表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ざまぁ失敗テンプレ転生悪役令嬢はもがく  作者: 佐藤なつ
テンプレ悪役令嬢のその後

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/84

誰を信じたらいいの

停電が起きたようなものだろう。

「突然の事に王も王妃も全く対応できなかった。目先の権力争いに無我夢中だったからね。王は名ばかりの王となり、王妃は蟄居させられた。現場は先王と宰相達が中心となって、各施設への魔力供給方法を全て独立させた。どちらにしろ不具合が起きていたから非常時の対応方法は模索されていたんだ。だけど突然だったからね。やっぱり混乱は避けられなかった。我が国が弱っていると見て侵略を試みようとする国も現れた。でも、そういうのは”アレ”が光の矢を気まぐれに放って牽制した。でも、そんな事を放置すれば国としての信頼は無くなる。我が国との貿易に消極的になる国も現れた。だけど、君が、君の治める街がこの国を救ってくれた。」

「救ったなんて。私は何もしてないわ。」

「さっきも言ったけど、公衆衛生の改善に努めた。疫病は減り、働ける人が増えた。生活が安定して人々の心は安定していった。それに君は貧しい人に働き口を与えた。君の行った施策は前世の記憶による物かも知れない。こちらの世界で上手くいかないかもしれない事に果敢に取り組んでくれた。君の街からの税収は我が国を支えてくれた。今まで貧民だけで援助する対象だったのが税を納めてくれるようになる。沢山の設備投資をしなくてはならない国庫にとってどれほどの助けになったかしれない。それに君の街が栄える事は他の国からの訪問者も増えることに繋がる。だって、性欲は人間の大いなる欲求だからね。幸い街道は公爵が整えてくれていたし、盗賊も取り締まられていた。我が国は訪れやすい国となっていたから沢山の人が来るようになったよ。そして旅人は富を残してくれる。」

殿下のきれいな口から俗物的単語が出るのにドキドキしてしまう。

「わ、私は何も・・。」

「君がどうこうとは言っていないよ。君のとった施策を国を挙げて模倣した。君の街に密偵を放って、君がやりたいけどやれないと嘆いてた施策も先取りして行った。妊婦や乳児へ検診や、支援とかね。出生率も上がって、乳児の死亡率も下がった。君の所の魔道具師が開発する・・色々な道具も輸出した。そうそう、挿絵付きの本?も人気があったよ。あぁいうものを欲する人というのは一定数居る。貿易に消極的な国も結局は元に戻った。そう、全ては君のお陰だ。君は救国の聖女と崇められるようになった。君は不本意かも知れないけどね。」

殿下の話にタラリと背筋を冷や汗が流れていくのがわかりました。

前半は良いのですが、問題は後半です。

魔道具師が開発したのは、避妊具も含め、お楽しみの為の道具類ですし、挿絵付きの本は前世の記憶”薄い本”を参考に作った大人の読み物です。

私の街には他で暮らせない人も沢山やってきたので、腐った人もすんなり見つかりました。乙女ゲーの世界の中に腐り人が居ると知った時は嬉しくなったくらいでした。

「密偵を放ったって・・・どこまでご存じですの?」

「どこまでだろう、結構知ってるんじゃないかな?」

ふんわりと笑うけれども、私の冷や汗は止まりません。

「だってお父様も私の行き先がわからないと仰ってたわ。」

殿下はカマをかけていると信じて言いました

この場合殿下より父の方が信じられる。

「嘘だよ。」

「えぇっ?何故嘘を?」

あの人は嘘つく・・・でしょうけど、態々私に対して茶番を仕掛けるなんて、そんな面倒なことしないでしょう。

「どこで”アレ”が反応するかわからなかったから。特に君の情報には過敏だったからね。密偵が君の情報を報告する度に此所は壊されてたんだよ。気づいてないかもしれないけど、10年前と比べて装飾が減っただろう。」

「確かに・・・。」

前はもっときらきらしい装飾が沢山されていた。

けれど、今はどちらかと言うと布やカーテンなど破壊されても割れて飛び散ったりしなさそうな物で覆われていました。

「興奮すればするほど攻撃が激しくなって姿も見えやすくなるみたいなんだ。特に君の話題には凄く反応したよ。何度もここは壊された。」

ふぅ。

と、殿下は溜息をつきます。

「でも・・でも・・私に似た人を旅行させて情報を撹乱したと元締めは言ってたわ。」

「それも嘘だよ。エルのお父上はこちらの事情を良く知っている。”アレ”から大事な息子を守る為だ。当然だろう?」

「私、何を信じたら良いのか・・。」

私は頭を抱えました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ