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ざまぁ失敗テンプレ転生悪役令嬢はもがく  作者: 佐藤なつ
幽閉の園

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酷い扱い

その後の扱いもずっとこんな感じでした。

小さな事から、大きな事まで、殿下は上手に私を転がしていきます。

基本は私の願いは叶えてくれます。

けれど、ふとした瞬間にやられた。

と、思うことがあるのです。

一度、

「殿下が私に嘘をつかないという誓約書を作って欲しい。」

と、言ってみましたが、

「それは無理。」

と、即答されました。

曰く、政治的に嘘やグレーな事を言うことがあるからだそうです。

他の人に聞かれたら困ると言われたら、父の手の者をはじめ間者が入り放題、むしろ泳がせているこの王宮では真実ばかりは話していられないと言われてしまい、納得せざるを得ません。

また納得させるだけの実行力を持っていました。

他人として見てみると、殿下はじめ、側近、もと攻略対象者達は本当に高スペックなのだとわかります。

後継者としての本道から外れてしまった分、家のことに関係なく殿下に仕えることとなった彼らは以前のライバル関係からは考えられないくらい連携して働いていました。

通常業務に、譲位・結婚式に関連する仕事も増えていましたが率先して働き、また交代で私の警護についています。

多分休みなんてないのでしょう。

合間に聞く話は身分から言ったら考えられないくらいの下働きっぷりです。

多分上司に押しつけられているんじゃないかと推察されました。

宰相息子が掃除道具のホウキ購入申請書作成してたり、騎士団長息子がスズメバチの巣退治顛末書作成しているのを見た時は学校の監視カメラ設置ですら丸投げだったのに・・・。

と、感慨深くなりました。

最初は業と私に見える形でそんな仕事を受けているのかと思いましたが、どうも違うようです。

やっている作業や、作っている書類はどれも似たレベル。

それを日中片付けて、夜は殿下の側近として国政に関わる仕事をこなす。

何ともアンバランスな状況です。

下働きをさせて経験値を積ませるとかそういう意図では無いようです。

それぞれの上司達から理不尽な扱いを受けているのは何となく感じられましたから。

後ろ盾がない、放逐寸前の名ばかり貴族など配慮は必要ないということなのでしょう。

想像以上に彼らの立場は微妙なようです。

実際に、私を追放した事が今も尾を引いているようで、実家の支援も無く、家を出されそれぞれが王宮や、騎士団の寮に住んでいるようでした。

その上、先日私と結んだ賠償金なども実家からの借金という形で返しているらしいのです。

殿下の側近なのにそんな扱いをされるのかと疑問に思いましたが、肝心の殿下の立場も微妙なままだということがわかってきました。

国民の中には隣国への嫌悪感が根強くあります。

殿下が国王として即位してもその一代限りで、次代は蟄居させられても人気のある王妃の子が跡継ぎとなることは決まっていました。

主人公を王宮に賓客として招いたのに、何故か王妃は被害者扱いに処理されていますし、色々釈然としません。このままなら10年後あたりには退位させられ殿下達側近は閑職に行くか、危険な業務に就かされるか、とにかく中央から外されるでしょう。

その前に、私にできる限り賠償をしたかったと、殿下はじめ対象者達に言われた時には、重たさにウンザリしてしまいました。

誰かこの話を聞いて欲しい。

この辛い国から抜け出したい。

その一心で私も国政に関わりました。

殿下達がある程度整えてくれ、それぞれの部署に根回しをしてくれたので、教育改革や福祉制度改革などはそれ程反発を受けず改善の手はずが整いました。

とにかく国力をつけないといけませんから。

この国が弱くなり侵略されれば私だけで無く沢山の人々が不幸になります。

後、ちょっと殿下達の人気回復を目指してみました。

戴冠式・結婚式と同日に施行と公布されていく事になったのですが、どうやら殿下の功績ではなく、私の功績として大々的に喧伝されていきます。

驚いたことに殿下がこの10年間行った施策は、先王の功績であったり、私の街での政策を真似したとして知られていました。

主人公が起こした事は”アレ事件”と呼ばれ、処理したのは先王達となっていました。

そのままなネーミングセンスを疑いますが、国史にも記録されていました。

私が倒れた”アレアレ昏倒事件”は私の自分史だけに記録されていますが被っているので国史に触れる度に思い出してしまいそうです。

何よりも私が壇上で主人公である”アレ”を慈愛溢れる瞳で見つめ、”アレ”が跪いた。

みたいな記録がされていて、勝利者の歴史編纂の闇を見た気持ちになりました。

自分が信じている歴史は真実なのでしょうか。

そんな事を問いたくなる出来事です。

ちなみに主人公たる”アレ”は徐々に目覚めて現在離宮の一室で幽閉されています。

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