STEP6:どうして、国債発行残高は増えているのに、私たちのおカネは増えていかないの!?
政府の負債=政府債務残高=国債発行残高…
政府の負債は、おカネの発行になっています。
おカネとは、わたしたち国民にとって資産になります。
つまり、
「政府の負債が増えれば、同じ金額だけ、国民の資産も増えていく」ってことですよね。
知ってのとおり、国債発行残高は確実に過去から増えています。
では、それなのに、なんで、私たちの貯金(=金融資産)は、目に見えるいきおいで、増えていってくれないんでしょうか?
その答えは下の図にあります…
この図は、『資金過不足表』といいます。
むずかしくありません…カンタンにいえば、
「誰がどのぐらい金融資産をもっているのか」を、あらわした図になります。
誰とは、みなさんと企業です…あとは、政府も入っています。
この図は、色分けされていて…ミドリ=企業、アオ=家計、アカ=政府…となっていますね。
ここで注目してほしいのが、ミドリのおカネの推移ですね…
1997年までは、ミドリが下の方…金融負債の方に表れているのが分かりますよね?
(上が金融資産、下が金融資産…プラスとマイナスってイメージしてください…)
ここで思い出してほしいのは、信用創造になります…
信用創造とは、政府と日本銀行が発行するおカネではなく、銀行が発行する預金というおカネでしたよね?
銀行預金というおカネは、どうやってつくりだされましたか?
そう、みなさんや企業が、おカネを借りるときですよね??…
そのときに、新しく、この世に、銀行預金が生み出されることになります。
分かりやすく、カンタンな例をみてみましょう!
たとえば、あなたが、マスクメーカーの会社をやっていたとします。
コロナの広がりをうけて、マスクを増産するために、新しく工場を建てることにしました。
建設費用は、5千万円としましょう。
手持ちの資金が足りないので、あなたは、みずほ銀行におカネを借りにいきました。
あっさり、みずほ銀行も、おカネを貸してくれることになりました。
あなたは借用証書を差し入れるかわりに、銀行から5000万円のおカネをつくって貸してもらいます。
このつくることが、信用創造でしたね!?
あなたは通帳を確認します!…
しっかりと、50,000,000と記帳されていますね?
さっそく、あなたは工事会社に掛け合って、工場建設に取り掛かります。
工事が終わって、工事会社に代金を支払いますね?
もちろん、このとき、現金でやり取りするわけではありません。経理の人が、お互いの口座で、銀行預金というおカネで決済します。
代金を受け取った工事会社は、そのおカネをどうするでしょうか?
もちろん、工事をやった職人への給料やら、下請会社への支払いやらに使いますよね。
こうして、最初に、あなたが借りて生み出された50,000,000という銀行預金が、ぐるぐると経済の中を、おカネとしてめぐりめぐっていくことになります。
さて、このおカネが消えてしまうタイミングはいつでしょうか!?
そう、それは、あなたがみずほ銀行におカネを返済したときですよね?
返した瞬間に、あなたとみずほ銀行の
「貸し借りの記録」は消え失せて、この世から、その分のおカネは消えてしまいます…
これが、おカネは負債として生み出されるってことの正体になります。
ここまで、長々と書いてきましたが、本題にもどると、なんで国債発行残高は増えているのに、わたしたちのおカネはなかなか増えていかないのか…
それは、さっきの例のとおり、企業がおカネを借りなくなって、銀行預金というおカネが減ってしまっているからなんですね。
先ほどの図も、それを示しているのです…
つまり、1997年以降、日本はデフレになってしまい、企業が設備投資や研究におカネをかけなくなってしまい、銀行から借りることが少なくなってしまったんです。
むしろ、いま、日本の企業は貯蓄超過という状態にあります。
では、そのフォローを誰がしてきたのか!?
それが、赤色の、日本政府なんですね。
日本政府が、国債発行によって、おカネを供給している状況なんです。
しかし、バブル崩壊したあとの、橋本内閣から、大まかにいえば、日本政府の方針は『緊縮財政』です。
新規国債発行が、あたらしいおカネを供給する事になります。
(借り換えでは、国債発行残高は増えませんので、おカネの発行になりません)
しかし、下の図のように、2020年のコロナ対策をのぞいては、公共投資などの国債発行額は抑えられてきました。
これでは、デフレを脱することはできません。
デフレを脱しないと、また、企業がおカネを借りるようにはなりません…
正常な経済の仕組み…つまり、資本主義経済にもどるこもができないんですね…
これが、みなさんのおカネが増えないカラクリです。