殿下の独白は長い
正直足が痺れかけていたので助かりました。
そのまま足を組むと頬杖をついてこちらを見てきました。
「お陰で少し酔いが覚めたよ。余りにも長い話だから、続きは明日にしようか。」
「いえ、最後までお願いします。」
正直ここで止められたらどんな焦らしプレイかと思う。このままじゃ寝れません。
「そう?これ以上遅くなると、噂になりそうだけど。」
「うっ・・・。」
確かに二人でどこかに消えたと思われるだろう。
これでなし崩しに二人の仲を肯定されるのは避けたいが、それよりも今は知りたい欲の方が勝った。
「いえ、最後までお願いします。」
「その台詞、勘違いしそうになる。」
「???何をですの?」
「案外、スレてなくて安心したよ。」
殿下がまた笑った。
イケメンの笑顔の大安売りだ。
「とにかく簡潔にお願いします。」
「そうだね。どこまで話したかな。”アレ”が焦って所構わず独り言を言ったり、不思議な行動をし始めた・・までだったね。その時は僕達も冷静に戻ったんだ。だけどお互い相談はしなかった。くだらないプライドが邪魔し合ったんだ。でも相談しあうべきだった。でもできなかった。そうこうしている内に”アレ”が元に戻ってしまった。焦ったのは一時的な物だったんだ。君が何かある時は出席したり、出席しなくても余り影響が無いと判るとすぐ落ち着いたよ。
そうすると僕達も、また”アレ”のペースに巻き込まれたよ。後で聞いたら皆おかしいとは思ってたらしいよ。けど、逆らえないんだ。卒業式の日は言いなりだった。君を辱める言葉を僕たちは言ったね。君は理路整然と証拠を出して反論してきた。内心感心してたよ。僕は君の事をずっと我が儘で怠惰な公爵令嬢としか見てなかったんだと思い知った。だけど、何故か止まらなかった。君を退場させて、何故か大して仲良くもない僕らが同じ馬車に乗って何故かあの道を選んで王宮に向かった。近道でも何でもないのにね。そこで泥だらけになってた君をあざ笑ったね。笑う資格なんて僕たちにはなかったのに、笑う気持ちなんてなかったのに、僕たちは笑った。後で、泥だらけの君を笑う事は決まっていたと”アレ”に言われたけど・・人として、していけないことをした。それは事実だ。謝罪してもしきれない。」
殿下は私に向くと姿勢を正し頭を下げてきた。
「おやめ下さい。もう済んだことです。私はもう何とも思っておりません。」
顔を上げた殿下は切なそうに顔を歪めた。
「もう、君には過去の事だって言っていたね。」
「そうですわ。顛末を教えていただければ、それで良いのです。」
「取り付く島もない・・か。まぁ仕方ないね。それだけのことをしたからね。」
殿下はまた溜息をついた。
イケメンの溜息。本当アンニュイな空気感が半端ないです。
そして話長い!
3行では無理だけど、もっと端的に報告して欲しい。
早くして欲しいという視線を送ると殿下は肩をすくめた。
「その後、僕たちは王宮に向かったよ。そしてこの部屋で王と王妃に会い、救世主を連れてきたと高らかに宣言したんだ。実際忍び込んでいくつかの王宮の不具合をなおしてたしね。王と王妃は喜んだよ。王妃は”アレ”が自分の血族であると宣言すると言って王妃の客人として王宮に滞在させた。全員やりきった達成感に満たされて家に帰ったよ。だけど、その夜全員が舞い戻った。ここにね。」
殿下は床を指さした。




