療法は人を選びましょう。
でも、私に未来の王妃としてどうにか勤めを果たせる人間に・・それこそ、冷遇されながらも王妃としての務めを果たしていた前王妃のようになって欲しいと悩んでいた所、侍従達に少し距離をあけることを提案されたそうです。
それで、月1回の面会という流れになり、それでは婚約者である私に申し訳ないと思った殿下が何かを贈りたいと思いプレゼントを用意したのですが、それも侍従達に贅沢を諫めるには普通のお菓子にメッセージを込めた方が良いと進言されたのだそうです。
殿下はメッセージカードを毎回つけていたようなのですが、それは私には届きませんでした。途中で抜かれていたようです。
おまけにお菓子のランクも徐々に下げられ、最終的には月替わりチョコとクッキーになったのですが、浮いたお金はピンハネされてたらしいです。
どっかで聞いた話です。
私もピンハネされてました。
まさか王太子殿下もピンハネされていたとは。
ピンハネされ婚約者同志。
全然嬉しくありません。
気づかないバカですって言ってるみたいですもの。
他にも色々言っていましたけども、要は私と殿下の仲が疎遠になるように色々誘導されていたということ。
つまり侍従は現王妃派の人間だったのです。
まんまと踊らされていました。
切ないことに私達だけでは無く、取り巻き側近候補、すなわち攻略対象者達にも働きかけていたらしいですよ。
私が孤立するように、いずれ私と婚約破棄するように悪い噂をそれとなく流していたみたいです。最初は彼らは噂に無反応だったようですが、長年少しずつ刷り込んでいくことによってディアンヌの悪評をあること無いこと信じ込むようになったそうです。
どうりで彼らにはとても嫌われていました。
と、言うより、距離を置かれていました。
10歳前の私はそれに気づかずに、殿下の側近候補は私の側近候補と思い込みアプローチしてた記憶があります。
10歳以後、アレアレ昏倒事件以後の私もそんな動きに気づかず何とか関係を修復しようとしていました。
何とも無駄な努力をしたものです。
攻略対象者達も侍従に踊らされていたような物です。
私と殿下の仲を取り持つ訳でもなく、関わらないようにして、放置していた訳ですから。
政情的に見れば、私はともかく殿下が失脚すると知っていながらです。
側近候補であったのに、その無関心はどうかと思います。
でも、泥船のような王太子殿下派にいるのは不本意だったのかもしれません。
今、振り返ってみれば、殿下の友人と言うよりは勉学・武道のライバルとして接していたような気がしてきました。
一緒に行動していたのは生徒会役員だったからで、仲良く何かをやっていた訳では無かった。学校で主人公に出会ってからも、それぞれが主人公に「自分の行き先は・・・。」
みたいな進路相談をして、これまた主人公が無責任に
「あなたなら大丈夫!信じた道を進もう!」
と、答えていた。
そこからの、脈絡無いハグ・握手・頭ヨシヨシとかの映像も記憶に蘇ってきました。
それで絆されていたから、本当この人達、どうかしてるって思ったんだった。
嫌な記憶がどんどん思い出されていきます。
こんな回想療法嫌だ。
心がすさんじゃう。




