたね、笑い事じゃ無いんだよ!あんたが鬼の討伐に失敗したから、この世界は滅茶苦茶になっちまったんだよ…」と呆れながら言った。


じぃさんは頬を押さえ涙目で

「俺だって頑張ったよ!、、、でも、犬と猿は喧嘩ばっか、雉はどっか飛んで行くし、、、

しょうがないから一人で鬼の島に乗り込んだけど、

物凄い強い鬼ばっかりで、、」

とその時の事を思い出して、体を震わせながら言った。


女マスターは呆れた様に

「はぁ〜、とりあえず今日は帰りな!もう店終いだよ!」とじぃさんの首根っこ掴み、店の外に追い出した。


追い出されたじぃさんは泣く泣く、

千鳥足でフラフラと家までの道を歩いていた。

途中でオシッコがしたくなり、立ち小便をしていると、自分のおしっこの臭いが鼻を突き、嘔吐してしまった。


じぃさんは吐き終わると、近くの地面にゴロゴロと寝転がり、大きな声で叫んだ。


「俺の人生って何なんだよ!結局!主人公になる奴ってのは決まってるんだよ!俺だってなれるなら、なりたかったよ!でも主人公は大変なんだよ!毎日、毎日戦いたくねぇーよ!」と地面をゴロゴロしながら言った。


すると何かがコツンと手に当たった様な気がした。



じぃさんがそれを掴み、見てみると、何かの種だった。

その種をよーく見てみると、主人公と書かれた種だった。


じぃさんは酔っ払っていたので、良く確認もせずに、その種をポケットにしまうと

「へへっ、ラッキー!食料ゲット!庭に埋めて、実がなったら食いましょ!」と上機嫌で家に帰った。


家に着くと早速その種を庭に穴を掘り植えて

「大きくなーれ!大きくなーれ!」とヘラヘラしながらオシッコをかけた。


そしてじぃさんは家に入り、眠りについた。


朝起きると、昨日植えたはずの種が、もう芽を出していた。

二日酔いのじぃさんはまたオシッコをその芽にかけた。


そんな事を十日も繰り返していると、

大きな大きな桃がなった。


じぃさんはゴクッと唾を飲み

「美味そうな桃がなったな!早く食べよ!」

と桃を収穫すると家の中に戻った。


早速、鉈で桃を割ると、中から赤ちゃんが産まれた。

「おぎゃー!おぎゃー!」と泣く赤ちゃんを見て

じぃさんはガックリと肩を落とした。


そして、悲しい声で

「産まれてしまった…また主人公が産まれてしまった… そうだ!隠そう…主人公として育てるのではなく、ごくごく普通に育てよう!そうすれば世界はこのまま回るはずだ!」


そう言いながら赤ちゃんを抱き

「おーよしよし!名前を決めないとな!

ワシから一字取って桃にしよう!普通に育つんだよ。」と言いながら赤ちゃんをあやした。




            続






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