表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ざまぁ失敗テンプレ転生悪役令嬢はもがく  作者: 佐藤なつ
幽閉の園

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/84

期待に応えたくない

実際に忘れ物するのを期待されている節もあります。

何度も忘れ物無いか聞かれた上に、荷物を最小限にするように言われました。

しかも中間点の宿場町に移動ポッドなる物を試作で作ると言うのです。

絶対あれです。

押すなよ。

押すなよ。

って言うフリをする芸人さんみたいな感じです。

うっかりさんの新王妃が忘れ物して、「あら、大変。でも優秀な家来達が転移ポッドを偶然作っておいたので事なきを得ました。」みたいな感じにしたいんだと思います。

隙あらば私、いえ陛下に付随する者を貶めようとする勢力は鬱陶しいものです。

でも残念。

忘れられるほど物を持っておりませんの、私。

なんて心で思いながら

「気をつけます。」「もう一度確認してみますわ。」

とか、答えました。

余りに動じない私に一部の元王妃派メイド達は段々いらだちを隠さなくなってきましたから、もしかしたら勝手に荷物抜かれるかもしれません。

出発前に最終チェックをすることにしました。

そんな些末な事に時間を取られながらも、隣国とスケジュールを調整し、留守中の事を各部所に依頼と激励などして回っていると出発の日が来てしまいました。

少しずつ成果の見えていた新制度を短期間とはいえ、ほっぽり出すのは残念でしたが陛下の治世の中で隣国の挨拶は必要不可欠ですからどうしようもありません。

戴冠・結婚式の時に省略したパレードをここに突っ込み、笑顔で手を振ってみましたが、戸籍上の夫である新陛下は思った以上に人気がありませんでした。

移動ポッド使えば良かったんじゃない?

と、思うくらいにはやる意義感じませんでした。

若い人は街道に並んで花びらなんて振りまいてくれましたが、何となくサクラっぽかったですし、年配の人の視線の冷たいこと。

この人、私を転がしまくるけど、まぁまぁ頑張っているよ!と、心の中で一度だけ擁護しておきました。

一度だけです。

多分私の陛下を見る目も結構冷たいので、余り人のことは責められませんから。

陛下は平然と笑っているので、Mッ気があるのかもしれません。

街を抜けると、行進並に粛々と街道を進みます。

初めて街道を使いましたが石が敷き詰められ、排水溝まで切ってあります。

中々整備が行き届いています。

これが体感できたので移動ポッド使えばという考えは無くなりました。

公爵領もちょっと被っていますので、この領域は10年前私の持ち物を処分して得たお金も使われているはずです。せこいですがこの石畳1000個・・いえ10000個分くらいは、優に出してるはず。なのに私は今日初めてこの道通りました。感慨深いです。

なんて競馬場で、あの、のぼり10本分くらいは俺の金だ。なんて言う賭け負けた人みたいな事を思ってしまいました。

別に街道の景色を楽しむ余裕もなく、結構な速度で隣国への道を進み、途中宿場町での宿泊を挟んで二日ほどで到着してしまいました。

移動ポッドが本使用になり、早馬とか飛ばせば更に短縮できるでしょう。

現に宿場街や街道筋に新しい馬場が整備されてました。

商人の動きは速いですね。

以前は倍の日数かかっていたらしいので、これが整備されれば更に時間短縮されるでしょう。

たどり着いた先では熱烈な歓迎を受けました。

老いも若きも沿道に溢れんばかり、皆手を振っています。

母国との格差に呆気にとられていると、王自ら私たちを出迎えに現れ、更に熱烈な歓待を受けました。

マザコン陛下にとってみれば、憧れの母の国なのでしょう。

私の目から見ても若干テンション高めで過ごしていました。

一応仕事もちゃんとこなし、いくつかの平和協定やら貿易に関する話を纏めていました。

私も名目は王妃なので王室外交に勤しみました。

救国の聖女は贅沢を好まないという好意的な評価を頂いていましたので、シンプルな服装でも好意的に受け止めてもらえました。

全体的にものすごい好意的だったので、陛下と私がよっぽどの事しても流してくれたのではないかと思います。

お陰で、初めての他国訪問はそれなりの成果を残すことができました。

「なんだか思ったより呆気なかったわ。」

なんて帰りの車上で言うと陛下は

「油断大敵だよ。」

なんて笑って言ってきました。

確かに油断大敵です。

今まで油断したら必ずと言っていいほど痛い目に遭いました。

私が油断するとき、それは何かが、それも悪い何かが起きる時です。

でも、後は帰るだけです。

やっと外の空気に触れたのに、明日にはまた王宮での生活に戻るのです。

往路でも泊まった宿場町で最後の自由を堪能しようと、私は散策に出ました。

お供はついてきてましたけど、街全体が警護されていたので気が緩んでいたらしく、すぐまくことができました。

ゆるゆるお供でした。

人選してくれた側近達(元攻略対象者達)には悪いのですが、中々質が悪い人がそろっていました。やる気がないというか、隙があればサボると言いますか・・。

今回の外交先は甘かったので特に支障はなかったのですが、そうでなければ困ったことになったでしょう。

街をフラフラ歩いていると、後ろから肩をつつかれました。

陛下でした。

私と同じく供を連れていません。

どうやら同じ行動をしたらしいです。

芸が細かいことに頭をぐしゃぐしゃにして平民服まで着てます。

かく言う私も同じく平民服です。お供をまいた時に顔を拭ってすっぴん変装までしてます。あれ?供を撒くことができたのって、私の変装のせいかも??

と、思いましたが、それも失礼な話です。

何だかいらだってきました。

散策を邪魔された腹立ちもあり陛下に背を向けて町外れまで進みました。

陛下もついてきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ