第4話
「そういうオチかよ! 聞いて損したぜ」
村山の顔から、好奇の色が消える。
「『雨女』『雨男』的な意味での『雪女』か」
雨男も雨女も、何かしようとすると必ず雨が降ってしまう人を揶揄する時に使う言葉だ。ならば、イベントの度に雪になる女性がいれば、それは『雪女』と呼んでも構わないのだろう。
村山は、そう解釈したようだが……。
「お前は早合点が多いなあ、村山」
呆れたような、諭すような口調で、牧田が続ける。
「正直なところ、最初は俺も、ただの女子高生だろうと思ってしまった。でも、よく考えてみたら、それはありえないのだ」
「どうして?」
少し好奇心が蘇ったらしく、聞き返す村山。それを見て、牧田はニヤリと笑った。
「その私立高校に、女子生徒は一人もいないのさ。何しろ、そこは男子校なのだから」
女子がいない学校に現れる女子。いないはずの人間ならば、それは人間ではないわけで、雪の日に現れる人外の生き物となれば、雪女に決まっている。
それが牧田の理屈だった。
「俺は別の高校だったけれど、大学に来てから、その高校の出身者とも友達になった。この話も聞かせたし、『女子生徒は一人もいない』という点も確認済みだ。そうだよな、佐藤?」