ピンはねハネハネ
記憶の無い私は主人公にはめられまくりでした。
私が抗議する。
それを見た殿下達攻略者とおぼしき人達が私を責めてくる。
私の取り巻きが怒り、主人公が泣き真似する。
また殿下達攻略者が私を責める。
これが毎日のように続き、私もいい加減うんざりしました。
このままでは学校生活を立て直し、殿下達との仲を修復することも不可能でしょう。
冷静になって考える為にまず、学校を休むことにしました。
会わなければ、イベントは起きません。
出席日数をギリギリにし、足らない分は追加レポートを提出するなどをしました。
魔術学校試験と同じように定期試験も失敗だらけで成績は悪いままでしたので、本来の実力が発揮できるレポートは気が楽でした。
私の実力では無い、他の人に書かせてると思っている先生方もいましたが、追試を口頭試問で受け、実力を理解して頂きました。
もともと主人公が絡まなければ授業態度は良かったですし、私の口添えで学校や先生方には支援と言う名の資金援助がなされていましたから、文句を言う人もいませんでした。
そう言えば、ゲームの私も成績不良でレポートを人に書かせ、父の力で学校生活を送っていたのでした。
と、いうことは、ゲームとほぼ同じ状態になっています。
私はゲームの強制力に怯えました。
このままでは断罪三種盛りコースです。
主人公が積極的に私に絡み、私の有罪ポイントを稼いでくることから、状況によっては卒業式までもたない可能性も出てきました。
早急に逃げ先を用意しなくてはなりません。
三種盛りの内、一番良いのは幽閉でしょうか?
しかし幽閉先がわかりません。
おそらく公爵領のどこかだと思うのですが、モノクロスチル一枚だけでは情報量が少なすぎました。アレアレ昏倒事件から奉仕活動もそれなりにしてましたが、勉強に集中していたので父にお願いして支援をしてもらったり、お小遣いを渡して人にやってもらったりしていました。
折角学校を休んで体が空いたので自分でも活動に参加することにしました。
変装して(ノーメイク)で、家の近くの孤児院を訪問してみてびっくりしました。
私の支援は何も届いていませんでした。
いえ、父の支援の跡はありました。
本であったり、遊具などの設備であったり、そこかしこにプテリオン公爵閣下寄贈と記載がありました。壁には父の肖像画までありました。
私のはどうなったか確認すると、ピンハネされてました。
私付きのメイド・小間使い・下僕など数人で分け合っていたらしいのです。
全部では無く、半分ほどは食料として各施設に配布されていましたが、母の名前でされていました。
私の悪名が広がり、私の名前では受け取ってもらえなかったからと言う理由でした。
本当に?と、思いましたがその後改めて私の名前で送ろうとしても受け取ってもらえず、本当だとわかりました。
悪役令嬢らしからぬ行動はゲームの強制力か出来ないようです。
逆にピンハネした人たちを父が解雇した時は、私が我が儘でクビにしたという噂になりました。
働きながらピンハネしたお金を施設に返して欲しいからと解雇するのを止めてもらうように父にお願いしましたが、父からは「甘いことを言うな」と、叱られました。更に解雇された人たちからも「情けをかけたつもりか。」と、恨みをかいました。
また使用人達も辞めさせられた子達に都合の良い言い訳を信じたのでしょうか。私に更に冷たくなっていきました。