断罪パーティへ行こう
仕方なく、私は全ての証拠を記録することにしました。
スケジュール帳に行動を時間単位で記入し、私のお小遣いも出納帳をつけました。
母の名前でした支援も現世の領収書みたいなのを書いてもらうように指示し出納帳に整理して貼り付けました。
学校には現世でいう監視カメラのような魔道具を購入し教室内に取り付けてもらうようにしました。主人公の身の安全を守るためと書いて投書箱に入れたらすぐさま手配されました。
私の意見なら通りませんが、善意の一生徒の意見はすぐ通るようです。
一応私個人でも持ち歩き動画を集めました。
また、学校の生徒相談室・先生、教会、等に相談履歴を残しました。
主人公に有利なこの世界では悉く上手くいきませんが、それでも私はあがきました。
身一つで国外追放された時のために父にお願いして街道を整備させ始めたりしました。
山賊が頻発する地域の治安部隊への待遇を良くするようにもしてもらいました。
けど、そんな事は数年で解決する問題ではありません。
少しマシになったかなくらいの結果しか得られませんでした。
得られたものは整った街道範囲で主人公が攻略者と楽しく旅をしたと聞いたくらいです。
娼婦落ちした時の為にいっそ娼館を経営してしまおうかと思いましたが、無理でした。
そもそも私の年では娼館は買えませんし、出入りの商人にお願いして娼館を見学することしかできませんでした。
母の名を出しても、娼館近くに孤児院や施療院を設立し、水場などの環境を整える程度しかできませんでした。
焼け石に水のような対策をしつつ逃げ出すチャンスを伺ったりしましたが、絶対誰かの監視がありましたし、私が個人で自由になるお金はありませんでした。
貴金属類は使用人が金庫にしまってしまうので私の部屋にはありませんでしたし、お金も口で言うと使用人が出してくれるというシステムだったので、手持ちは一切ありませんでした。逃げられない、有効な打つ手が無い。
試行錯誤しその度にゲームの強制力に絶望しながら過ごした3年間、いえ10歳からだから6年間は本当に長かった。
そして、今、私は断罪式に向かっています。
最後のあがきでドレスじゃなくて制服で出てやろうとしましたが、やっぱり無駄でした。
スチル通りの真っ赤なドレス。
重たいし、苦しいし、気持ちが上がらない要素満点でした。
気も重いですが、やっと決着が付くという気持ちもありました。
主人公は途中退場を私に許しませんでした。逆ハーレム狙いだったらしく、皆と仲良くしてました。
そこかしこでイチャついてました。
途中退場になったら準備が間に合わないと焦っていた時もありましたが、主人公が逆ハー狙いらしいと分かった時にその心配は無くなりました。逆ハーならば最後の卒業パーティで全員から断罪されなければならないのですから。
安心するのと、最後まで主人公達の茶番に付き合わなければいけないのかとウンザリしたのが二年生の後半だったので、そこからが地獄の長さでした。
多分無駄になるんだろうな。と、思いつつ準備した証拠の数々。
それらを手に私は卒業パーティに乗り込みました。