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ざまぁ失敗テンプレ転生悪役令嬢はもがく  作者: 佐藤なつ
幽閉の園

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同じかも

起こした事件の割に緩い対応と思われるかもしれません。

当初、ガッチガチ拘束魔術をかけていたらしいのですが、水球の中で数年ぷかぷか浮いていたので、筋力が衰えて自力で動けないのが判明してからは魔術師の人件費削減の為拘束解除になったらしいです。

主人公は恐らく無重力下に居た人みたいになっていたのでしょう。

先日は無理に動いて、転んで骨折したと聞きました。

骨密度スッカスカだったのかもしれません。

何をそんなに頑張ったのかと思えば私に謝罪したい一心で動いてしまったと聞き一度だけ殿下にお願いして面会しました。

遠巻きに見てみて、ガリガリ出がらしになっていたのに驚きました。

どうやら魔力をずっと吸われ続けるという刑罰を下されたのだそうです。

筋力無し、魔道具なし、魔力を吸い挙げれば脅威ではない。おまけに魔力が吸えてお得だね。

と、いう判断らしいです。

遠巻きで見ている私に気づくと号泣し出しました。

なんか、子供時代が過酷すぎて、乙女ゲーの主人公と気づいてからはっちゃけた。

とか、

言いたくもない「ツンツンしてると嫌われちゃうゾッ。」みたいな台詞を口が勝手に言い出してしんどかった。口だけじゃなく行動も制限されていた。

とか、とにかくゲームの強制力に苦しみ、攻略対象者や私に対して体が操られているように行動する恐怖について嗚咽混じりに語られ、謝罪されちょっとだけ同情してしまいました。

あの台詞は一度だけ私も言ったことがありますが、鳥肌立ちました。

自分に対する精神的ダメージが半端なかったです。

そんな言葉や行動も本意でなければ辛いでしょう。

とにかく、ゲーム通りに終わらなければ自分はどうなってしまうかわからないという恐怖を耐え、最後、スチル通りに泥まみれになっている私を見た時やっとこれが終わると思って緊張感からの解放で高笑いが止まらなかったそうです。それも謝罪されました。

確かに良い笑いっぷりでした。

場所と泥まみれの格好は私の仕込みですが、王宮へ向かうルート的に私の前を通るかは少し疑問だったので馬車の音が聞こえた時は私も安心しました。

実は私もこっそり笑いをかみ殺していました。

多分我慢した顔になっていたと思います。

そういう意味では強制力に苦しんだ仲間と言えるかもしれません。

その後の私と主人公の道は全く真逆だった訳ですけども。

私は、開放感で自分のやりたいことを頑張りました。

主人公は、開放感ではっちゃけまくりました。

誘惑もいっぱいあったでしょうが、助言してくれる人もおらず、貴族の慣例など知らない環境で孤独だったのでしょう。

力があって、頼りがいがある国王陛下に甘い言葉をかけられてグラリと来たとか続けて言われても、知らんがな。としか言いようがありませんが、それだけ頼れる人がいなかったのでしょう。

とりあえず謝罪は受け取りましたが、私には彼女を助けることはできません。

次期王妃としての地位は確約され、救国の聖女(笑)扱いですが、殿下の立場は弱いままです。王妃としての権力は弱いのです。

これから先も弱いままでしょう。

殿下がどれほど頑張っても優秀であると認めたくない人達がある程度いますから政治手腕も評価されないでしょう。

殿下自身の評判はどうでも良いのですが、人の功績が歪められて伝わるこの国の現状は問題だと思いました。

殿下に言うと、

「僕の政策だと言うと、この国の人は納得しないからいいんだよ。」

と、何とも達観した意見でした。

釈然としません。

私が10代の頃にした寄付活動に似ています。

やってもやっても私の功績とは認められなかった。

私は自分の周辺の人に認められず、嫌われていましたが、殿下は国中から認められていません。

規模は違いますが、殿下はそれを飲み込んでいます。

自分の立場を理解し、淡々と求められた役割をこなしています。

豊かで安定した国を目指しての改革を行っています。

次代が治めやすくするために変化を嫌う人達から、嫌われ役を買って出ているのです。


国を治めるとはこういうことなのかもしれません。

自分の代の時には次代、その次の事も視野に入れて動かなくてはなりません。

私も街の事に尽力して居た時もっと規模は小さかったですがそういう気持ちでした。

でも、やっぱり評価されたいのが人情です。

ムチばかりじゃ意欲も落ちるままです。

だからと言って私がアメを与えると言うのもなんか違う気がします。

冷たいようですが私にできるのは、案を出したりお手伝いしたりする程度です。

内助の功とかではありません。

私の前世の知識を生かして国の改革を進めたら、女一人で生きていける自由が手に入ると思っただけです。

でも、こういう改革は一朝一夕でできるものではありません。

人の意識を、常識を変えるにはそれなりの年月がかかるものです。

色々試行錯誤してしている内に時はどんどん過ぎていき、あっという間に結婚式の日が来てしまいました。

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