エスサイズのエル
ですが、父も現状を把握してました。
そして私を切り捨てる準備をしてた事もさらりと言われました。
なんなら私の持ち物も高価な物はほぼ処分済みなんですって。
って言うか私が今まで無駄遣いしまくったんですって。
やっぱり監視カメラとかインフラ整備はお金がかかりますよね。
さすがです。
別に、持って行けないお金なので使ってもらって全然構いません。
教科書とかも孤児院に寄付しましたし、立つ鳥後を濁さず、ほぼ空っぽの部屋を出ることができました。断罪パーティに行く為に家を出る時も何の未練もありませんでした。
ただ、努力が実らなかった事は私の気持ちを重くしました。
最後の未練で断罪が確定したら報告書を動画付きで各家庭に送る手配をしました。
一応、断罪が確定してからです。
私に同情してくれた学校のモブ職員さん達がそれぞれ届けてくれる手はずになっています。
今夜は各家庭で家族会議したら良いと思います。
両親の前で自分の口説き顔と、口説き文句と、情事の現場の試写会を開けば良いと思います。リビングのテレビからエロシーンが流れてしまった時の気まずさとは段違いに気まずいと思います。
”ざまぁ”です。
風呂に入って体もスッキリ。
もちろん気持ちもスッキリした私は勝手知ったる事務所に向かいました。
最初に入ったあばら屋はダミーです。
母の名前でインフラ整備をした時にあそこだけ残してもらいました。
全ては最終スチルの為です。
整備の計画は着工当初、難航したのですが、スチルの存在を思い出し、それっぽい建物である、あそこだけ残す計画にした所、驚くほど上手くいきました。
変装して孤児院や施療院で奉仕活動をしている際に学校の同級生に出会いました。
エルローズと名乗った男の子は、歓楽街の元締めの息子でありながらとても恥ずかしがり屋でした。
自分の親の職業を恥じていて、小さな体を更に小さくしているような子でした。
「女の人を食い物にしてる商売って恥ずかしい。背伸びして学校に行くのも恥ずかしい。」
なんて言って私と同じように学校も最低限しか行かないようにしていました。
「名前も恥ずかしいんだよね。全部呼ばれるのも恥ずかしいからエルって呼んでもらうんだけど、僕はエスサイズなんだよね。」
日本の乙女ゲーの為かそんな親父的自虐ネタを披露する彼と私は仲良くなりました。




