主人公の後出し2
「君は王妃の血縁なのか?」
「えぇ、遠いね。学校も王妃様に入れて頂いたのよ。」
「・・・・知らなかった。」
「だって内緒だもの。」
「何故内緒に?」
「王妃様に言われたの。」
「王妃に?君は利用されているんじゃないのか?」
「違うわ。逆よ。王妃様はこの国の事を考えているのよ。」
「信じられない・・。王妃は私欲に走って国をないがしろにしている。」
「それは表向きよ。私は王妃様に頼まれたのよ。ひいお祖父様という正当な管理者がいなくなって20年。魔力溜まりは色々問題が起きているわ。でも誰も治せなくて困っているでしょう。そんな時に私ならできるって出ていっても誰も信じないだろうから内緒にしましょうって王妃様が仰って下さったの。私の身を案じて下さったのよ。」
「そんな・・・君は本当に治せるのか?学校の設備とは違う。王宮のこれはもっと大がかりなものだ。」
「実際にやったことはないけど、ひいお祖父様が教えてくれたわ。」
「追放時に記憶を封ぜられたはずだ。」
「抜け道があるの。」
「どんな?王宮の刑務官の手による記憶封鎖だぞ?」
「一族だけの秘密だから答えられないわ。」
「君のひいお祖父様は今どこに?」
「元々高齢だったし、管理者の激務で体も弱ってたの。数年前に流行病でもう・・・。」
「そうか。君は天涯孤独だったね。」
「えぇ、王妃様が私を探して保護して下さったの。正当な管理者であるひいお祖父様を探してくれたのだけど、その時にはもう亡くなった後だったの。王妃様はこの魔力溜まりを制御する前に学校であなた達を助けるように私に仰ったのよ。」
「そんな・・・王妃様が・・・。。」
以上。
こんな感じでした。
今まで恋愛モードだったのに、突然謎政争モードが入ってきます。
いえ、政争じゃないですね。
融和モードです。
王妃様はあなた達の敵じゃ無いわ。
今まで嫌なこと言ってきたのも、あなた達のこと思ってなのよ。
あなた達のこと思って苦言を呈してたのよ。
実際に学校を統治できなくて困っている貴方達を助けるために私を遣わせたの。
なんて主旨の日和見な事を言い出してきます。
今まで殿下達が散々自分の不安定な地位について嘆いていたのに、敵じゃ無いのよ。
この国のこと思っている良い人だから大丈夫。
と、主人公節を唄って聞かせるのです。
これは、皆いい人ハッピーエンドへの布石なのです。
ゲームしている人がラストに感じる違和感を減らすために、帳尻あわせにここにぶっ込んできたのに違いありません。
退屈パート。
目が滑る。
そんな評価が集中しました。
あ、主に私の評価です。
でも、登場人物達はそれにグッときてしまうのです。
チョロすぎです。
チョロインではなく、チョロ対象者でしょうか。
それも仕方がないのかもしれません。
乙女ゲーですから。
いえ、違います。
学校が統治できなくて困っていたのですから、紐付いて思い出していったのですが、ここに至ったのも主人公がチート知識乱用して学校の問題を解決していったからです。
私がお休みしていた時に起きていたイベントです。
学校で自動ロックが勝手にかかり対象者と閉じ込められる密室イベント。
突然水道圧が変わりシャワーのように水が降り注ぎ対象者とビチョビチョ濡れ濡れ、ちょい透けなドキエロイベントなどです。
対象者と力と知識と肌を合わせて解決するイベントを”楽しんで”×→”乗り越えて”、主人公に全てお任せすれば大丈夫という刷り込みがされていくのです。
ほどよく刷り込まれて半分、洗脳入った所で主人公が言うのです。
「学校でこのような事が起きているのなら、国中で同じ事が起きている。
私なら治せる。
その大本である王宮の謁見の間に行きたい。
力を貸して」
と。
そして、その時点で一番好感度が高い攻略者と一緒に王宮に忍び込むのです。
重臣の息子達でありながら、主人公の言いなりに王宮に潜入するなんてかなりな重症です。
しかし、そんなこと言っていたら乙女ゲームとして成立しません。
対象者は一応難色を示しますが、ポーズです。
学校の問題は起こり続けています。大本を解決しなければ完治は不可でしょう。
いずれ統治能力を問われる事は必至。
その前に何とかしなくてはいけない。
この国の為にも。
と、いうような事を言って協力を申し出てくれるのです。




