胃がキリキリ
仕方がないので、対策1に戻ることにしました。
王太子殿下にお願いしてみようとして・・・。
できませんでした。
まず、面会が出来ない。
いや、毎月1回定期面会日が設置されてはいました。
が、所要時間5分。
会って、まず時候の挨拶。
決まり切った口上を私のメイドが言う。
決まり切った返答を殿下の侍従が言う。
そして何故かプレゼント交換。
そして、さようなら、また来月の挨拶の応酬。
以上。
私と殿下の会話はゼロ。
視線が交わることもありません。
これ、相当嫌われていると思いまして、手紙を出しました。
内容は、”私、殿下の妃に相応しくない。ブスだし、頭悪いし、性格も悪いし、この間倒れて健康も自信ないし、他に相応しい人いますよ。婚約破棄して下さいませ。”を、これ以上無く丁寧に書きました。
メイドに委ねると潰されると思ったので面会日に直渡ししました。
気分は上訴です。無礼打ちされても仕方ないくらいの気持ちでした。
同時進行で殿下の友人にもコンタクト取れないかもがいて無理だったので手紙書きました。
多分ウチか相手の家の者にもみ消されるか、届いても知らんぷりされるかと思い間を開け何通も出しました。
中身は殿下に出したのとほぼ同内容。
妃に相応しくないので、殿下から婚約破棄して下さるよう進言してね。に今までウザく付きまとってたけど、もう付きまとわないから勘弁してね。を一生懸命丁寧に書いてみました。
結果、殿下からは「政情的に無理だってわかってて、婚約破棄しろって言ってくるなんて、性格悪いね。できるなら最初っからしてるよ。」と、言う伝言が・・・そう、お手紙ですらありませんでした。形に残る物は私にあげたくないんですって。
あ、毎月のプレゼント交換ですか?もちろんチョコとかクッキーとかの消え物ですよ。
しかも同じ物が交互に来ます。
奇数月はチョコ偶数月はクッキーみたいな感じです。
多分従者が選んでるんじゃないでしょうか。
ご友人様方からは代筆で返信はきました。
来ましたが、訳すと「付きまとわないって言うけど、アプローチが手紙に変わっただけでしょ。手紙ウザい。」でした。
つまり、全敗でした。
もう、手のつけようが無いことがわかりましたので、言われるままに毎月の5分間面会を行い、プレゼントもどうせ殿下が受け取らないだろうからと使用人が分けられるような質が良く量もそれなりで日持ちする市販のお菓子類にしました。
ご友人には面会よりはマシだろうと言うことで、時候の挨拶のカードとプレゼントを贈るのみにしました。手紙だとどんな内容を書いても悪意のあるようにしか取られないので、誰にでも見れる絵はがきみたいなカードにして文面もテンプレにしました。多分心のこもってないカードを送りつけてくるヤツくらい言われていると思いますが、寄れば鬱陶しい、離れれば公爵令嬢としての最低限の挨拶もできない無礼者と誹られるだけでしたから、人の目があるカードという形にしました。
これが正解かはわかりませんでしたが、何もしない訳にいかないので対策1については現状維持でチャンスを伺うことにしました。
完全にミッション失敗ですが、唯一、良かったのはいわゆる攻略対象者と思われる人たちに対し、盲目的に好きで好きで仕方が無いと言う状態にはならなかったことでしょうか?
感情についてはいわゆるゲーム強制力は働かないようです。
心底良かったと思いました。
えぇ、負け惜しみじゃありません。
本当に好きじゃないので、好かれなくても別に何とも思いません。
だけど、このままでは命に関わるのです。
好かれないままでも何とかしなくてはならない。
何ともならない問題を考えるのは、10歳にして本当に胃が痛くなることでした。