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ざまぁ失敗テンプレ転生悪役令嬢はもがく  作者: 佐藤なつ
幽閉の園

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あげてこ

ちなみに、どうしてそこまでの資料が見れたかと言うと、私、聖女様で王妃様ですから。

極秘資料室もフリーパスでした。

ちょっと権力素敵!

とか思ってしまいました。

肝心の研究成果といえば初期段階で頓挫していました。

主人公と会っていない人間は魅了なんてあるのか半信半疑だった上に、”アレ事件”で研究員が逃げていました。

主人公によっていつ火の玉が飛んでくるかしれないと思えば嫌でしょうね。

これで終わりかと思えば、そのまま消えるはずだった研究班を、なんと私の父が引き継いでいました。

嫌がる研究員を連れ戻して従事させていたみたいです。

資料によると研究員の給料の右肩上がりっぷりが尋常じゃありません。

研究費も中々です。

絶対自分の資産もぶっ込んでいます。

そこまでして力を解明したかったのでしょうか?

魅了を手に入れてあの人は何を目指していたのでしょう。

闇の帝王でしょうか。

怖いです。

怯えますがその気持ちはわからなくもありません。

私なんて、ちょっと権力行使しただけで良い気分になりましたもの。

フリーパス?

特別?

みたいな気持ちでした。

これはもっと優遇される人を見たら、自分も!と思う日もくるかもしれません。

こうやって小さなことが重なって箍が外れていくのかもしれません。

犯罪も小さな事から少しずつ大きくなると言いますし、人間の心理というのは、常にもっともっと欲張りになっていくものなのでしょうか?

欲張って欲張って父は戻れない所まで追い詰められていったような気がします。

上手に引退した独裁者というのを聞いたことがありません。

権力者は、力を無くした瞬間に断罪されてしまいます。

自分の身を守るために、より強固に自分を守る物を欲するのでしょう。

そんな必死さを感じさせる記録は肝心な所でやはり途切れていました。

某国でもヤバいと感じた国民が研究成果や発見物を無かった事にした事があったように、この国でも同じ事が起きていたのでしょう。

解明不可。

と、最後記され研究班は解散されていましたが、魔道具開発の道に進みたかった私には資料や、論文の違和感に気づきました。

内容と結論が合わないのです。

魔道具開発師になりたくて結構ガリ勉しましたから。

なる気満々だったので研究論文とかも読み込んでましたから。

試験に失敗して全然役に立たなかったと思いましたが、今、この時に役に立ちました。

人生何が役に立つかわからないものです。

父にはわからないくらい巧妙に隠されていますが、この研究、結構良いところいったんじゃないかしら。

と、確信を持った私は、再び研究班を立ち上げることにしました。

やってること父と一緒というのは不本意ですが、自分を守る盾はいくつもあった方がよいですから。

ですが、王宮の人間は使えません。

やむなく私のいた街のはぐれ技術師達の協力を要請しました。

渋るエルや元元締めに今までの事をチクチク追求して全面協力を得ました。

あの人達10年の間、私に本当のこと黙ってましたからね。

私は傷ついています。

と、伝えたら、心の底から「喜んで協力します。」と、言ってくれました。

強制ではありません。

伝える時に私の後ろで元陛下にニコニコ笑ってもらいました。

国家権力を笠に着てみました。

お陰で街の全技術師を集めてくれました。

強制してやってくれるかと心配しましたが、ツボにはまったらしく率先して、いえ没頭してくれました。

気分が乗ればもの凄い能力を持つ人達です。

ただ偏屈すぎて、一般的な務めができないだけで。

興味が一番なので自分の身を案ずることは二の次な人達が昼夜を問わず、前世の社畜ばりに取り組んだ結果、興に乗った魔道具開発部の人間が魅了の術を発動できる道具を開発してくれました。

開発は依頼してなかったので完全に彼らの趣味だと思います。

試作品と言って差し出されたのをチマチマ使いました。

対象は父の間者のメイド達です。

最初は全然効果ありませんでした。

改良を繰り返し何度も何度も魅了を重ね掛けして、段々父への愚痴が聞けるようになりました。

重ね掛けが効き過ぎて私の事が好きになっちゃう人も現れて一悶着もありました。

発動にかかる時間や発動回数を調整して、身につけても違和感のない試作品が出来たのは隣国出発の前日でした。

小型化したら、当然ですが効果が落ちました。

落ちるだけでなく不安定になりました。

こちらの主張が通りやすくなる程度で効果は一律でない物はそれ程弊害・・・私を好きになる事も無いと思い道中沢山の人で試させてもらいました。

隣国では概ね上手くいきました。

好意的な人も多かったのもありますが、魅了が発動してなければ簡素な服装に失礼だと怒られても仕方がなかったと思います。

ゆるゆる警護のお供達には、元王妃側の人間だったこともあってそれ程効果はありませんでした。

ただ、サボりたい気持ちとシンクロしたりすると上手くいきました。

そのお陰で宿場街では抜け出せましたが万能ではないので、使用レビューは『主人公の魅了ほど強力ではありません。無いよりマシ程度と思って下さい』でしょうか。

先ほどの説得だって、使う私の技術不足というか話術不足も相まって、途中で重臣達は不思議そうな顔を何度もしてました。

元陛下の話術なら、人の気持ちをたらし込めるから魅了も安定して作用するみたいですけど、私がちょろっと喋ってもそんなに上手くいきません。

仕方なく何度も術を発動させ、歯の浮くような理解者ぶった台詞で気持ちを盛り上げたのです。


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