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ざまぁ失敗テンプレ転生悪役令嬢はもがく  作者: 佐藤なつ
幽閉の園

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やっぱりね


「陛下も受け入れるおつもりですよ。元々、陛下は自分の事を次代の為の存在とお考えでした。体制が整えばいつでも身を引くとも・・・・それが早まっただけです。」

「ですが、次代は・・。」

「えぇ、まだ幼くていらっしゃいますね。ですから私が矢面に立ちましょう。」

「?????。」

皆ポッカーンとしてます。

えぇ、えぇそうでしょうとも。

何言い出すのかと、思うでしょうね。

でも、それを頑張って覆し正当化します。

「罪を犯すと決めた時、私は陛下に相談を受けました。罪を罪としてあがなわなければならない。この国の規範と成るべき存在が罪を隠してはいけない・・・と。ですが、この国の行く末を案じられて陛下は苦しんでいらっしゃいました。私はその意を受けて、この国を救うべく再び立ち上がることを約束致しました。ですから、大丈夫です。私が後は引き受けます。幸い私は、建国以来この国を支えるプテリオン公爵家の血を引く身。その出自を紐解けば王家に連なる血筋です。あと10年にも満たない次代が育つまでの間、私がこの国の表に立ち、この国を支えていきます。」

そして一息入れ、皆を見回して言いました。

「あなたたちと共に。」

おぉぉっ。

と、声があがります。

もうね、中身どうでも良いんです。

理由付けはこじつけです。

”貴方達と一緒”

って所だけ聞いて貰えればいいんです。

「では、皆様。」

また私は言葉を切り、皆を見回した。

「同意いただけたようですので、手続きを致しましょう。この場で。」

私の言葉を待っていたように宰相息子が戻ってきた王宮魔術師長息子と騎士団長息子と共に机と椅子、書類を運び込んできました。

会場設置がスムーズです。

そつの無い設置っぷり。

本当に裏方仕事が板につきすぎて優秀です。

陛下もさっさと着席し委任状にサインをし、私もその下にサインをしました。

婚姻届にサインをした時は悔しくて手が震えましたが、今は時間が無いのでさっさとします。

その下に立会人達として廷臣達が数人サインをします。

全て書類を作成し終わった頃に再び足音が聞こえてきました。

バターンと大きな音を立てて扉が開きます。

そこに立っていたのは元攻略対象者の父親達でした。

全員息せき切っています。

拘束されている廷臣達、涙を拭っている廷臣達、平民服砂埃だらけの私と陛下が椅子に座っているのを見て唖然としています。

「な・・・何が起きたんですか。」

宰相様が最初に口を開きました。

「あぁ、今、王妃に王位を譲ったんだ。」

陛下・・・既に退位されたので元陛下が言いました。

まるで、”夜の散歩してたんだ。”

くらいの軽い口調です。

先ほどまでの回りくどい言い方も退位したら面倒になったのか、端折りまくりです。

「どういうことですか!?」

ものすごい勢いで私達に詰め寄ってきます。

自分たちが蚊帳の外になってしまったので当然でしょう。

息子達が私の前に庇うように立ちました。

まるで壁のようです。

10年前の断罪式でも壁でしたが、今は私を守る壁です。

「女王陛下に向かって失礼でしょう。」

宰相息子がきっぱりと言い切ります。

そして滔々とこうなった経緯を話します。

思い出します。

私の断罪式でも彼は淀みなく話していました。

他の人は私の揃えた証拠で多少は揺らいだのに、彼は表情一つ変えずに黒を白と言い切りました。いやいや、黒でしょ!

と、思ったものです。

年月を経て苦渋を舐め、青臭いだけじゃなくなった彼の弁舌は更に冴えています。

「お前はそんな言い訳が通ると思っているのか。」

宰相の表情には出ていませんが声は苦々しさが滲み出ています。

自分たちが出遅れたことはわかっているのでしょう。

「宰相様。法的には何の問題もないと存じます。」

書類を手に息子は勝ち誇り宰相親子の対決は終わったように見えました。

ですが、さすが父、白を黒に変えようと話し始めます。

一応息子が優勢なのですが、どうなるのでしょうか?

宰相親子だけではありません。

その隣で王宮魔術師長親子が諍いをしています。

「お前は、魅了の術を使うのを見逃したのか!」

諍いじゃない。責められています。

それよりもバレてしまいました。

魅了の術を使ったことが。

あれです。

乙女ゲー主人公の共通特技です。

特技じゃないか、特性です。

最初は嫌われていても、いずれ好かれる不思議属性。

自然と人をたらし込むだけでは終わりません。

対象者の冷静な判断力を無くし身の破滅を呼び込む力でもあります。

幸せなのはお花畑な自分たちだけ。

俯瞰してみれば不幸な未来しか見えない。

恐ろしい力です。

ゲーム真っ最中の、その当時の大人達からすれば脅威だったのでしょう。

王宮の記録を調べると秘密裏に研究班が組まれた痕跡がありました。

新しい制度の参考資料を探していた最中に記録を見つけて少し驚きました。

やっぱり父親達は私達の在学中の動きを掴んでいたんです。

子供達が血迷っていたのを知っていた上で放置。

自分達を守る為の体制作りには動く。

さすが、貴族の鑑です。

天晴れとしか言いようがありません。

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