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21 うまく誤魔化せたようです

 無事宿屋へ戻った後は、もう遅いから休むよう言われ、私はそのまま部屋へ戻った。


 思わずトカゲに好き勝手やってもらったけれど、大丈夫かしら。

 私はカッとなってやってしまったことを少し後悔する。

 でも、言い訳を考えたところで失敗しそうだし、もうこれは何も知らない振りをするしかないわね。


 私は商人様の言葉に従うことを決め、眠りについた。




 翌日、レオナルド達は朝からバタバタと忙しそうにしており、私は部屋で待機しているよう言われた。

 本当なら今日は次の町へ向かっていたはずなのに。

 そう思うと、一層ディエゴという人間に嫌悪感が沸く。

 だいたい、そこまでしてどうして第五騎士団の立場を悪くする必要があるのかわからないわ。仕事内容も違うみたいだし、対立する必要なんてないじゃない。


 暇を持て余してトカゲをつついていると部屋の扉がノックされた。


「はーい」


「レイラちゃん? レオナルドです」


 扉を開けると目にいつものよう生気がなく、疲れた様子のレオナルドがいた。


「いやー……もう昨日の処理がわけわかんなくてな。待たせてごめんな。昼飯食べながら話聞かせてくれないか?」


 ついにきた、と思いながらも内心の動揺を悟られないようゆっくり頷いて部屋を出る。

 今日は宿屋の食堂で昼食にするようだ。

 食堂へ行くとそこにはルミエールがいて手招いてきた。


「あ、こっちですこっちですー。もう昼食の用意はしてますからそのままこっちへー」


 テーブルには既に三人分の昼食が並べられていた。私は二人に向かい合う形で座る。


「んでまあ、早速話なんだが……」


 レオナルドは眉を下げて困ったような顔をしている。


「午前中第四騎士団の騎士達に話を聞いたんだが……でかいトカゲだか魔物だかが襲ってきたって言うんだよ。でもそんなの俺たちが現場に着いた時いなかったし、でかいトカゲの魔物なんて見たことも聞いたこともねぇ。……一体何があったんだ? レイラちゃん」


 私は心臓がどくどくと、いつもより早く動いているのを感じた。


「……逃げるのに無我夢中で……覚えてないんです」


 これは今朝持て余した時間で考えた回答である。何を言われようと、これで押し通す。勇者に会うまでは、私が魔界から来たと知られてはならない。


「……まあそうだよなぁ」


 レオナルドは頭を掻きながらため息をつく。


「俺が思うに、レイラちゃんの魔力が暴走したんじゃないかと思うんだよ」


「私の魔力?」


 レオナルドからの予想外の指摘に目をぱちぱちさせる。


「ああ、検査した時レイラちゃんの魔力高かったろ。今回混乱してその魔力が暴走したんだと思うんだ。それで、あいつらは何を見間違えたかわからんが、何かをトカゲと勘違いしたんだろ」


「トカゲも全員見たわけじゃないんですよ。気付いたら吹っ飛ばされていたって騎士も結構いるんです。第四騎士団の団長までレイラさんがトカゲを出したと言っているのですが……一緒に行動していた俺たちが、レイラさんがトカゲなんて連れていないことを知ってますからね」


 思ってもない方向で話がまとまりそうになっているけれど、これで私のことはバレずにすむのかしら。

 それとも、魔力の暴走って何かまずいのだろうか。


「ふぐっ……それにしても……ほんっといい気味ですよ。悪い噂はすぐ広がるんですから。昨日の今日なのに、町中で第四騎士団の団長は少女を誘拐しては手籠にしていたと……すっかり噂になってるんですから」


 不安に思っていると、突然ルミエールが肩を震わせながらニヤニヤ笑い出した。


「ああ、あの台詞はほんっと最高だったよレイラちゃん」


 レオナルドもつられたのか、くつくつと笑っている。

 ……魔力の暴走は特に問題にならないようでよかった。


「実際、変な匂いを嗅がされて意識を失わさせられたのだから、誘拐は本当だわ」


 てごめ……というのはよくわからないけれど。


「っ……! それってやばい薬じゃねえだろうな」


 瞬間、レオナルドの目が鋭くなる。

 薬? そんなことを言われても、私には何もわからない。気は失ったけれど、今は何の異常もない。


「……見た感じ大丈夫そうですが、きちんとした医師に診てもらった方が良さそうですねぇ。すぐ手配します」


 ルミエールも表情を戻し、立ち上がったと思ったらどこかへ颯爽と消えていった。


「レイラちゃん急いでるんだろうが、身の安全が第一だ。今日はこの後医者に診てもらって、安静に休んでくれ」


 私は大丈夫だと伝えたけれど、いずれにせよ今回の件の処理が終わるまでここから動けないし、私はこの件の重要人物だから先に行かせるわけにもいかないと言われてしまった。

 早く勇者に会いに行きたいのに、こんなところで足止めされるなんて。


 部屋に戻った私は、大きくため息をついた。

 外の世界って大変なのね。外に出てまだ数日しか経っていないのに、盗賊に遭うし誘拐されるし……ご主人様が私を外に出さなかった理由がわかったわ。

 ベッドに腰掛けて、顔を出したトカゲを再びつんつんする。


 今日はずっと部屋にいないといけないのかしら。退屈だわ。

 そう思っていると、部屋がノックされた。


 もう医者が来たのかしら。


 そう思って扉に近づき返事をすると、


「ライラ様。ダグラスです」


 と返ってきた。

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