今更後出し。
私と目が合うとにやりと笑ってきます。
10年ぶりだというのに変わらない。
「久しぶりだね。この街の繁栄っぷりは私の耳にも入っているよ。」
初めてかけられた褒め言葉に戦きながらも、私の変装は全く効いてないのだと悲しくなりました。せめてもの抵抗に
「はじめまして。この街の事を褒めて頂き光栄です。」
と、返答しました。
すると、
「何故そんなに他人行儀なんだね?」
と、聞かれ返答に困ります。
だって絶縁したのですからもう他人ですよね。
そんな私の心のつぶやきをどう聞き取ったのか
「あぁ、絶縁は取り消したからね。君は我がプテリオン公爵家の娘に戻っている。なおかつ婚約破棄もなされていないから、君はアレン王太子殿下の婚約者のままだよ。ディー。いや、ディアンヌ。」
絶句しました。
しかも疑問がいっぱいです。
「何故、絶縁が取り消されたのですか?」
「絶縁する意味がなくなったからに決まってるだろう。」
「意味がなくなったとは?」
「王家からね。婚約破棄の取り消しがあってね。そうすると君は公爵令嬢でなければならないだろう。全ての事が無かったことになったのだよ。」
「婚約破棄の取り消し?」
「そう、元々婚約破棄は不可能だったのだよ。」
「あぁ、政情的に問題があると仰ってましたね。」
一番最初に婚約破棄しようとしてダメだと言われたのを思い出しました。
なんてことだ10年過ぎて、また同じ会話をしてるなんて。
私は成長の無さにがっかりしました。
「そうだ。元々アレン王太子殿下は先妻の子だからね。」
「あぁ、お亡くなりになった・・・。」
アレン王子の母君は隣国の王女だった。長年小競り合いを続けてきた両国だが先王が尽力し友好協定を結ぶまでに至ったのだ。現王との婚姻もその協定を強固にする一つとして半強制的になされたものだ。
ちなみに現王には子供の頃からの婚約者があり、しかも両思いだった。
政情のために引き裂かれた二人に国民はいたく同情したのだと聞いている。
そんな中生まれたアレン王子は、両国の友好の証として次期メニスカス国王となるのは決まっているのだが、当然反対勢力もあった。特に元婚約者家族から反発があった。国民感情も長年仲が悪かった隣国の王女の息子なんて・・・って気持ちもある。そこで、長年我が国を支えていたプテリオン公爵家の出番となったと言うわけだ。実際、お父様はやり手だ。名家の息子達を王子の取り巻きとして王宮に行儀見習いに入れ王子の立場が盤石になるように手配をした。そこまで確認して前王妃は安心したのか倒れ天に召された。
毒殺だったのではないかと噂になるほど、ひっそりと旅だってしまったのだ。
その後、王は元婚約者を後添えにし、子供をどんどん設けている。
引き離されてた時間が愛を育てたとでも言いたげに、イチャイチャしまくっているという噂だ。
現王妃の寵愛甚だしく、王子・王女問わず生まれていく。
人数でも、後ろ盾でもアレン王子はかなわなくなっていく。
当然アレン王子の立場は揺らぎ、プテリオン公爵家との繋がりを絶対絶つことができなくなっていった。
っていうテンプレ設定があったのですけど。
長いし、面倒だし、もう乙女ゲー的には終わってるのに、設定確認してるのは何故?
二部が開始してるの?
10年経ってから?
乙女ゲーにも少女期と成人期とあるの?
もしかしてR18要素が足されるの?
もう、十分映像見たんだけど。
本当勘弁して欲しい。
 




